今年1月にマイナンバー制度が始まりました。この制度における非正規雇用者の扱いはどうなるのでしょうか?調べてみました。
マイナンバー制度とは
マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。
マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤であり、期待される効果としては、大きく3つあげられます。1つめは、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)
2つめは、添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)
3つめは、行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。(行政の効率化)
どうして人はマイナンバーの提出を拒むのか?
従業員等の協力が得られない理由について、その原因は幾つか考えることができます。
その中で、最も多いと予想されるのが「従業員らのマイナンバー制度に対する理解が深まっていない」という理由です。「マイナンバー制度がどういうものか分からないが、漠然と不安である」
「最近、個人情報の流出が多くて不安だ」
「自分の勤め先のマイナンバーの管理がどうなっているか分からない」国の機関においてでさえ、情報漏えいが生じてしまう昨今、非常に重要な情報であるマイナンバーに対して不安が先行するのは、当然のことです。
こうした不安が生じる原因の多くは、情報不足に原因を求めることができます。
特に、自らの就業先での安全管理措置の状況が判らないから不安である、という場合は、事業者・団体において、きちんとした体制を整え、理解を求めていく他ありません。また、外部の人間である取引先や、内部ではあっても実務には関わってこない株主にとっては、事業者・団体においてどのようにマイナンバーの安全管理を行っているのかについて、情報がない状態が普通です。
そうした自体を避けるためにも、安全管理措置において作成する基本方針を公開しておくことや、資料等による説明を積極的に行っていく必要があるのです。番号法において、マイナンバー取扱事務は、事業者・団体にとっては義務的なものです。
しかし、従業員等においては、マイナンバーの提供を義務付ける規定はありません。
もちろん、提供を拒んだことを理由に罰則が科せられることはありません。
ですから、事業者・団体においては自らの業務を行うために必要なマイナンバーの収集について、従業員等にしっかりと説明し、理解と信頼を得ていく必要があるのです。
大変な手間であることは確かですが、今後はそういう対応が求められているのです。
そのためにも、しっかりと対策を講じておかなければならないのです。
アルバイトに対するマイナンバーの取り扱い
ここでは非正規雇用の是非についてではなく、非正規雇用者に対するマイナンバーの取り扱いについて調べてみました。
パート・アルバイト社員等のいわゆる非正規社員については、正社員の労働時間及び労働日数が概ね3/4以上の場合においては社会保険に加入する必要性が生じる。この概ねがポイントで社会保険未加入の非正規社員についてのチェックが年々シビアになってきている感がある。
また、自社で算定基礎届の作成をしている場合などは、賃金台帳と算定基礎届の賃金額が違っていることもある。このような状態でマイナンバー制度の運用が始まったらどうなるのか。
マイナンバー制度が始まると所得税の源泉徴収や住民税の特別徴収・社会保険料の納付状況等が紐づけされる。
さらには、過去の状況までもが確認できるようになることが容易に予想される。・アルバイト・パート労働者や契約社員・嘱託社員の中に社会保険の未加入者がいる
・社会保険料が適正でない
・一定の収入があるにもかかわらず扶養に入っている
等の基本的なことを徹底して確認し、適正化することが必要だ。総務部門ではマイナンバー制度について研修を行うなどして全社的に周知徹底する必要がある。なぜなら、すべての民間企業に対してマイナンバーのついている個人情報の取扱いに関して管理義務が課されているからだ。
人事給与・経理部門においては所得税の源泉徴収や住民税の特別徴収の際にマイナンバーを利用することになるので、社員からナンバーの告知をしてもらう必要がある。(配偶者や扶養親族についても同様)
マイナンバー制度については周知徹底が図られていないのか、まだまだ認知されていないようだ。
まずは、マイナンバー制度について理解し、部署ごとに何をいつまでにしなければならないのか制度開始までのスケジュールを確認することが重要だ。
雇用する側にとっては、非正規雇用者に対する給与の見極めが大切になってきます。
民間業者が行う義務
マイナンバー開始以降、社会保険関係の書類や税金関係の書類は様式が変更され、マイナンバーを記入する欄ができます。つまり、事業者がそこに従業員やその扶養家族のマイナンバーを記入した上で提出しなければならないということです。
では、社会保障や税の手続きために従業員のマイナンバーを含む書類を作成した場合、どのように管理すべきなのでしょうか。原則的には、他の重要書類を保管するときと同様に、盗難に注意して厳重に保管するということになります。具体的には、特定個人情報を取り扱う機器、電子媒体や個人番号が記載された書類などについては、施錠できるキャビネット・引き出しなどに収納します。そして、使用しないときは施錠するようにしてください。もちろん、留守にするときには、ドアを確実に施錠しましょう。
また、個人事業の場合は、部屋で事務処理を行っていることもあるかと思います。その場合、来客スペースからマイナンバーの記載された書類やパソコンの画面が見えてしまっては、漏洩のもとになります。レイアウトの工夫をするなど、適切な対策を講じましょう。
マイナンバーの管理
もっとも、安全管理をしろといわれても、今までに存在しなかった制度への対策を考えるのは簡単なことではないでしょう。そこで、民間事業者のマイナンバー取り扱いに関しては、特定個人情報保護委員会によってガイドラインが策定されています。
このガイドラインでは、「基本方針の策定」、「取扱規程等の策定」という2種類のルールづくりと、「組織的安全管理措置」、「人的安全措置」、「物理的な安全管理措置」、「技術的安全管理措置」の4種類の管理対策を講じることが求められています。
マイナンバー制度が導入されたことにより、税理士や企業診断士のような資格が生まれるみたいです。資格を有する彼ら彼女らを雇って、負担を軽くすることもできるでしょう。