病院の検査値は共有できる?【マイナンバー】

医療等IDの導入が検討されていますが、現段階ではどの程度まで議論が進んでいるのでしょうか?それをまとめてみました。

医療等IDについて

医療現場

医療現場

医療・健康・介護の情報連携を加速

まずは2017年7月以降のできるだけ早期に、「個人番号カード」(マイナンバーカード)に健康保険証の機能を持たせる。医療機関の窓口で患者が個人番号カードを提示することで、患者の医療保険資格を医療機関がオンラインで確認できる仕組みを構築する。医療保険者や自治体間のマイナンバーによる情報連携が2017年7月に始まることを受けたもので、医療機関の事務効率改善につなげる。

その上で、医療連携や研究に利用可能な番号を2018年度から段階的に導入。この番号は、病院や診療所間の患者情報の共有や、医学研究におけるデータ管理などに利用できる。これにより、医療機関や研究機関において、患者データの共有や追跡を効率的に行えるようにする。具体的な制度設計については、2015年中に検討し一定の結論を出す。

特定個人情報として医療等IDが検討されていることはご存知でしたか?
プライバシー性の高い情報はマイナンバーには含まずに、別個のIDを持つことになります。

医療クラウドとの連携が期待される

PCとステート

PCとステート

高まる期待!未来を変える医療クラウドとは?

医療分野では、カルテやレントゲン、診療記録、お薬手帳など様々な情報を扱います。

しかし、これらの情報は病院や薬局といった医療機関ごとに個別に管理しており、他の医療機関とうまく連携が取れていないことが課題です。

これらの情報をクラウド上に集め、医療業界全体で効率的に運用しようというのが医療クラウドの構想です。

医療機関の間で情報を共有することで、医師や看護師、薬剤師の連携がより綿密になり、患者のストレスも少ない最適な医療を実現できると期待が高まっています。

医療現場にクラウドサービスを取り込む動きが2013年くらいから活発化しています。
医療等IDが普及すれば、クラウドと連携させる事業が加速するかもしれません。

医療被ばくについても統計が取れるようになるかもしれない

統計グラフ 被ばくに限らずビッグデータとなる

統計グラフ 被ばくに限らずビッグデータとなる

CTやレントゲン検査など放射性物質を使う検査は多いです。
生涯にわたって記録が残されれば総被ばく量が分かります。
被ばく量と疾患の因果関係が明らかになっていくかも知れませんね。

検査結果を病院で共有できると便利になる患者さんも

地方とか

地方とか

一口に検査結果をクラウドに保存といっても、メーカーのサーバーに保管するのか、病院が個別に保管するのか。様々な形態が予想されます。

一方、検査値を共通して利用するには課題がある

採血が少ない方が患者は嬉しい

採血が少ない方が患者は嬉しい

今回、日本臨床検査医学会では臨床検査値の学生用共通基準範囲を設定しまし
た。これは、医学教育の場で臨床検査値の全国統一的判断を可能にすることで、
診断学教育の効率化と標準化に資することを目的としたものです。医学教育に
おいて本基準範囲を有効に活用していただくために、利用に当たっては以下の
点に是非ご理解とご留意をお願い申し上げます。
(1)本基準範囲は日本の各地域で利用されている地域独自の基準範囲を数多
く収集し、成書に記載されている値も参考にして、それらの殆んどと整合性を
持つように設定したものです。
検査値は学生用の統一基準範囲が示されたばかりで、現状では病院ごとに異なります。
基準範囲の元となる人々が異なったり、検査方法や試薬などが違ったりするためで、そのため県ごとに統一化マニュアルなどを作成しています。

医師会はマイナンバーの導入に慎重

悩めるドクター

悩めるドクター

日本医師会は、「個人番号カードの券面に個人番号が記載されていることから、患者のプライバシーの保護や安心の観点から単純に容認できない」との見解を表明しています。日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は共同で、マイナンバーとは異なる医療等IDの導入が必要であるとの声明を発表しています。

この理由としては、マイナンバー制度が生涯不変の番号であるため、「過去から現在治療中の病気、死後にいたるまで紐付けされる」ということを指摘し、医療等IDは必要な場合には「忘れられる権利」「病歴の消去」「管理番号の変更」「複数管理番号の使い分け」などが担保される議論が必要だとしています。

確かに、何らかの事件に巻き込まれた際に負った怪我、中毒関連などの病歴の過去が万が一マイナンバーの流出等によって明らかになった場合、その損害は大きなものとなる可能性があり、その損害は回復不可能なものとなる可能性が高いです。

医師会はプライバシー性の高い情報を一括管理することに反対しています。

確かに遺伝子検査の結果などは、本人だけでなく将来の子どもにも損害を与える可能性を秘めています。

まとめ

課題はいっぱいある

課題はいっぱいある

医療クラウドとの連携、検査値の共有などで便利になる患者さんも多い反面、プライバシーに配慮した利用方法となると簡単にはいきませんね。

また、検査方法について統一されていないといった医療側の要因もあります。
政府は2018年から導入すると言っていますが、どこまで浸透できるか気になります。