従業員が番号の提供を拒否

従業員が、事業主に番号の提供を拒否することがあります。理由は、副業がばれたくないとか、通知カードをなくしてしまったのかは分かりません。しかし、会社側は法廷調書等に番号を記載する義務があります。番号を記載しないとならないのに、記載できない。そういった場合の対応は・・・

拒否をする理由がある

 (13167)
マイナンバーを会社に教えたくない理由というのは、いくつかあると思われます。

・企業の情報管理体制が信用できない。
・悪用されるのではないか。
・とにかく、自分や家族の個人情報を出したくない。
・副業をしているのがバレるから。

・・・と、理由は人それぞれによって違います。

しかし、会社側が自分の代わりに保険料や税金を納めている以上は、避けることは難しいようです。
申告書等には、マイナンバーをつけて提出することになっているからです。

番号の提供拒否で、申告書に番号を記載できない

google 画像検索より (13156)
申告書等に個人番号・法人番号を記載していない場合、税務署等で受理されないのですか?
(答)
申告書や法定調書等の記載対象となっている方全てが個人番号・法人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号・法人番号を記載することはできませんので、個人番号・法人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。
一応、受理をしてくれるようですね。
番号があった方が、処理がスムーズになるのは確かだと思います。

番号の記載がないままで、申告書等の提出は可能?

 (38750)
従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか?
(答)
法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。

経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。

企業が提供を求めるのも理由があってのことですが、いつまでも提供しないままでもいられないようですね。
出さないでいる経過まで管理されてしまうなんて。
何度も提供するように言われてから出すなら、最初から提供したほうがよさそうです。

拒否をし続けると・・・

 (13161)
労働契約法第十五条
第十五条  使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
労働法で考えると、個人番号を提供しないだけでは解雇できないような感じです。
解雇にならないからと、ずっと拒否を続けていくのは難しいかもしれませんね。
採用時の提出書類
・個人番号カード又は行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則1条1項1号に定める書類(運転免許証,旅券等)及び通知カード(原本を会社に提示するか,写しを会社に郵送する方法による)

服務規律に加える
・労働者は,「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に規定された会社による個人番号の提供の求め及び本人確認に協力しなければならない。

企業が提供拒否を考えて、就業規則を変更する。
こういった規律が入ってしまうと、提供をしないとならないですね。
提供拒否をし続けることは難しくなると思われます。

取扱や管理を明確にする

 (38752)
「取扱規程」は、
・個人番号を取り扱う事務の範囲と特定個人情報等の範囲を明確にし、
・実際に事務を取扱う担当者を明確にした上で、
・事務の流れを整理し、特定個人情報等の具体的な取扱いを定めたもの

具体的には、取得、利用、保存、提供、削除・廃棄の管理段階ごとに、取扱方法、責任者・事務取扱担当者及びその任務等について安全管理措置を織り込みながら定めていきます。

「就業規則」は、
職場ルールを成文化したもので、全従業員が守るべきものであり、違反した場合には懲戒処分をすることも可能(懲戒処分を科すためには就業規則に規定しておくことが必要です)であるという性質上、マイナンバー制度について全従業員に知らせたいこと(遵守すべきことや禁止事項、会社の事務への協力等)を規定し周知します。服務規律として情報漏えいをしないこと等を規定しておけば情報の保護という意識を高めていくことにもつながります。

まとめると、
① 「取扱規程」は業務マニュアル・業務フローとして常に見直し修正する
② 「取扱規程」は事務取扱担当者のみが閲覧できるよう制限する
③ 全従業員に周知し、守らせたいルールは就業規則の別則として規定する

ガイドラインが整備されていないと、それを理由に従業員は個人番号を提供拒否を続けることが考えられます。
個人番号の取扱規程をしっかりと定めて、納得してもらうしかなさそうです。

ガイドラインを整備し、個人情報の扱い方を明確にするために、
取扱規定をしっかり作ったほうが良いと思います。
従業員が100人以下の場合、取扱規程が義務付けられてはいないので、
個人番号を提供してもらうためには、従業員の人数に関わらず、しっかりと作っておいたほうがよさそうです。

義務なのです

事業者としては、個人番号の提供を拒んだ従業員に対して、「社会保障や税の決められた書類に個人番号を記載することは、法令で定められた義務である」ということを周知し、従業員に対して個人番号の提供を求める(督促する)ことが必要になります。また、そのことについて記録をしておく必要があります。

今回は、別紙周知文(マイナンバー制度に伴うお知らせ)で事前にマイナンバーの提供の意義を周知した上で提供を拒否する従業員がいた場合に、この確認書を受領することで万が一行政に「マイナンバーを社会保障や税の書式へ記載することは法令で定められた義務であることを周知の上提供を依頼したのか」と問われた場合でも、周知文と合わせて提出拒否確認書を提示することで会社としての周知を行った事実を示す証拠となります。

個人番号の提供は、法令で定められた義務なのです。
社会保障や納税に関わってくるため、協力をしてもらうように、事実を理解してもらいましょう。

それでも、拒否を続けるときは、周知文と提出拒否確認書も忘れずに。

あなたにオススメのコンテンツ



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする