マイナンバー制度は、従業員の入社や退社の際に企業側に新たな手間を生むと言われています。企業主が自ら手続きをしない会社でも、マイナンバー管理者や担当者は忙しくなるでしょう。なぜなら、この2つの役職は今までの仕事と兼任で任されるケースが多いからです。
退職社員のマイナンバーはすぐに削除するべき?
マイナンバー制度においては、特定個人情報(従業員の個人番号)について、行政機関等に個人番号を記載した書面を提出するために必要な場合以外は保管してはならないことになっています。つまり、社会保険や雇用保険の手続きを今後する必要のない退職してしまった社員の個人番号は、すぐに削除することになります。
必要がなくなったらマイナンバーを廃棄または削除することが必要です。
削除(廃棄)の時期と管理
例えば、扶養控除等申告書は申告書の提出期限が属する年の翌年1月10日の翌日から7年を経過する日まで保存する。この期間を経過した場合には原則、速やかに廃棄しなければならない。個人番号もしくは特定個人情報ファイルを削除したり、電子媒体などを廃棄したりした場合は、削除または廃棄した記録を保存。また、これらの作業を委託する場合には、委託先が確実に削除または廃棄したことを証明書などで確認するよう求めている。
特定個人情報などが記録された書類や機器、電子媒体などを廃棄する場合、復元不可能な手段を採用して、書類の焼却または溶解、専用のデータ削除ソフトウェアの利用、物理的な破壊などを求めている。中小企業にも、特定個人情報などを削除・廃棄したことを確認するよう求めている。
また、自社で保管していて情報漏えいがあった場合は、厳しい罰則もあるそうですよ。
入社&退社の際の手続き
採用が決定した内定者は、まだ正式な従業員ではありませんので、マイナンバーの取得は入社するまでできません。けれども、入社後速やかにマイナンバー関連の書類を提出してもらえるように通知しておく必要があります。ちなみに、試用期間内でもマイナンバー法の上では、正式な従業員ですから、入社初日からマイナンバーの取得が可能です。退職所得の受給に関する申告書など、退職する人からもらう書類にマイナンバーが含まれています。
退職の際にマイナンバーを取得した場合の本人確認は、マイナンバーが間違っていないか過去の書類を確認することで対応可能!
保存期間が過ぎたものなど、必要がなくなったマイナンバーは廃棄しましょう。マイナンバーを書いた書類は、そのままゴミ箱に捨ててはいけません。精細なシュレッダーにかけ、復元不可能な状態で廃棄しましょう。
退職後も法律で保存が義務付けされている書類は、法定期間が過ぎてから廃棄します。
書類の量は、はっきり言って多いですよ!
「退職7年後に番号廃棄」の認知が不十分である現状
日経BPコンサルティングは2015年9月1日、「マイナンバー対応と情報セキュリティに関する調査」の結果を発表した。「従業員の退職後には、原則7年後に個人番号を廃棄する必要がある」の認知度が18.9%にとどまるなど、セキュリティ関連の認知が不十分であることが判明した。調査は2015年6~7月に実施し、従業員数規模が300人以上の企業の情報システム部門の所属者から498件の回答を得た。結果は「IT部門のためのマイナンバー対応白書2015-2016」にまとめた。
コレでは、来年1月スタートに認知が間に合わないのでは?と懸念してしまいます。
新規雇用におけるマイナンバー実務
国税関係で提出しなければならない書類として「平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」があります。前の会社で年末調整実務を行なった際に既に提出しているかもしれませんが、給与支払者や所轄税務署が変更になるため再度提出する必要があります。
平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は採用者の扶養親族に関するマイナンバーも記載する必要があります。
また内定者に関して実質的な新規雇用者である場合においては、マイナンバーを収集することが可能となっています。
さらに、試用期間を経てから正式採用となる場合も手続きする必要があります。入社して最初の給与支給日の前日までに「平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらいます。
忙しくなるという噂は、どうやら本当みたいです。
いっそ他社に委託してしまった方が、本業をおろそかにしない分良いのかもしれません。
退職者が出た時のマイナンバー実務
従業員から提供を受けたマイナンバーについて、その従業員が退職した場合直ちに廃棄すれば良いというものではありません。扶養控除等申告書や退職所得の受給に関する申告書のように保存期間が法令上定められているものは、その期間が経過するまではマイナンバーと共に保管しなくてはなりません。したがって、退職した従業員のマイナンバーについては退職を契機に廃棄するのではなく、保存期限が定められている期間まで情報漏洩しないように適切に安全管理措置を講じる必要があります。
また、従業員が長期休職や退職した従業員を再雇用する場合のマイナンバーの保管についても上記退職者と同様法的保存期間は安全管理措置を講ずる必要があります。
そのためか、現在金庫の売り上げが伸びているみたいです。
金庫を持っていないなら、一つ購入してみてはどうでしょう?