マイナンバー制度で口座情報はどうなる?

マイナンバー制度ではいずれ銀行口座にも番号を紐づけされることになっています。口座の情報はどのように利用されることになるのでしょうか。

預貯金口座への附番

国民一人一人に12桁の番号を割り当てて行政手続きに活用するマイナンバー制度で、平成30年から預金口座にも任意で番号を適用するなど活用範囲を拡大する改正マイナンバー法が3日の衆院本会議で可決、成立した。政府は国民の資産状況を正確に把握し、脱税や年金の不正受給を防ぐことを狙う。一体で審議された改正個人情報保護法も成立した。
平成30年から預貯金口座へマイナンバーと法人番号が付番されます。
目的は大きく2つです。
①ペイオフのための預貯金債権の把握
②社会保障制度における資力調査と国税・地方税の税務調査の効率化

当面は任意ですが、平成33年を目途に義務化を進めています。
マイナンバーとの紐づけによって我々の資産が政府の自由にされてしまうのではないでしょうか。

海外資産にも手が伸びる

(1) 平成29年1月1日以後に銀行等の一定の金融機関(以下「報告金融機関」という。)との間でその国内にある営業所等を通じて預金又は貯金の受入れを内容とする契約の締結等の一定の取引(以下「特定取引」という。)を行う者は、その者(その者が一定の法人(以下「特定法人」という。)である場合における当該特定法人の支配者である個人を含む。)の氏名又は名称、住所、生年月日、居住地国(その者が居住者として租税を課される国又は地域をいう。以下同じ。)、居住地国が外国の場合にあっては当該居住地国における納税者番号、その者の居住地国が住所に係る国又は地域と異なる場合にはその異なる事情の詳細その他必要な事項を記載した届出書を、その特定取引を行う際、当該報告金融機関の営業所等の長に提出しなければならない。
非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の整備
国によって税制・税率が異なるため、税金が安くなる海外に資産を移すなどの節税対策に対しても政府は手を打っています。
「平成27年度税制改正大綱」では金融機関が個人・法人の保有する金融口座情報を政府に対して報告する制度が定められました。
この報告された情報はOECD(経済協力開発機構)に加盟する各国政府間で年次更新されます。
国内居住者の課税逃れや資産フライトの監視を厳重にする狙いがあります。

OECDとは?

OECDとは?
経済産業省 対外経済政策総合サイト

申告にはマイナンバーが必要

・国外送金等調書
・国外証券移管等調書
・国外財産調書

海外資産を申告する調書には全てマイナンバーが求められるようになります。

賦課・徴税情報は分散管理

マイナンバー管理

マイナンバー管理

マイナンバーの情報は中央で一括管理されるわけではなく、各機関で管理されている情報を番号を使ってやりとりする分散管理が取られます。
これはかつての住基ネット訴訟で「国が情報を一元管理することは憲法違反になり得る」という見解が出たためです。
なので政府がマイナンバーの情報を元に資産を自由に管理することはできません。

裁判所

裁判所
住基ネット訴訟について

守秘義務違反への罰則

分散管理されるとはいえ、マイナンバーによって名寄せが可能になりました。
こうなると大きな心配は国や地方自治体が自由に個人法人の資産情報を入手する可能性です。
これらが課税の強化に繋がるのでは、との不安も大きいです。

しかし法律に基づく利用目的に対して、必要限度を超えて利用することは禁止されています。
企業だけでなく国や地方公共団体にも厳しい罰則が適用されます。
なので資産を丸裸には出来ても、情報を好き勝手には利用できないようになっています。

罰則の強化

罰則の強化

特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン

特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン

主な情報捕捉は「徴税」

国が個人情報を捕捉する大きな目的は脱税や不正受給などの摘発のための捜査です。
法人番号も脱税の調査や社会保険料未納企業の捜査にも利用されます。
半面、資格があるのに受給できない国民や企業が効率的に給付を受けられる設計もされています。

なので理由もなく資産状況を調べるためにマイナンバーを取得する行為は不正利用に該当し、厳罰に処されます。

個人情報が国に管理される大きな不安は「国による監視」です。
とはいえ政府も国民の懸念が強いことは理解しているので、勝手な情報の捕捉はできないようになっています。
利用目的以外の用途で個人情報を取得することは国や自治体であっても罰則があります。

管理の安全性

マイナンバーと預貯金口座の情報が連携するもう一つの不安は情報漏えいです。
マイナンバーの情報が流出することで資産の情報が流れてしまうのではないだろうか、心配になります。
しかし政府は以下の3点を理由に否定しています。

①情報連携においてマイナンバーを符号化して連携キーにする
②分散管理
③紐づけした情報が流出することはない

あくまでも番号は情報をやり取りするための鍵、これ自体が流出してもアクセス権限を持たなければ何も出来ません。
更に情報は各機関に管理されているため、流出が発生した時点で各々対策を取るのでマイナンバーが流出したとしても個人情報の流出には繋がらないということです。
これだけでなく安全管理においては重い対策を掲げていますが、もちろん企業ばかりでなく国・自治体も措置を講じることを求められています。

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