最近は、マイナンバー制度が始まると聞くことが増えていますが、なんか複雑そうと思っていませんか。なにかとお忙しい中小企業の社長さんが、準備するきっかけになるようにがんばってまとめてみます。第3弾の今回は、取り扱う範囲についてです。
前回のまとめ
まず、社内での管理者と担当者を決めましょう。
続いて従業員へ、各自のマイナンバーの管理を適切にするように周知します。
そして、マイナンバーの利用目的を社内へ公表します。
あと、セキュリティ対策も忘れないようにしてください。
誰のマイナンバーが必要となるのか?
誰のマイナンバーが必要かを把握することだ。従業員と扶養家族のマイナンバーだけであれば、マイナンバー対応はシンプルになる。従業員と扶養家族以外のマイナンバーを必要とする場合は、取得タイミングや本人確認方法などが変わり得るので、まずは誰のマイナンバーが必要なのか把握しよう。といっても、気の遠くなるような膨大な洗い出しが必要となるわけではない。マイナンバーは「社会保障・税番号制度」とも呼ばれる制度であり、会社では税務手続きと社会保障手続きで使っていく。後者の社会保障手続きでは従業員と扶養家族のマイナンバーが必要だと考えられるので、前者の税務手続きで誰のマイナンバーが必要かを確認しよう。
税務手続きで必要となる対象者は?
例えば、役員報酬、役員賞与の支払
弁護士や税理士などへの報酬支払
株主への配当金支払等の法定調書
についても、マイナンバーの記載が必要になります。
取得対象となる従業員の範囲は?
マイナンバーの集める従業員は以下の人です。マイナンバーを集める従業員
正社員
契約社員(嘱託)
パート・アルバイト
上記の扶養家族
派遣会社を通している派遣社員のマイナンバーは集めません。
派遣社員は、派遣会社がマイナンバーを集めます。
短期アルバイトなどの場合は、採用時か勤務中に取得しないと、取得しそびれることもあるので、注意が必要だ。また講演講師のような1回限りの依頼相手だと、さらに取得しそびれることもあるので、対面した時に直接取得する方法のほか、メールか郵送も検討した方がよいだろう。
従業員から申告されたあとにすること
企業は従業員から申告されたマイナンバーをそのまま受領すればよいわけではない。マイナンバーは個人の所得を把握し、社会保障などの様々な行政サービスを提供する際に用いられる重要な情報だ。そのため間違いなく本人の番号であることを担保する必要がある。実際、企業が従業員からマイナンバーを収集する際は(1) 従業員に対する利用目的の明示→(2)提示されたマイナンバーが正しいことの確認(番号確認)→(3)提示されたマイナンバーが正しい持ち主のものであることの確認(身元確認)――といったステップを踏む必要がある。必要に応じて運転免許証やパスポートなどの提示を求め、誤った番号が使われていないことも企業側が確認しなければならない。運転免許証やパスポートも個人の重要な情報であるため、番号確認や身元確認の業務フローは情報が漏えいしないように十分配慮する必要がある。
原則として
1.個人番号カード(番号確認と身元確認)
2.通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
3.マイナンバーの記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
これらのいずれかの方法で確認する必要があります。
また、本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者が認めるときは、身元確認書類を不要とすることも可能です。ただし、省略可能なのは身元確認だけです。
Q4-3-1-1 従業員などのマイナンバー(個人番号)を取得するときは、どのように本人確認を行えばよいのでしょうか。また、対面以外の方法(郵送、オンライン、電話)でマイナンバーを取得する場合はどのように本人確認を行えばよいのでしょうか。
A4-3-1-1 マイナンバーを取得する際は、正しい番号であることの確認(番号確認)と現に手続きを行っている者が番号の正しい持ち主であることの確認(身元確認)が必要であり、原則として、
①個人番号カード(番号確認と身元確認)
②通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
③個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
のいずれかの方法で確認する必要があります。ただし、これらの方法が困難な場合は、過去に本人確認を行って作成したファイルで番号確認を行うことなども認められます。また、雇用関係にあることなどから本人に相違ないことが明らかに判断できると個人番号利用事務実施者が認めるときは身元確認を不要とすることも認められます。詳しくは、下の表のとおりです。また、対面だけでなく、郵送、オンライン、電話によりマイナンバーを取得する場合にも、同様に番号確認と身元確認が必要となります。詳しくは、[こちらの表]をご覧ください。
なお、個人番号カードの表面のコピーにより本人確認を行う場合、表面は臓器提供意思表示欄など高度な個人情報も含まれることから、個人番号カード交付時にお渡しするカードケースに入れたままでのコピーを可としますが、裏面はマイナンバーを表示しなければならないことから、ケースを外してコピーをしてください。
扶養親族についての取り扱い
年末調整の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や健康保険の被扶養者の手続きのように、従業員本人だけでなく、その家族のマイナンバー取得が求められることもある。このような場合は、従業員を「個人番号関係事務実施者」とみなすことができる。つまり、従業員が家族の本人確認を行って、事業主へマイナンバーを提出する義務を負う。そのため事業主としてはその書類を受け取って手続きを進めればよく、その内容について責任を負うことはない。
一般的にはこのような実務で問題ないが、国民年金の第3号被保険者(従業員の配偶者)の届け出のように、事業主が配偶者の本人確認を行う制度では別の方法をとる必要がある。実務的には、従業員が代理人として配偶者のマイナンバーを事業主に提供する、あるいは事業主が従業員に配偶者のマイナンバー取得を委託するという方法を取ることになるだろう。
ここまでのまとめ
・税理士、デザイナー、講師など報酬を支払っている人
・配当を支払っている株主
・賃料を支払っている個人地主
・従業員(パート、アルバイトを含む)
マイナンバーを申告されたら、番号確認と身元確認をする必要がある。
扶養親族については、国民年金第3号被保険者手続きの取り扱いだけ異なる点に注意する。