内定者は、現段階ではまだ従業員ではないものの、近い将来に従業員となることを予定している存在です。そんな内定者から、入社前に個人番号を取得しておくのは得策なのか、まとめてみました。
早めの取得が推奨されているマイナンバー
マイナンバーの収集には、従業員からマイナンバーを提出してもらうだけでなく「本人確認」も必要です。
本人確認のための準備にも時間がかかることが予想されるため、早めに収集を始めることをおすすめします。
社会保障や税に関連する書類に、従業員の個人番号を記載することが必要になりました。
書類を作成する時期までに確実に個人番号の取得を終えておくために、内定者からも入社前の段階で個人番号を取得しておこうと考える企業も多いのではないでしょうか。
書類を作成する時期までに確実に個人番号の取得を終えておくために、内定者からも入社前の段階で個人番号を取得しておこうと考える企業も多いのではないでしょうか。
入社前の個人番号取得は可能
内定者に対しては、内定承諾書などの誓約書を提出してもらった上で、内定者に対して個人番号の提出を求めることができます。
単に内定を出したのみの段階では、辞退する可能性もありますので、マイナンバーの提供を求めることはできません。内定を出した後、確実に雇用されることが予想される場合には、その時点でマイナンバーの提供を求めることができます。
いわゆる「内定者」については、その立場や状況が個々に異なることから一律に取り扱うことはできませんが、例えば、「内定者」が確実に雇用されることが予想される場合(正式な内定通知がなされ、入社に関する誓約書を提出した場合等)には、その時点で個人番号の提供を求めることができると解されます。
早めに取得しておくメリットもある
入社後すぐにマイナンバーを記入した雇用保険被保険者資格取得届などの書類の提出が必要になりますし、健康保険証の発行には申請後数週間かかることもあります。そこで、書類を簡易書留で送付してもらうなどして、マイナンバーを入社前に入手することは実際的な方法です。
このように、個人番号を入社前に取得することのメリットを認める声もあります。
入社前に個人番号を取得しておくリスク
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一方で、入社前に個人番号を取得するのにはリスクも伴います。
中小企業の面接を受ける人の中には大企業を第一志望としている人も多く、大企業の選考結果が出て以降に、内定者から入社辞退の連絡が舞い込むことは珍しくないからです。
中小企業の面接を受ける人の中には大企業を第一志望としている人も多く、大企業の選考結果が出て以降に、内定者から入社辞退の連絡が舞い込むことは珍しくないからです。
報道によると、中小企業で内定を得た学生が、それを辞退するケースが増えているそうです。理由の1つに、好景気の影響により、大企業が採用者数を増やしていることがあるようです。大企業から内定を得たことで、中小企業への入社を断っているのでしょう。
誓約書に法的な拘束力はない
誓約書に法的な拘束力はないため、提出してもらっていても内定辞退は起きることがあります。
企業に提出する内定承諾書は一見、きちんと作られた契約書のように見え、署名捺印してしまうと内定を拒否してはいけない気分になります。しかし、実は法律的には内定承諾書には根拠はなく、提出した後にその滑り止め企業の内定を断ったとしても、裁判で訴えられたりすることはありません。
労基法には、「強制労働の禁止」が謳われています。入社承諾書を出したからといって、結局会社が入社を強制することはできないのです。
入社を辞退されたら、取得した番号を廃棄しなくてはなりません。
取得した番号を使う機会もないままに廃棄するのでは、無駄に手間がかかっただけに終わってしまいます。
取得した番号を使う機会もないままに廃棄するのでは、無駄に手間がかかっただけに終わってしまいます。
個人番号関係事務を処理する必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間を経過した場合には、個人番号をできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければなりません。
アルバイトの内定辞退、途中退職、契約満了による退社などで、マイナンバーが不要になったときには、すみやかに取得したマイナンバーを台帳等から廃棄し、パソコン上で管理している場合はファイル・データの削除をしなければなりません。
Q6-5個人番号の廃棄が必要となってから、廃棄作業を行うまでの期間は、どの程度許容されますか。A6-5廃棄が必要となってから廃棄作業を行うまでの期間については、毎年度末に廃棄を行う等、個人番号及び特定個人情報の保有に係る安全性及び事務の効率性等を勘案し、事業者において判断してください。
だから、個人番号の取得は入社後がおすすめ
無駄を防ぎたいなら、内定者が正式に入社した後で取得を始めるようにしましょう。
入社までの期間にできること
入社後速やかにマイナンバー関連の書類を提出してもらえるように通知しておく必要があります。ちなみに、試用期間内でもマイナンバー法の上では、正式な従業員ですから、入社初日からマイナンバーの取得が可能です。
内定から入社までの期間を有効に活用したいなら、内定者に対して、従業員となったら個人番号を速やかに提出してほしい旨を通達しておきましょう。
内定者の中には、通知カードが手元になく、自分の個人番号を把握していない人もいる可能性があるからです。
内定者の中には、通知カードが手元になく、自分の個人番号を把握していない人もいる可能性があるからです。
マイナンバーを記載した「通知カード」は、住民票の住所地に送付されることとなっていますが、9月25日(金)までに居所情報を登録すると登録した居所地に送付されます(いずれも簡易書留で送付)。
マイナンバーの通知カードの送付先は住民票の住所となるため、住民票の住所以外の場所で生活している場合、確実に受け取れない可能性があります。
住民票以外の住所で生活している場合として、
・遠隔地で就学する場合
・単身赴任している場合
が挙げられます。
実家と自宅が離れている場合には、入社後、日々会社へ出勤する必要がある中で実家に通知カードを受け取りに行くことは難しいものです。
そうこうしているうちに、企業側が提示した提出期限が来てしまうことも予想されます。
そうこうしているうちに、企業側が提示した提出期限が来てしまうことも予想されます。
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その点、入社前に伝えておけば、内定者は帰省する機会を見つけやすくなるので、提出を求めたらすぐに個人番号を提出してくれる可能性が高まります。
入社前に個人番号の取得を予告しておくことは、企業と内定者双方にとってメリットがあることなのです。
入社前に個人番号の取得を予告しておくことは、企業と内定者双方にとってメリットがあることなのです。