企業とマイナンバー制度 それぞれの管理方法

マイナンバー制度に対し、各企業は社員のマイナンバーの管理方法やセキュリティ対策の確立に力を注いでいることでしょう。実際にスタートしたばかりの制度ですが、戸惑いや不安の声は後を立ちません。更に、今後はこのマイナンバーの利用範囲が拡大する可能性があり、ますます扱いはデリケートになるかもしれません。

マイナンバー制度スタート

メディアでも何かと話題に上がるマイナンバーですが、そもそもどんな制度でしょうか。
どんなきっかけでこうなったのか、そして、何がどう変わるのか、正確に理解できていますか?
全ての国民が無関係ではいられないマイナンバー制度、特に、企業にとっては対応に労力を注がざるを得ません。
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マイナンバー制度に至る経緯とは?

遡ること、1968年の佐藤内閣時代には「国民総背番号制」の導入が検討されていた。しかし計画は頓挫する。

 約40年経った2007年 第1次安倍内閣の時に「年金記録問題」が発覚する。財政赤字が膨れ上がる中でいわゆる”団塊の世代”の大量定年退職を目前に控えた当時、行政における管理体制のずさんさが大いに取り沙汰された。

 2011年に菅内閣は「社会保障・税番号大綱」を決定するも、政権の交代によって一旦は廃案となる。

 ついに2013年、第2次安倍内閣は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」に基づき、「社会保障・税番号制度」、つまりマイナンバー制度の導入を決定する。

ずいぶん古くから計画はあったようです。
実際にマイナンバーの必要性を感じるような出来事が発生したことで、制度スタートに向け弾みがついたと言われています。
具体的には年金記録問題・不正受給問題・災害時問題ですね。
これまではマイナンバー制度は成立しませんでしたが、2007年の「消えた年金記録問題」や「生活保護費の不正受給」、2011年の「東日本大震災時の支援」がうまく行き届かないなどの問題から施行に弾みがつきました。
「生活保護費の不正受給」では、所得を隠して生活保護費を受給する事件などが多発。貧困ビジネスなどへの利用も問題になりました。
「消えた年金記録問題」は、年金手帳番号を統合する際に、5,000万件もの持ち主不明の年金記録が発生した事件。「東日本大震災時の支援」は被災者への円滑な支援金の給付や預貯金の確認で遅れをとってしまった問題です。

なぜマイナンバーが必要なんだろう

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Q:そもそも、なぜマイナンバーが必要なのか?
世の中には既に、住民票コードにはじまり、基礎年金番号、運転免許証番号、パスポート番号など、公的機関が個人に割り当てた番号があふれかえっている。それにもかかわらず、なぜ今、新たな番号制度「マイナンバー」が必要なのか?

A:マイナンバー制度を導入する背景には、大きく3つの要因があります。一つ目が、財政と社会保障の問題です。これから超高齢社会を迎えるにあたって、限られた歳入のなかで、きめ細やかな社会保障サービスを提供するためには、所得や給付状況など個々人の状況を正確に把握する必要があります。それには、様々な個人情報を紐付けて管理するための識別番号が必要になります。二つ目が、行政の効率化です。業務を効率化するためには、行政の縦割りを解消することが欠かせません。分断されている行政機関相互の情報を連携させる手段として、やはり個人の情報を紐付ける仕組みが必要です。そして最後が、東日本大震災のような甚大な災害に対する備えです。本人確認や要援護者名簿の作成、医療情報の活用といった場面で、番号制度が力を発揮します。

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従来、自治体をはじめとする行政機関の業務システムには、組織内の他システムや他の組織の個人データとつき合わせるための「ID」が存在しませんでした。たとえば、A市の住民税システムと社会保障システムではIDが異なり、同じ住民税システムでもA市とB市では異なるID体系が使われています。各システムが他の組織や制度と情報をやり取りすることを前提としていないため、組織、制度を横断して個人を特定できるIDがなかったのです。

 一方、実際の行政業務では、他のシステムが管理する情報を参照する場面も少なくありません。実際には、ごく一部の例外を除けば、個人が本人証明書を用意したり、届出書を提出したりしてシステム間で情報の受け渡しをしているのです。

少子高齢化が進展している日本では、社会保障の充実が急務となっています。限られた歳入の中できめ細やかな社会保障サービスを提供するためには、個々人の所得や給付状況を正確に把握しなければなりません。そのためには、行政機関ごとに分断された個人情報をひも付けることが必要になります。現在は、個人の正確な所得が把握できないために、税金の負担と社会保障の給付に不公平が生じています。これを是正して、公平で公正な社会を実現するために、個人情報をひも付けるマイナンバーが必要になったのです。
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行政手続きやサービスを受ける際に、国民にとっても行政機関にとっても手間が省け、スムーズになるのですね。
確かに、一つの番号で様々な機関を利用できれば便利です。
また、個人の情報をひとまとめにしておくことで、不公平な状態を放っておくことがなくなりそうです。
ズルをする人を見抜きやすくすることも目的の一つなのです。

企業にとっては面倒が増えるだけ?

企業は社員のマイナンバーを管理します。
ただでさえ業務が増えるのに、マイナンバーの扱いは慎重になる必要があるため企業としては悩ましいものとも考えられるでしょう。
実際にどんな対応が必要なのでしょうか。
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対応に頭を悩める方々がたくさんいるだろうと思うのが、
中小企業の経営者の方々です。

自分は、IT関連の仕事をしていますので、知り合いの経営者の方から
よく相談を受けるんです。

「今日も、ITの営業がマイナンバーに対応するシステムを売り込みにきたんだけど、どうしたらいいかわからない・・・」

など、経営者としてはマイナンバーの管理をしなくてはいけないことは理解しているが、IT投資までする必要があるのか?
という素朴な疑問がわくのは当然です。

企業にとってはマイナンバーの導入によって大きな負担増になりかねません。

まず、採用や就職の現場が混乱しそうです。

現在、企業が人を雇う際には免許証・住民票などで本人確認をしていますが、今後、採用や転職などさまざまな場面で、マイナンバーの提示が求められるようになります。

もちろん、正社員だけでなくアルバイトやパートなどを含めた従業員全員のマイナンバーを企業は把握する必要があります。

さらに、こうしたマイナンバーの情報を従業員が不正に漏洩した場合、雇用した企業も罰せられます。

そうした厳しい罰則に触れないようにするため、企業側も万全の対策が必要にとなります。

現在、「個人情報保護法」が適用されるのは扱う個人データが5000件を超える場合ですが、マイナンバーに関しては1件から適用されます。

そのため、ほとんどの企業ではマイナンバーの取り扱いについてなんらかの対応をとる必要性が発生すると見込まれます。

マイナンバーの管理に当たっては、社員教育の徹底とセキュリティ体制の構築も課題になってくるでしょう。

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会社で従業員や扶養家族のマイナンバーを取り扱うにあたっては、ITを使うと管理がしやすい。

もちろん、すべて手作業で行うこともできるが、マイナンバー情報を記載した書類の保管に金庫を設置したり、出し入れをした人や日付を記載するのはかえって面倒だ。

マイナンバー関連業務をするときは、他の従業員から見えないような場所(衝立の設置など)も求められる。

マイナンバーの取り扱い方法に関しては、各企業様々でしょう。
紙ベースでアナログ管理か、ITを駆使するか、さらには外部に委託してお任せ、等どんな選択肢を選ぶのがいいのでしょう。
大前提なのが、マイナンバーの漏洩・流出が起きないことです。
とはいえ、100%安全な管理方法はありません。
どんなに労力や人材を使っても、費用を投じても、絶対とは言えないのです。
だからこそ頭を悩ませている企業は少なくありません。

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