マイナンバー制度が開始されれば会社に内緒で副業をしている人は筒抜けになってしまい会社に処分されるという噂がインターネット上を中心にまことしやかに噂されています。実際のところ本当に判明するのかは謎ですが、不安が広がっているのは確かです。一方企業側は従業員の副業が判明した場合、処分を下すべきなのでしょうか。いっそのこと副業禁止の規定を撤廃したほうが良いのではないかという論調も出てきています。
マイナンバー制度によって副業がバレることはない?
マイナンバー制度については、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」が平成25年5月に成立したことを受け、平成27年10月より個人番号の通知が開始されており、平成28年1月以降、順次、社会保障、税、災害対策の行政手続で必要になります。しかしながら、マイナンバー制度導入に伴い、地方税関係手続に変更が生じるものではなく、マイナンバー制度の導入により副業を行っている事実が新たに判明するものではありません。
住民税の税額等は、特別徴収額の決定通知書により給与支払者を経由して納税義務者に対して通知されており、この通知書に前年の給与収入合計額が記載されていることから、現在でも、勤務先の企業が支払った給与額との比較で、副業を行っている事実が判明する場合もありうると考えます。
安倍政権の打ち出すGDP600兆円の引き上げ、ネックになるのは人手不足!
安倍晋三首相が「アベノミクス第2ステージ」として、新たな「3本の矢」を打ち出した。2016年夏の参院選をにらみ、成立後も国民の批判が根強い安全保障法制から経済に政策運営の軸足を移し、低下した支持率を盛り返そうとするものだ。ただ、国内総生産(GDP)を2020年度をめどに600兆円(2014年度は490兆円)に拡大することを目指すなど、経済界からは疑問の声も出ている。
ただ、いずれも具体的な中身は不明だ。第2、第3の矢を政策目標として掲げることに異を唱える人はいないが、継続的な財源が必要なのは自明だ。どのくらいの額を、どこから捻出するのかの説明はない。また、保育や介護現場の人手不足解消の道筋などの数値目標実現のシナリオは見えてこない。
人手不足解消に副業禁止の撤廃が有効?
それはサラリーマンの就業規定で一般化している「副業・兼業禁止」の廃止だ。公務員は法律で兼業が禁止されているが、民間企業は社内規定だけ。そのため法律の改正などは不要で、会社の規定の見直しだけで対応で済み、即効性もある。そして、この提案はマイナンバー制度の導入で、副業・兼業が会社に発覚することで、生じる問題の解決策にもなりうる。人手不足解消の“秘策”として検討する価値があると考える。
副業は本来禁止できない!?
会社が労働者の行動を制限できるのは、労働者がお金をもらっている時間の間だけ。つまりは勤務時間の間だけというのが原則です。労働基準法でも副業・アルバイトに関して会社・雇用者が規制できるという内容の記載は無く、仕事が終わってからの時間の過ごし方について制限を加えることは憲法に記された「就業の自由」に反しているという考え方が一般的です。
企業が副業を禁止できるのは?合理的理由があった場合だけ!
でも、現実には大抵の会社が「就業規則」で副業を禁じています。この就業規則は会社と社員とのあいだで決めたルール、すなわち雇用契約の一部として法的な拘束力を持ち、違反すれば割に合わない懲戒処分を食らうことも。ある女性社員が本業と並行して夜間に水商売のアルバイトをしていたところ「勤怠を乱した」「会社のイメージを悪くした」として解雇され、処分を巡って裁判で争われた結果、女性側が敗訴した、なんて例もあるのだとか。じゃあ就業規則は法律より強いのか? っていうと必ずしもそうではなく、会社が副業を禁止するには「業務に専念してほしい」「対外的な信用や社内秩序を守りたい」といった意図にもとづく“合理的な必要性”がなきゃいけません。先の女性社員はココに引っかかったわけですね。よって、もし会社の就業規則に副業禁止規定があれば、そして会社とのトラブルを避けたいならやめておくのがお利口ですよ、という点は踏まえたうえで、それでも副業したければ費やす時間や業務内容には十分気をつけること。
副業・兼業禁止規定撤廃のメリットは?
メリット1、人手不足の解消
中小企業を中心に、人手不足が深刻化している。特に流通や外食、運輸、建設などで不足感が強い。それを裏返すように、数年前なら800円程度だった飲食店の時給が1200円程度まで跳ね上がっている店舗もあり、それでも人が集まらないことが背景にある。
ある運送大手の幹部も「ネット通販関連で配達が増えていて、配達を夜の7時から10時ぐらいにしてほしいという要望が多い。その時間帯の配達員をそろえられない」と嘆く。
メリット2、残業代の代わりになる
企業ではワークライフバランスを重視し、残業時間を短縮させようという動きも出ていることだ。今までなら「毎日2~4時間の残業」といった職場が、夕方6時には職場の一斉に消灯し、帰宅を促す措置をとる企業さえ出ている。残業時間の短縮は、自分で使える時間ができるメリットがある一方、残業代が少なくなるデメリットも抱える。