いよいよ始まったマイナンバー制度。企業は、手続きの関係上従業員のマイナンバーを集めなければなりません。どのように集めたらいいのか、おさらいしておきましょう。
そもそもマイナンバーとは?
マイナンバーとは、国家が国民ひとりひとりに番号を割り当て、個人の所得や年金、納税などの情報を1つの番号にひも付けて管理する目的でつくられる「共通番号制度」のこと。国民につける個人識別番号を「マイナンバー」と名づけたため、マイナンバー制度と呼ばれるようになった。
企業でもマイナンバーが必要になります
通常、会社員には確定申告の義務がありません。これは、企業が従業員のかわりに社会保障手続きや源泉徴収を行っているからです。ということは、マイナンバー制度がスタートすると、企業はこれらの手続きをする際に従業員のマイナンバーを記入する必要が出てくるため、マイナンバーの収集が必要になるというわけです。
マイナンバーの収集が認められています
番号法第19条第3号においては、本人から個人番号関係事務実施者に対して当該本人の個人番号を含む特定個人情報を提供することが認められており、住民への個人番号の通知が始まる平成27年10月(予定)に施行されます。
同様に、第12条等※についても、平成27年10月に施行されることから、番号法上、個人番号関係事務実施者が、平成28年1月以前に、個人番号関係事務の準備のため、あらかじめ従業員に対して個人番号の提供を求め、収集・保管し、特定個人情報ファイルを作成することができます。• 個人番号関係事務実施者に対して個人番号の安全管理を義務づける第12条
• 個人番号の提供の求めを第19条各号で特定個人情報の提供が認められる場合に制限する第15条
• 特定個人情報の収集・保管を第19条各号により特定個人情報の提供が認められる場合に制限する第20条
• 特定個人情報ファイルの作成を個人番号関係事務の処理をするために必要な範囲に制限する第28条
マイナンバー収集対象者
収集の対象となる者の洗い出しです。洗い出すのは、主に以下のような項目に該当する対象者になります。① 従業員等とその扶養家族
② 不動産の使用料金の支払先
③ 士業等、外部の報酬支払先
④ 配当の支払い先従業員「等」には、役員やパート・アルバイトも含まれますのでご注意ください。
また、業態としてパート・アルバイトの多い業種(小売業、製造業、飲食業など)や、謝金の支払いの多い業種(出版関係など)は、たとえ中小企業であってもマイナンバーに係わる事務処理が膨大になる可能性があるので、早めにマイナンバーの収集を開始するように注意してください。
収集対象者への周知
まず、従業員や外部の取引先に対し、「○日までにマイナンバーの会社への提出を依頼する」、社労士や税理士の先生に、「○日までに会社から対象者のマイナンバーをお渡しする」、という基本的なスケジュール設定をしましょう。
スケジュールとあわせて、具体的な提出方法の周知(マイナンバーのコピーだけ提出すればいいのか、会社所定の書式も提出が必要か、本人確認書類もあわせて提出するかなど)も整理しておいてください。
また、上記に付随して、会社が受け取ったマイナンバーの利用目的や会社側の適切な管理ポリシーを記載した誓約書などを提出者に対して交付する、といった対応ことも必要になろうと思います。
本人確認は必ず行いましょう
マイナンバーを取得する際は本人に利用目的を明示するとともに、他人へのなりすましを防ぐために本人確認を必ず行ってください。
本人が目の前にいる時の本人確認法
雇用関係にある場合は、採用時に履歴書といった顔写真入りの書類によって本人であることが明らかとなっています。本人であることが明らかである場合には本人確認書類は必要ありません。本人確認書類が必要となる場面で提示されるカードがICチップ内蔵の個人情報カードであれば顔写真付きとなるため、それ1枚で番号確認と本人確認を行なうことができます。しかし通知カードであれば本人確認の書類が別途必要となります。運転免許証やパスポートをはじめ、顔写真入りの住民基本台帳カードや学生証、資格証明書といった書類が対応可能な書類となります。
社内ネットワークを利用した本人確認方法
社内ポータルを活用して本人確認を行う方法です。年末調整の申告に社内のWEBシステムを活用している企業も多いかと思います。その際、事業者が本人確認の上で従業員に対して発行した従業員固有のログイン用ユーザーID及びパスワードによりログイン認証することで身元確認を行うことが可能です。