マイナンバー制度が本格的に導入されましたが、一方で、書類に記載がなければどうなのか不明瞭な部分も多く残っています。この点を、全国中小業者団体連絡会が各省庁と内閣府に問い合わせました。
全国中小企業連合会が各省庁に要請
行政の効率化
マイナンバー制度の導入後は、国や地方公共団体等での手続で、個人番号の提示、申請書への記載などが求められます。国や地方公共団体の間で情報連携が始まると、これまで相当な時間がかかっていた情報の照合、転記等に要する時間・労力が大幅に削減され、手続が正確でスムーズになります。
行政の効率化のために導入されたマイナンバーですが、実際にどのように書類に記載し、提出するか不明な部分も多くありました。
via www.soumu.go.jp
全商連も加盟する全国中小業者団体連絡会(全中連)が10月27、28の両日に行った省庁交渉ではマイナンバー(共通番号)制度実施の延期・中止を求めるとともに「共通番号の記載がなくても提出書類を受け取り、不利益を与えないこと」などを要望しました。
中小企業を中心に、マイナンバー導入の負担が大きい事と、準備期間の短さから多くの疑問の声や、反発の声が上がっていました。
via blog.livedoor.jp
主だった省庁の回答は?
【内閣府】
「個人番号カード」の取得は申請によるもので強制ではない。カードを取得しないことで不利益はない。「扶養控除等申告書」「源泉徴収票」などの法定資料や雇用保険、健康保険、厚生年金保険など書類に番号が記載されていなくても書類は受け取る。記載されていないことで従業員、事業者にも不利益はない。
従業員から番号の提出を拒否されたときは、その経過を記録する。しかし、記録がないことによる罰則はない。
個人情報カードの取得は強制ではなく、罰則も無いそうです。また、不利益も無いとの回答がありました。
【国税庁】
確定申告書などに番号未記載でも受理し、罰則・不利益はない。
事業者が従業員などの番号を扱わないことに対して国税上の罰則や不利益はない。
窓口で番号通知・本人確認ができなくても申告書は受理する。
これらのことは個人でも法人でも同じ。
税金関連の書類も、マイナンバーの記載がなくても受け取ってくれるようです。
【厚生労働省】
労働保険に関して共通番号の提示が拒否され、雇用保険取得の届け出で番号の記載がない場合でも、事務組合の過度な負担が生じないよう、ハローワークは届け出を従来通り受理する。罰則や不利益はない。
労働保険事務組合が番号を扱わないことによる罰則や不利益な扱いはない。
番号を記載した書類を提出するとき、提出者本人の番号が確認できない場合でも書類は受理する。
労働保険関係にも影響はないようです。
では、一体どういうことなのか?
マイナンバー制度に従って、個人番号の記入を本来求められている書類に個人番号を記入しなくても、罰則もないし、不利益もない。書類も受理します。
それならば、何もしくていいのではと思われがちですが、今後、この内容が変更されていくかもしれないことには注意が必要です。
しかしながら、現状こうした回答を得たと発表しているのが全国中小業者団体連絡会のみと限定されており、当局側のQ&Aでこうした「不利益がない」ことを保証しているわけではありませんので、これらを「お墨付き」として鵜呑みにするのは、もう少し慎重であった方が良いのではないかと思います。
via office-pre2.com
今年に関していえば、年末調整の際などに合わせて従業員からの提出が求められている平成28年分の「扶養控除等申告書」に各従業員および各人の扶養親族らのマイナンバーを記載する必要があるとされていますが、これを無視しても確かに罰則がないことは分かっていますから*3、当エントリの結論として、「とりあえず今年末はマイナンバー対応を無視して、もうちょっと様子見してみる」ことを実行される中小事業者がいても大きな問題はないのではないかと思うわけです。
まだ、実際に書類を提出し、確認した人がいないため、現場の対応が食い違う可能性もあります。
将来の義務化はすでに視野に入っていると言う話も
いままでも、マイナンバーが個人の銀行口座にも適用されるという話は、ニュースなどで聞いたことがある人も多いかと思います。そのマイナンバーの適用範囲を拡大し預金口座にも適用する「マイナンバー法改正案」が、2015年9月3日に国会で成立しました。
現段階では、マイナンバー法が施行されたとしても、直ちに預貯金口座の開設や銀行取引においてマイナンバーの提示を求められる法律上の義務はありません。しかし、近い将来、義務化される見通しであることは間違い無いでしょう。
via action-now.jp
法律は改正されるもののため、銀行預金のように各省庁への書類にも、マイナンバーの記載が義務化される可能性があります。
将来に備えて様々な情報を取り込み、システムを構築していくこともまた重要なのです。
将来に備えて様々な情報を取り込み、システムを構築していくこともまた重要なのです。