最近は、マイナンバー制度が始まると聞くことが増えていますが、なんか複雑そうと思っていませんか。 なにかとお忙しい中小企業の社長さんが、準備するきっかけになるようにがんばってまとめてみます。 今回は、まもなく提出するであろう平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 についてです。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 とは
[概要]給与の支払を受ける人(給与所得者)が、その給与について配偶者控除や扶養控除、障害者控除などの控除を受けるために行う手続です。
なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」と統合した様式となっています。
[手続対象者]
給与所得者
[提出時期]
その年の最初に給与の支払を受ける日の前日(中途就職の場合には、就職後最初の給与の支払を受ける日の前日)までに提出してください。
[提出方法]
申告書に該当する事項等を記載した上、給与の支払者へ提出してください。
いつの分から記載するの?
『給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書』は、本来「その年の最初に給与の支払を受ける日の前日(中途就職の場合には、就職後最初の給与の支払を受ける日の前日)までに提出 」する必要があります。そのため、2015(平成27年)1月の給与支払日までに平成27年分の『給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書』を取得している事業者が大多数ではないでしょうか。
事業者によっては、今回の年末調整にあわせて取得している場合もあるようです。しかし、平成27年分の『給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書』にマイナンバーを記載しませんので、ご注意ください。
マイナンバーは、2016年(平成28年)1月から運用が開始されます。そのため、平成28年分の『給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書』には、マイナンバーの記載欄が設けられました。
平成27年分を取り扱う場合、間違えないように注意しましょう。
いくつ記載欄があるか
マイナンバーの記載個所
上段「給与の支払者の法人(個人)番号」欄…給与を支払う法人(個人)が記載
上段「あなたの個人番号」…給与の支払いを受ける者が記載
控除対象配偶者の個人番号、控除対象扶養親族の個人番号
住民税に関する事項 16歳未満の扶養親族の個人番号Q1-16 扶養控除等申告書に支払者の法人番号をプレ印字して従業員に交付してもよいですか。
(答)支払者の個人番号又は法人番号については、扶養控除等申告書の提出を受けた後に付記することとなっていますが、法人番号については、利用制限もないことから、あらかじめ印字し、従業員に交付しても差し支えありません。
(注)給与の支払者の個人番号については、個人番号の提供制限に抵触するため、扶養控除等申告書にプレ印字することはできません。
給与の支払者が個人の場合、この欄に個人の番号を記載して給与の支払いを受ける者に渡してしまったら、個人番号が伝わってしまいます。ですので支払者が個人の場合には、一旦空欄で従業員の方に渡して戻ってきた段階で記載すればよいことになります。
まず支払い者の番号欄については、
記入してよい場合といけない場合に分かれます。
よい場合・・・法人の場合(法人番号を記入)
いけない場合・・個人事業の場合(個人番号となるので、番号流出になってしまう)
事業の行い方で変わるので、ご注意ください。
マイナンバー記載省略が可能
Q1-9 扶養控除等申告書の個人番号欄に「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨の記載をすることで、個人番号の記載に代えることはできますか。
(答)
平成28年1月以後に提出する扶養控除等申告書には、従業員本人、控除対象配偶者及び控除対象扶養親族等の個人番号を記載する必要がありますので、その記載内容が前年以前と異動がない場合であっても、原則、その記載を省略することはできません。
しかしながら、給与支払者と従業員との間での合意に基づき、従業員が扶養控除等申告書の余白に「個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨を記載した上で、給与支払者において、既に提供を受けている従業員等の個人番号を確認し、確認した旨を扶養控除等申告書に表示するのであれば、扶養控除等申告書の提出時に従業員等の個人番号の記載をしなくても差し支えありません。
なお、給与支払者において保有している個人番号と個人番号の記載が省略された者に係る個人番号については、適切かつ容易に紐付けられるよう管理しておく必要があります。
保管する企業の負担軽減措置である
1この取扱いは、原則として税務署に提出されることなく給与支払者が保管することとされている扶養控除等申告書について、給与支払者の個人番号に係る安全管理措置への対応の負担軽減を図るために、個人番号の記載方法として認めるものであることから、個人番号以外の扶養控除等申告書に記載すべき項目については、前年と変更ない場合であっても、記載を省略することなく扶養控除等申告書に記載する必要があります。2「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨が記載された申告書について、税務署長から提出を求められた場合には、給与支払者は扶養控除等申告書に従業員等の個人番号を付記して提出する必要があります。
税務署へ提出するのではなく、会社保管
意外に思うかもしれませんが、確定申告書と違って、年末調整の書類は税務署に提出されません。勤め先でそのまま保管されます。実は、税務署長から特に提出を求められた場合以外は、提出する必要はありません。
年末調整の時期(10月~11月)になると、勤め先から書類をもらいますよね。
例えば今年なら、
平成27年分の扶養控除等申告書
平成28年分の扶養控除等申告書
平成27年分の配偶者特別控除・保険料等申告書
の3種類ありますが、このうち、「平成27年分の扶養控除等申告書」って、昨年自分が書いたものが来てますよね。つまりそれは、「勤め先」が今まで保管していた証拠でもあります。
記載を省略した場合の留意点
以下の点に留意が必要です。
(1)給与支払者において保有している従業員等の個人番号(従業員等の個人番号に異動があった場合は異動前の個人番号を含む。)については、扶養控除等申告書の保存期間(7年間)は、廃棄又は削除することはできません。
(2)保有する個人番号については、個人番号関係事務に必要がなくなったとき及び個人番号を記載すべきであった扶養控除等申告書の保存年限を経過したときには、速やかに廃棄又は削除しなければなりません(廃棄が必要となってから廃棄作業を行うまでの期間については、毎年度末に廃棄を行う等、個人番号及び特定個人情報の保有に係る安全性及び事務の効率性等を勘案し、事業者において判断してください。)。
(3)給与所得の源泉徴収票(税務署提出用)には適切に個人番号を記載する必要があります。
厳重管理する書類を大幅に軽減できる
マイナンバー以外の項目は省略できない。
税務署から扶養控除等申告書の提出を求められたときは、事業者がマイナンバーを記載して提出する。従業員データベース等で管理しているマイナンバーは、扶養控除等申告書の法定保存期間内は削除できない。すなわち、退職者が出た場合であっても、当該退職者分の扶養控除等申告書の法定保存期間が完了するまでは、当該退職者のマイナンバーを削除することはできない。逆に、退職者の扶養控除等申告書の法定保存期間が経過し廃棄した場合は、従業員データベースに保存されている当該退職者のマイナンバーは速やかに削除しなければならない。
しかし、これにより安全管理措置の対象となる書類を大幅に減らすことができるようになり、業務上の負担は大きく削減できます。さらに、最初の収集を扶養控除等申告書ではなくクラウドを使ってペーパーレスで行えば、一段と負担は軽くなります。業務の煩雑化・法的リスクを回避できますので、お奨めです。
番号欄を削除した様式も可能
ただし、
① 従業員様から事業所様へ提出した情報と相違ない という記載
② 事業所様は、個人番号を確認したという記載
以上の情報を残すことが条件となります。
「個人番号」という項目があれば、どうしても記載したくなりますので
弊社では 敢えてその項目を削除いたしました。
また、上記条件の記載欄を設けました。
弊社顧問先様においては、こちらの様式をご利用いただくこととしております。
ご参考までに様式を掲載しておきます。