最近は、マイナンバー制度が始まると聞くことが増えていますが、なんか複雑そうと思っていませんか。 なにかとお忙しい中小企業の社長さんが、準備するきっかけになるようにがんばってまとめてみます。 今回は、最も早くにマイナンバーを記入するであろう雇用保険についてです。
雇用保険とは
雇用保険は政府が管掌する強制保険制度です。
(労働者を雇用する事業は、原則として強制的に適用されます)
雇用保険は、労働者が失業してその所得の源泉を喪失した場合、労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合及び労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合に、生活及び雇用の安定と就職の促進のために失業等給付を支給。
失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図るためのニ事業を実施する、雇用に関する総合的機能を有する制度です。
適用範囲や保険料の計算などが重複するため、まとめて呼ばれることが多いようです。
社長、労働者を一人でも雇っていたら適用ですよ
雇用保険の適用
-労働者を一人でも雇っていれば、雇用保険の加入手続が必要です-<趣旨>
雇用保険においては、労働者を雇用する事業は、その業種、規模等を問わず、すべて適用事業であり、当然に雇用保険の適用を受け、また、適用事業に雇用される労働者は雇用保険の被保険者となります(事業主は、労働保険料の納付、雇用保険法の規定による各種の届出等の義務を負うこととなります。)。
<被保険者の範囲>
雇用保険が適用となる「雇用される労働者」とは、雇用関係(労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に労働を提供し、その提供した労働の対償として賃金、給料その他これらに準ずるものの支払を受けている関係)によって得られる収入によって生活する者をいいます。
※ 適用事業に雇用される労働者であっても、65歳に達した日以後に新たに雇用される者など雇用保険法第6条に掲げる方は雇用保険の適用除外とされています。
適用に当たっての手続き
雇用保険の適用対象となる労働者を初めて雇用することとなった場合は、保険関係成立に関する手続を済ませた後、事業所を管轄するハローワークに事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届を提出しなければならないことになっています。
その後新たに労働者を雇い入れた場合は、その都度、事業所を管轄するハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を提出しなければならないこととなっています。また、雇用保険被保険者が離職した場合は、雇用保険被保険者資格喪失届と給付額等の決定に必要な離職証明書を提出していただくこととなっています。
これらの手続は、雇用保険法により事業主の義務とされていますので忘れずに行ってください。
雇用保険でマイナンバーを記入する書類は
実際には、すべての労働保険(雇用保険・労災保険)関連の提出書類にマイナンバーを記載するわけではありません。雇用保険の手続きで企業がマイナンバーを記載することになる書類は、下記の5つに限定されています。
(1) 雇用保険被保険者資格取得届
(2)雇用保険被保険者資格喪失・氏名変更届
(3)高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付申請書※
(4)育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書※
(5)介護休業給付金支給申請書※
(※の書類は、企業が提出するためには労使間で協定を締結する必要があります)
労働者と協定を結ばないといけない書類がある。
雇用継続給付は、法令上、被保険者が申請することになっていますが、運用上、会社にて行政機関へ提出しているケースがあります。これは、基本的には、労使協定を締結する必要がありますが、実態として、どの会社も協定を締結しているかは不明です。マイナンバー制度では、法令上で目的外利用の禁止を謳っており、法令上の手続きに則った対応をしておかなければいけないことに注意が必要です。
雇用保険に関するマイナンバーQ&A
Q.被保険者資格取得届等にマイナンバーを記載して届出をした場合の返戻書類(被保険者証等)には、マイナンバーが記載されるのでしょうか?A.返戻書類にはマイナンバーは記載されないとのことです。
Q.会社が行う雇用保険手続きの際には、マイナンバーの記載された個人番号カードのコピーを添付する必要があるのでしょうか?A.コピーの添付は不要です。
Q.従業員からマイナンバーの提供を拒否された場合には、雇用保険の手続きはどうすればいいのでしょうか?
A.雇用保険の手続きでマイナンバーを記載することは、法律で定められた(努力)義務であることを従業員の方へご説明していただき、マイナンバーの提供を求めることになりますが、どうしてもマイナンバーを提供してもらえない場合には、マイナンバーを記載する欄を空白の状態で手続きをすることになります。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000093276.pdf
ここまでのまとめ
そのうち、労働者と協定を結ぶものがいくつかある。
コンプライアンスが重視される時代なので、協定を結ぶことや
雇用保険に加入しているかを今一度確認しておくとよいでしょう。