企業に大きな負担がかかる、マイナンバー制度。今回はマイナンバー制度の企業へのメリットについて調べました。
しかし、実はこの制度、企業にとってデメリット以上にメリットの方が大きいかもしれません。
マイナンバーのメリットとは? ~法人番号の活用~
法人番号自体には、個人番号とは異なり利用範囲の制約がありませんので、どなたでも自由にご利用いただくことができます。行政分野における法人番号の利用について申し上げますと、平成28年1月以降、税分野の手続において行うこととされており、例えば、法人税の申告の場合、平成28年1月以降に開始する事業年度に係る申告から法人番号を記載いただくことになります。
事業の効率化
これまで、企業や部門を超えて取引情報などを共有・連携するとき、コードの変換や人手による企業名での名寄せ作業が必要でした。法人番号があれば、取引先などの企業情報に、取引先の法人番号を紐付けて管理することによって、分散する取引情報を効率良く集約することができるようになるのです。
現状では、新規の営業先を探すために、登記所や信用調査会社の情報を入手するなどの手間やコストがかかっています。しかし、今年10月以降に設立登記される法人については「法人番号指定年月日」による絞り込み検索が可能になるので、効率的に新規設立法人を見つけることができるようになります。
行政手続における届出・申請等を、一度にまとめて行えるようになり、法人(企業)側の負担が軽減します。例えば、企業が役所へ補助金申請をするとき、これまでは各役所ごとに企業情報を提出しなければならなかったのですが、導入後は一度申請した時に提出すれば、一つの法人番号でほかの役所も情報を共有するため二度目以降は必要がなくなる、といった手続き上の合理化が図れます。
企業においては、これまで社内の各セクションごとに取引先企業の情報管理をしていることが多いかと思いますが、法人番号によって情報が一元化されることでその効率化が図れます。民間企業は組織が大きくなればなるほど、各部署で管理する取引先情報も膨大となり、そのため、部署ごとに異なるコードを用いて取引先情報を管理しているケースも多いでしょう。
法人番号を各部署共通の管理コードとして加えることで、国税庁から提供される最新の名称・所在地情報を活用して各部署の保有する取引先情報の名称・所在地情報の更新を行うことが容易になる
A社が顧客である場合、取引情報の集約化によりA社のニーズに即したきめ細やかな営業活動等を実施することが可能になる
A社が調達先である場合、取引情報の集約化により各部署からA社に対する調達を一本化することでコスト削減が期待できる
などのメリットが考えられます。
もちろんそのためには、企業としてシステムを整備することが必要不可欠です。
しかし一度整備してしまえば、その後はかなり楽になるのではないでしょうか。
様々な手続きの簡略化
マイナンバーが導入されると、全国のあらゆる公的組織でまったく同じ番号によって個人情報が管理されることになります。すると、各組織間で個人情報をやりとりする際には、データの共有や連携がスムーズに行われるようになるはずです。役所での手続きは時間がかかるというイメージがあるかもしれませんが、マイナンバーによって大幅な時間短縮が期待できるというわけです。
手間と時間がかからなければ、そのぶん人的なミスが発生するリスクも軽減できます。万一ミスが起きてしまったとしても、手続きが少なければ間違いを発見しやすいですし、マイナンバーで一括管理されていますから訂正も簡単です。
最後に
全体的に見れば、企業の負担はむしろ軽くなっていくのではないでしょうか。
是非前向きに捉えて、マイナンバー制度導入後の整備を積極的にしていただければと思います。