マイナンバーを取り扱う全ての民間企業は、個人情報保護の観点から安全管理対策の義務を負います。ここでは、安全管理措置の対応の手順、安全管理措置の4分類について解説します。
安全管理対策が、マイナンバーのヤマ場!!
そのため個人情報保護の観点から、全ての企業が安全管理対策の義務を負います。
この安全管理対策を正しく行うことは大変な負担を要するものですあり、マイナンバー対応でのヤマ場でもあります。
マイナンバーは、個人情報保護のために、その管理に当たっては、安全管理措置などが義務付けられます。
マイナンバーの安全管理措置
従業員が100名以下の中小規模事業者は、要求水準がやや緩和されています。
ただし、マイナンバー関連事務を受託する者、個人情報取扱事業者、金融分野の企業、健康保険組合等は、従業員が100名以下であっても中小規模事業者とはみなされません。
個人情報取扱事業者とは
【個人情報保護法第2条第3項】
この法律において「個人情報取扱事業者」とは、個人情報データベース等を事業の用に供している者をいう。
ただし、次に掲げる者を除く。
一 国の機関
二 地方公共団体
三 独立行政法人等
四 その取り扱う個人情報の量及び利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令で定める者
【個人情報の保護に関する法律施行令第2条】
「政令で定める者」とは
法第2条第3項第5号の政令で定める者は、その事業の用に供する個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数の合計が過去6月以内のいずれの日においても5000を超えない者とする。
とされています。
「個人情報取扱事業者」を一事で言えば、「顧客情報、取引先情報、従業員情報等において、5000人以上の個人情報を有し、それらを事業を営む上で利用している事業者」となります。
マイナンバー法では、マイナンバーを利用できる事務、マイナンバーと紐づけられる個人情報が限定されている(マイナンバー法9条)。
これに対し個人情報保護法ではこのような制約はない。
したがって、マイナンバーについては、マイナンバー法に違反した不正が行われないよう、マイナンバーを利用する事務・情報・人を限定することがポイントである
取り扱う情報の整理
マイナンバー関連の事務の範囲や、特定個人情報の範囲、関連するリスク、現状の安全管理措置は十分であるかなどを検討します。
基本方針の策定、取扱規定の策定
「基本方針」では、特定個人情報の保護に関する基本理念を明確にし、法令
遵守・安全管理・問合せ・苦情相談等に関する方針を定めることが重要です。
なお、基本方針の策定は義務付けられてはいませんが、従業員等への周知・研修
を行いやすくなるというメリットがあります。
【基本方針】
基本方針の策定は義務ではありませんが、文書化しておくことで従業員の教育や業務委託先への説明などに役立てることができます。
自社がマイナンバーを適切に取り扱う姿勢を見せ、関係者の理解と信頼を得ることはとても重要です。
そのためにも、基本方針は是非策定しておきましょう。
「取扱規程等」とは、源泉徴収票や支払調書の作成等の事務で特定個人情報等
を取扱う場合のマニュアルや事務フローなどの手順を示した文書で、従業員が
容易に参照できるようにする必要があります。
安全管理措置の4分類
組織的安全管理措置
組織的安全管理措置は、さらに以下の5項目に分けられます。
①管理体制の構築
⇒安全管理措置を行うための組織を作りましょう、ということ
・責任者の設置、責任の明確化
・事務取扱担当者の明確化
・事務取扱担当者が取り扱う特定個人情報の範囲の明確化
・規定違反や情報漏えいが発生した場合の報告連絡体制
・部署ごとの任務や責任の明確化
Q. 「事務取扱担当者の明確化」とはどういうことですか?
A. 部署名(○○課、○○係等)、事務名(○○事務担当者)等により、担当者が明確になれば十分であると考えられます。
ただし、部署名等により事務取扱担当者の範囲が明確化できない場合には、事務取扱担当者を指名する等を行う必要があると考えられます。