マイナンバー制度が始まると、様式が新しくなる支払調書があります。この調書を作成するとき、幾つか注意点があるようです。今回は、このことに関する記事を紹介します。
様式が新しくなる支払調書
マイナンバー導入後に様式が新しくなる支払調書には、・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
・不動産の使用料等の支払調書
・不動産等の譲受けの対価の支払調書
・不動産等の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書
があり、これらの支払調書を作成するためにはマイナンバーを記載することになります。
意外と面倒?支払調書の作成
税務関連でマイナンバーが必要なのは源泉徴収票の発行だけではありません。報酬や不動産賃料の支払い等についての支払調書にもこのマイナンバーを記載する必要があるのです。
従業員であれば、できた身元確認の省略も報酬や不動産賃料の支払者については省略できません。
つまり、身元確認のための本人確認書類を提示してもらうか写真入りの「個人番号カード」のコピーを送付してもらうことになります。
報酬や不動産賃料の支払先などとは、あまり普段顔を合わせる機会もないので、それらの人から個人番号カードのコピーや本人確認書類などを徴収するのは、意外と大変かと。
業種で言うと、報酬の支払先の多いWEBサービス系の会社や出版社、家賃の支払先の多い不動産会社などでは、それらの作業にかなり手間取ることが予想されるので、従来よりも早めの作業着手が必要になるでしょうね。
確かに、これはちょっと面倒です。
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書リンク
「報酬の支払いを受ける場合」と「支払いを行っている場合」
(1)報酬の支払いを受ける場合
支払調書は、支払者から税務署に出す書類のこと。支払う側は、この書類に支払を受ける側のマイナンバー記載をしなければなりませんので、自分の番号を「支払者」へ通知しなければなりません。
2)報酬の支払いを行っている場合
従業員に給料を支払っている場合は、給料や報酬を支払う際に、所得税を天引きし、本来の納税者の代わりに税務署に納める「源泉徴収義務者」となります。この場合、報酬(外注費)の支払については、支払調書を作成する側の立場となります。 この場合、「支払を受ける者」の番号の通知を受けることとなります。
また、税務署向けの支払調書以外は、濃いブルー枠の発行者欄に報酬等の支払者である本人自身のマイナンバーを記載してはいけません。法令違反となります。但し、発行者が法人の場合は、記載してあっても問題はありません。
気をつけましょう。
不動産の使用料等の支払調書
不動産の使用料等の支払調書リンク
不動産等の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書
不動産等の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書リンク
本人へ交付する源泉徴収票や支払調書へ番号を記載してよいか?
Q1-1 本人へ交付する源泉徴収票や支払調書へ番号を記載してよいですか。(答)
税法上、本人に対して交付義務のある源泉徴収票や支払通知書等について、個人番号(給与所得の源泉徴収票及び退職所得の源泉徴収票については、支払者の法人番号を含む。)の記載はしません。
なお、税法上、本人に対して交付義務のない法定調書についても、支払内容の確認などのために本人に対してその写しを交付する場合があるかと思いますが、そのような行為は、個人番号関係事務に該当しないことから、番号法第19条の特定個人情報の提供の制限を受けることとなるため、本人及び支払者等の個人番号を記載することはできません。
税務署向けの支払調書だけに相手のマイナンバーを記載する!
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、税務署に対して発行するものです。毎年個人事業主やフリーランスに発行している支払調書は、企業が任意で発行している位置づけになります。
利用範囲の「税」に関する書類に該当するものは、税務署に渡す支払調書にのみ。そのため税務署向けの支払調書には、マイナンバーを記載し、個人事業主やフリーランスへ確認の為に発行する支払調書については、マイナンバーを記載すると法令違反になってしまいます。「税務署向けの支払調書のみに相手のマイナンバーを記載すること」と覚えておけば大丈夫ですね。
新しい制度なので、何かと大変かと思いますが、違反しないように頑張って支払調書を作成していきましょう。