講演の先生など個人事業主が個人番号の提供を拒否したら?実務上の対応をチェック!

企業担当者の皆さん従業員にマイナンバーの提供を拒否された場合の対応は万全でしょうか。提供拒否が考えられるのは従業員ばかりではありません。講師を依頼した個人事業主から提供を拒否されることも考えられます。従業員は服務規律などによってある程度対応できるものの一度きりの講演者などから提供拒否された場合、滞りなく対応するのは困難です。いざ提供拒否された場合もしっかり対処できるように実務上望ましい対応をチェックしておきましょう。

講師などに提供拒否されたら?企業にペナルティはない!?

 (44040)

税務署は書類を受理してくれる!

Q2‐10 従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか。

(答)

法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。

それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。

経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。

なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。

講演料の先生から個人番号を取得できないときの対応も従業員から提供拒否された場合の対応と同様で、①法律上の義務であることを伝える②提供を求めた経過等を記録するの二つを行います。しかし一度きりの講演などの場合バタバタしてしまいきちんとやりとりできないかもしれません。

事前に法律上の義務であることを書面で伝えましょう!

 (44042)

つまり、講演料の「支払調書」の個人番号記載箇所を空欄にして税務署に提出すればよいのですが、支払調書に個人番号を記載することは法律上の義務です。そこで実務的には、事前に「個人番号提供のお願い」の書類に「個人番号の記載は法律上の義務となっています」と記して先方に渡す。番号の提示を拒否された場合は、提供を求めた経緯などを記録しておく。それが税務署への説明材料となります。逆に、先方が責任を負うこともありません。マイナンバー法では個人番号を提供する義務がないからです。
「個人番号提供のお願い」書類に記載しておけばとりあえず「法律上の義務であることを伝える」はクリアできますね。そのあとにするべき「番号提示拒否のやりとりを記録」もスムーズにこなすことができるでしょう。

支払調書は5万円以下なら提出する必要なし!

支払調書は、年間5万円以下なのか、5万円を超えるかで扱いが違ってきます。

エキストラさんという表現をしていますが、タレントさん、現場・取材先での出演者(ゲスト、現地の方)の出演料も同じです。

その出演者に付き年間5万円以下であれば、そもそも税務署に支払調書を提出する義務がありません。
「5万円以下だけど支払調書を渡している(送っている)」企業様も多いと思いますが、法的には支払調書は税務署提出分1通だけ作成・提出義務があるだけです。便宜上、支払調書を外部の方にお送りしているだけ、あるいは支払調書を2部(2通)作ると思い込んでいる発注企業様・・・。

年間5万円を超えるのであれば、本人確認が必要です。
支払調書を税務署へ提出する義務がある場合は、マイナンバーの確認が必要になってきます。

税理士さん・弁護士さん・社会保険労務士さんなどへの報酬(分岐点・5万円)、個人地主さんへの地代(分岐点・15万円)なども同じように考えてください。

まあ士業の方に年間5万円以下しか支払わないのは、単純な相談か、スポット業務や講演料くらいでしょうか。

税金・支払調書に関することは、顧問税理士さんや税務署にご相談ください。

マネジャーや秘書が代わりに提示する場合はどうなる?代理権の確認は必要?

 (44043)

タレンントのマネジャーや社長の秘書が代理人として提示する可能性もある!

「代理人」というと、国民年金第3号被保険者の手続きをイメージする人が多いだろうが、それだけではない。例えば、講演会のために外部講師を依頼した時に、外部講師のマイナンバーを、間に入っているマネジメント会社から受領する場合は、契約形態にもよるが、多くの場合、代理人からマイナンバーの提供を受ける形になる。また、雇用保険の雇用継続給付で、労使協定に基づいて会社が手続きを行っている場合には、手続きを行う会社は代理人となる(図2)。

代理人から本人のマイナンバーを提供される場合の手続きは?

Q4-3-2 代理人から本人のマイナンバー(個人番号)の提供を受ける場合は、どのように本人確認を行うのですか?
A4-3-2 代理人からマイナンバーの提供を受ける場合は、①代理権、②代理人の身元、③本人の番号の3つを確認する必要があります。原則として、
①代理権の確認は、法定代理人の場合は戸籍謄本など、任意代理人の場合は委任状
②代理人の身元の確認は、代理人の個人番号カード、運転免許証など
③本人の番号確認は、本人の個人番号カード、通知カード、マイナンバーの記載された住民票の写しなど
で確認を行いますが、これらの方法が困難な場合は、他の方法も認められます。詳しくは、[こちらの表]をご覧ください。(2014年7月回答)

マネジャーや秘書から代理権や身元確認をする必要があるかどうかは微妙

また、講演者が芸能人だった場合、同行したマネジャーが、代わりに個人番号提示を行うことも考えられます。マイナンバー法に基づくと、そのマネジャーに対して代理権の確認や代理人の身元(実在)確認を行うことになりそうです。講演者が社長の場合は、秘書が同行して本人の個人番号提示を行うことも考えられます。これらの場合、そのつど代理権や身元確認をしなければならないのか。それとも「使者」と考えていいのか。

こうした個別のケースについては、まだ明確な回答が出ておらず、実務で混乱が生じる場合は対応が変更されるケースもあります。お勧めしたいのは、監督官庁の公式サイトをこまめにチェックすることです。とくに内閣官房のマイナンバー特設ホームページには、関係官庁の特設サイトのリンクもあり便利です。

マネジャーや秘書などが本人の代理として番号を提示する場合、代理権や身元確認をしなければならないかどうかは実務上まだ明確ではないようです。随時政府のホームページを閲覧して回答されていないかどうか確認しましょう。

あなたにオススメのコンテンツ



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする