民間企業は、マイナンバー制度に対応する時間が少なくなった時、確実で効率的な対応が必要になってきます。今回は3ステップで決まる対応を紹介します。
ステップ1 個人番号の収集
個人番号を収集する時期
個人番号関係事務(=支払調書等を行政機関等に提出する事 務)を行う必要が生じた時点で提供を受けるのが原則。
ただし、将来必要になることが予想されるのであれば、事前に 提供を受けてもよい。
従業員、扶養親族等
• 入社時等に提供を受ければ、それを継続的に利用してよい • 2015年10月の施行時には、全従業員から提供を受ける
– 典型的には、2016年分の扶養控除等(異動)申告書
取引先
• 契約の締結時点で支払調書の作成が不要であることが明らかである場合を除 き、契約の締結時点で個人番号の提供を求めることが可能
株主
• 当該株主が株主としての地位を得た時点で個人番号の提供を求めることも可能
記載したメモを受け取ったり、プリントしたものを受け取る等は「収集」に当たります。
その点も注意しましょう。
ステップ2 個人番号の保管・管理
保管ルール必要がある場合だけ保管が可能です。必要でなくなったら破棄して下さい。
必要がある場合とは、
翌年以降も継続して雇用契約が認められる場合
所管法令によって、一定期間保存が義務付られている場合
マイナンバーの保管には、細心の注意が必要です。
例えば、担当者を決めて、担当者以外が取り扱うことのないようにする。間仕切りを設置して、覗き見されない場所に座席配置をする。書類は鍵付のキャビネットに保管する。ウイルス対策ソフトウェアを導入して、最新の状態にアップデートしておく等です。
特に留意すべき点は、マイナンバーを利用して行う事務を処理する必要がなくなった場合で、書類の法定保存期間を経過した場合には、マイナンバーをできるだけ速やかに廃棄または削除しなければならない、とされている点です。例えば、扶養控除等申告書の法定保存期間は7年ですが、この法定保存期間の7年を経過した場合には、マイナンバーを復元できない手段でできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければなりません。あるいは、マイナンバー部分を復元できないようにマスキングまたは削除した上で、当該書類の保管を続けるという方法もあります。
次に、削除・廃棄の具体的な手法を政府サイトからの抜粋で紹介します。
「(別添)特定個人情報に関する安全管理措置(事業者編)」
特定個人情報等が記載された書類等を廃棄する場合、焼却 又は溶解等の復元不可能な手段を採用する。
・ 特定個人情報等が記録された機器及び電子媒体等を廃棄す る場合、専用のデータ削除ソフトウェアの利用又は物理的な 破壊等により、復元不可能な手段を採用する。
・ 特定個人情報ファイル中の個人番号又は一部の特定個人 情報等を削除する場合、容易に復元できない手段を採用する。 ・ 特定個人情報等を取り扱う情報システムにおいては、保存 期間経過後における個人番号の削除を前提とした情報シス テムを構築する。
・ 個人番号が記載された書類等については、保存期間経過後 における廃棄を前提とした手続を定める。
一番確実な廃棄方法で真っ先に思い浮かぶのが焼却ですが、やはりこのサイトでも推奨していました。
ステップ3 行政機関への提出
企業が従業員等の個人番号を行政機関に提出する場合
(1)個人番号関係事務実施者として提出する
(2)従業員の代理人として提出する
(3)個人番号利用事務等の受託者として提出する
ミラサポ事務局:「マイナンバー制度」開始に伴い、中小企業・小規模事業は何を行う必要があるのですか?影島弁護士:とってもシンプルで、
行政機関に提出する書類に、個人番号を記載して提出する
そのために個人番号を集める
この2つのみを行う必要があります。企業が行政機関に提出する書類は、「社会保障」と「税」にかかわる書類の2通りのみです。
社会保障の書類
健康保険で健康保険組合に提出、雇用保険でハローワークに提出、年金で年金事務所に提出など
税の書類
従業員の源泉徴収票、取引先の支払調書を税務署に提出など個人番号を集める目的は、「行政機関に提出する書類に記載するため」だけですので、その必要がないのに集めることは違法となります。故意で不正に集めれば罰則もあります。
小さな会社でも必要?
民間の事業者は企業規模の大小に関係なく対応が必要です。マイナンバー制度導入後は、民間事業者が、書類を行政機関に提出する際、マイナンバー(個人番号)の記載が必要になります。
注意すべきなのは、記入漏れやナンバーの書き間違いですね。
個人番号・法人番号は、いつから法定調書等の税務関係書類に記載する必要があるのか?
申告書、法定調書等の税務関係書類への個人番号・法人番号の記載は、例えば、1 所得税や贈与税については、平成28年分の申告書(平成29年1月以降に提出するもの(平成28年分の準確定申告書にあっては平成28年中に提出するもの))から、
2 法人税については、平成28年1月1日以降に開始する事業年度に係る申告書から、
3 消費税については、平成28年1月1日以降に開始する課税期間に係る申告書から、
4 相続税については、平成28年1月1日以降の相続又は遺贈に係る申告書から、
5 酒税・間接諸税については、平成28年1月分の申告書から、
6 法定調書については、平成28年1月以降の金銭等の支払等に係るものから、
7 申請・届出書等は、平成28年1月以降に提出するものから(税務署等のほか、給与支払者や金融機関等に提出する場合も含みます。)個人番号・法人番号の記載が必要となります。
平成28年1月1日以降は、忙しくなりそうです。