中小企業主&小規模事業者のマイナンバー制度 シンプル対応策とは?

中小企業主や小規模事業者の中には、マイナンバー制度対応に対して過剰な心配をしている人もいると思います。今回は、そんな人たちの心配をなくすような記事を中心に集めてみました。

この2つのみを行う必要がある!

行政機関に提出する書類に、個人番号を記載して提出する
そのために個人番号を集める
この2つのみを行う必要があります。

企業が行政機関に提出する書類は、「社会保障」と「税」にかかわる書類の2通りのみです。

社会保障の書類
健康保険で健康保険組合に提出、雇用保険でハローワークに提出、年金で年金事務所に提出など
税の書類
従業員の源泉徴収票、取引先の支払調書を税務署に提出など

個人番号を集める目的は、「行政機関に提出する書類に記載するため」だけですので、その必要がないのに集めることは違法となります。故意で不正に集めれば罰則もあります。

こうしてみると、「なんだこれだけやればいいのか!」と安心させられますね。

ただ個人番号を集めるには、少し知っておかなければいけないことがあるようなので、次の項で紹介します。

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誰の個人番号を集める必要があるのか?

従業員や関係する人から個人番号を集める

マイナンバーの利用が始まることで、各企業は給与支払報告書や社会保険の資格取得届等の各種法定調書および届出書の指定欄に、それぞれ対象者(従業員やその家族)の個人番号を記載して提出しなければなりません。
よって、まずしなければいけないのは、「個人番号の収集」です。

2015年10月以降、皆さんを含め、国内に住民票のあるすべての方に個人番号の通知が始まります。
通知方法は、住民票記載の住所に郵送で送られてくる「個人番号通知カード」です。
あらかじめ自社の従業員に与えられた個人番号の収集方法や、収集先の準備をしておきましょう。

やはりまずは、従業員とその家族のマイナンバーというわけですね。

その次は、個人の取引先(不動産のオーナー、ライター、カメラマン、大学講師など)、最後は株主のマイナンバーという感じで集めていけばいいのではないでしょうか?

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いつまでに集める必要があるのか?

マイナンバーは、平成27年10月に市区町村から通知カードの配布が開始されます。従業員の方に通知カードが届きましたら、マイナンバーの収集は可能ですが、国がマイナンバーを利用開始するのは平成28年1月以降です。
今年の年末調整の時期に税務署から送付されてくる年末調整関係資料の中に、翌年分である「28年分 給与所得者の扶養控除申告書」にはマイナンバーの記載欄がありますので、その時収集するのが1番スムーズに行えます。
「今年の年末調整」というのが一つのタイムリミットだと言えます。

時期がわかると、心の準備ができていいですね。

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株主などからマイナンバーを集めるには、どれぐらいの期間をかけられるのか?

■ 対従業員

税務:源泉徴収票等の法定調書に、従業員の個人番号を記載  2016年分の調書から(年末調整は2017年1月に提出する源泉徴収票から)
社会保険:健康保険組合や年金事務所、ハローワーク等への提出 書類にも、従業員等の個人番号が必要
 雇用保険は2016年1月から、健康保険・厚生年金保険は2017年1月から

■ 対取引先
 支払調書に、個人番号・法人番号を記載  報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
 不動産使用料等の支払調書 等 ■ 対株主・出資者等
 支払調書に、個人番号・法人番号を記載
 配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書
 氏名・住所を告知(みなし告知)している既存の株主・出資者につき、2016年1月 1日から3年間の経過措置あり

■ 対顧客(金融機関のみ)

政府サイトからの抜粋です。

株主は経過措置があるため、既存株主に限って2016年から3年間の猶予があるのは助かりますね。

ちなみに取引先は、2017年1月に提出する支払調書から記載するため、約1年間かけて集めれば大丈夫なようですよ。

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安全管理措置は確認しておきましょう!

基本方針の策定
特定個人情報等の適正な取り扱いの確保について組織として取り組むために、基本方針を策定することが重要であるとされています。

取扱規程等の策定
取扱規程等は、マイナンバーの具体的な取扱いを定めたものです。
マイナンバーの取得、利用、保管などの段階ごとに取扱方法や責任者について定めておきます。
ただし、中小規模事業者の場合は特例があり、取扱規程等を策定しなくても、下記を行うことで足りるとされています。
特定個人情報の取扱いの明確化
担当者が変更になった場合の確実な引継

組織的安全管理措置
組織的安全管理措置とは、マイナンバーを取り扱うにあたって、会社として整えておくべき体制に関する安全管理措置です。
具体的には、下記のような対応が考えられます。
責任者と担当者を明確に決める
マイナンバーの取得、保管等の状況のわかる管理簿を整備
マイナンバーの利用、持出しなどの状況のわかる記録や日誌を整備

物理的安全管理措置
物理的安全管理措置とは、マイナンバーを取り扱う際の場所や、書類やデータの保管場所に関する安全管理措置です。
具体的には、下記のような対応が考えられます。
各区域を区分することができるように間仕切りを設ける
マイナンバーの記載されている書類や機器の保管場所に施錠する
持ち運ぶ際には施錠できる容器にいれて搬送する

技術的安全管理措置
技術的安全管理措置とは、情報システムでのマイナンバーの取り扱いに関する安全管理措置です。
具体的には、下記のような対応が考えられます。
利用するユーザーID毎に、アクセスできる範囲を限定する
セキュリティ対策ソフトウェアを導入する

人的安全管理措置
人的安全管理措置とは、マイナンバーを取り扱う人に関する安全管理措置です。
具体的には、下記のような対応が考えられます。
定期的に社員研修を実施する
秘密保持に関する事項を就業規則等へ追加する
マイナンバーについて必要資料を配布する

少しやることが多いように感じられるかもしれませんが、自社状況に合わせ、今すぐにやるべきこと、時間をかけて対応すればよいことを整理して行っていけば、心配することではありません。
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