内閣府の「個人番号カードに健康保険証を取り込む方針」とは?

2014年7月30日に開催した「マイナンバー対応実践セミナー」の講演で内閣府大臣官房番号制度担当室長の向井治紀審議官が語ったこの方針。健康保険証に取り込まれることで、関連企業にどんな影響を与えるのか?これらに関係する記事を集めてみました。

向井治紀審議官が語った内容とは?

内閣府大臣官房番号制度担当室長の向井治紀審議官(写真1)はマイナンバー制度(行政手続き番号法)について、「個人番号カードに健康保険証を早急に取り込んでいく政府の方針は決まっている」と述べた。日経コンピュータが2014年7月30日に開催した「マイナンバー対応実践セミナー」の講演で語った。

 個人番号カードは、マイナンバー制度で個人番号と本人の両方の確認ができる唯一のカード。写真付きで、身分証としても利用できる。ただ発行には本人による申請が必要で、普及に時間がかかるとみられていた。個人番号カードに内蔵するICチップの空きスペースに健康保険証の記号番号を入れて機能を付加すれば、健康保険組合のある民間企業などの事業所単位で個人番号カードを配るという普及策も考えられる。

 講演で向井審議官は、政府IT総合戦略本部長の安倍首相や自民党などから、健康保険証や公務員の身分証明書として早急に利用できるよう求められていると説明。自民党からはマイナンバー制度が始まる2016年1月以降ただちに健康保険証の機能の集約化や、市町村職員が事業所でカードを配る提案も出ているという。事業所と従業員の住所が異なる場合は、事業者の市町村長に従業員の住所地の市町村長が委任する案なども議論されているという。

 事業所単位で個人番号カードが発行できるようになれば、企業にとって従業員の個人番号の本人確認がしやすくなる可能性もある。向井審議官は「これまでは制度開始後5年間で個人番号カードが2、3割普及すれば上出来と思われていたかもしれないが、あっという間に8、9割になる」と述べた。

話の内容によると、企業には手間の削減というメリットがもたらされることがわかります。
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10年ほど前にすでに考えられていた!

個人番号カードに健康保険証の機能を付加することについては、今から10年ほど前に作成された「住民基本台帳カード・国民健康保険証等連携検討会報告書(PDF)」が参考になるでしょう。

この報告書の結論を言えば、「住基カードと健康保険証の連携は難しい」というものですが、これはあくまでも当時の健康保険の運用状況を前提としたものです。健康保険証の券面や裏面に書いてある項目を、住基カードの券面に全て記載することなど、そもそもするべきではありませんし、住基カードと紙の健康保険証を両方持参するなど、利用者視点から離れすぎています。

via http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/5d277ff0fac7740e1c98e018fe76f4be
住基カードでは不可能だったが、個人番号カードでは可能になりそうなのでやってみようということになったわけですね。

それでは一体どうやって取り込むのでしょうか?

次の項に説明記事を掲載しました。

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どのように取り込むのか?

ICチップに健康保険情報を書きこみ
厚生労働省が、「健康保険証」とマイナンバーカードを将来的に一体にするという素案をまとめた。

マイナンバーカードの裏側にあるICチップに健康保険組合の情報を書きこんで医療用IDへのアクセスを可能にするという内容だ。

政府は現在検討中のようですが、多分このやり方で取り組むことになるのでしょう。

ICチップの空き容量は、市町村等が用意した独自 アプリ を 搭載するために利用するそうですが、早速国がこの空き容量を使いそうですね。

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医療分野におけるマイナンバーの未来は?

「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」の中間まとめとしては、保険者間の検診データの連係、予防接種の履歴の共有、医療保険のオンライン資格確認を現行の番号法の枠組みの中で対応を検討する一方、マイナンバーを用いて医療機関・介護事業者間の連携、本人への健康医療情報の提供・活用、健康・医療の研究分野における活用などを行う方向性が出されました。

具体的には、医療保険のオンライン資格確認をできる限り、早期に導入するための検討を始め、医療分野におけるマイナンバーのあり方について、マイナンバーのインフラの活用、個人情報保護を含めた安全性と効率性・利便性の両面が確保された情報連携の仕組みを検討する、ということになっています。

この方向性を受け、国として保険者間の検診データの連係、予防接種の履歴の共有などを盛り込んだ番号法改正案を提出し、可決成立しました。

来年7月からは医療保険システムの効率化・基盤整備を目指し、医療保険のオンライン資格確認を行える仕組みの導入が検討されています。さらに、国民皆保険であるという利点を生かし、医療保険の資格確認の仕組みを、医療連携への活用につなげようとしています。

ただ医療分野でのマイナンバーを活用する際には、その「生後から死後まで生涯変わらない番号」という特徴から漏洩によって被る被害が大きくなる可能性を秘めています。現状の個人情報保護の仕組みだけではなく、もっと高い次元での情報保護が求められることになるため、民間事業者、特に中小企業の大きな負担となる可能性も捨てきれません。

マイナンバーが医療分野と深く関われば関わるほど、情報を保護しなければいけない中小企業の負担は一層大きくなりそうですね。
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巨額の医療利権がIT企業に転がり込む?

何より、厚労省がMNを使ってゴリ押ししようとしている医療用IDシステムを管理するのは、政府ではない。委託される民間のIT企業だ。

「死ぬまで変わらないMNの利権にひとたび食い込んでしまえば、セキュリティーなどシステムの管理で半永久的に商売になる。MNのその先にある、巨額の医療利権にとにかく食い込もうとして起きたのが、厚労省室長補佐によるMN汚職事件なのです。医療情報という究極のプライバシーを民間企業に扱わせていいものなのか。もし情報が外部に漏れ、ビジネスに悪用されるようになったら、政府はどう対処するのか。不安は尽きませんね」(前出の医療ジャーナリスト)

この利権がいくらになるのか見当もつきません。

巨額なものになることは間違いありませんが。

政府は、ビッグデータが悪用された時の対処策を作り、国民全員に納得がいくものになってから、健康保険証を取り込むようにしたほうがいいと思います。

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政府サイトでは?

(永岡厚生労働副大臣) 資料1「医療等分野におけるICT化の推進について」の1ページをご覧いただきた
い。患者に提供されるサービスの質の向上を目指し、ICT利活用の効果を最大限に発 揮させる必要がある。このため、2020年までにICTインフラを積極的に整備する。
具体的には、ポイント1として医療連携や医学研究に利用可能な番号の導入、ポ イント2として医療機関のデータのデジタル化と地域の医療機関間のネットワーク 化、ポイント3として医療データの利用拡大のための基盤整備に取り組む。
2ページをご覧いただきたい。ポイント1についてご説明する。まず、個人番号 カードに健康保険証の機能を持たせる。具体的には、マイナンバー制度のインフラ を利用して、2017年7月以降、できるだけ早期に医療機関の窓口でのオンラインに よる医療保険の資格確認のシステムを導入する。
2017年7月以降にXデーがやってきそうです。

手続きが簡素化されるのは、国民にも企業にも嬉しいことですが、ともかく情報漏えいが心配です。

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