マイナンバー制度とは、国民1人ひとりとに唯一無二の番号を付すことで、縦割り制度による複数の機関に存在する個人の情報を、同一人の情報であると確認するための社会基盤(インフラ)です。
マイナンバー制度が企業に与える影響
マイナンバー制度が与える企業への影響
・中小企業を含むすべての企業が対象となる
・全部署・全従業員に業務上で対応が必要
・ 罰則が厳格化マイナンバー制度の施行により、企業はその利用の範囲において、さまざまな対応が求められます。また、その対象範囲は多岐にわたり、取扱いについては「特定個人情報」として扱われ、利用範囲が制限されるとともに、不正な取扱いをした場合においては厳しい罰則が規定されます。
どのような業務が影響を受けるか
・人事・給与業務
従業員等からマイナンバーの提供を受け、給与所得の源泉徴収票、給与支払報告書、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届等の必要な書類に記入し、税務署や市区町村、年金事務所といった関係機関に提出する業務・個人相手の取引に対する支払業務
外部の専門家(顧問弁護士、税理士、社会保険労務士等)に対する報酬、個人家主に対する賃料、外部講師に対する講演料、非上場会社の個人株主に対する配当金の支払い等のために、マイナンバーの提供を受けて支払調書に記載し、税務署に提出する業務・金融機関における顧客との取引業務
金融機関の場合、顧客からマイナンバーの提供を受け、顧客への配当金や保険金等の支払調書に記載し、税務署に提出する業務
マイナンバーが企業に与える影響って?
マイナンバーは、2016年の開始時は「社会保証・税・災害対策分野」でのみ利用されます。 企業では源泉徴収票などの所得税関連の書類や、算定基礎届けなど社会保険関連の書類で、 役所に提出するものにマイナンバーを記載しなければならなくなるため、 社内の書類フローの見直しや、帳票類などの改変、システムの改変などが必要となります。また、マイナンバーは、われわれ一人ひとりを特定できるような非常に機密性の高い情報のため、 プライバシー保護に関して、行政、民間を問わず番号の管理や利用は様々な制約を受け、 制約違反や漏洩に関しては厳しい罰則が設けられる予定です。 企業がマイナンバーを利用する場合は、取得から破棄に至るまで厳格な管理が必要となるため、 相応の社員教育や、情報セキュリティへの対策が求められます。
企業の人事厚生業務を中心に新たな業務が発生します。
「個人番号」の取扱い「個人番号」の取扱いに関する業務は以下に示すとおり主に「収集」「管理」「破棄・削除」の3つの段階に分類されます。収集時には「個人番号」や身元確認を含めた本人確認が求められますし、管理においては特定個人情報である「個人番号」の漏えい、滅失などを防止するための安全管理措置、そして従業員の退職などにより利用しなくなった「個人番号」の速やかな削除が必要とされています。
また、これらの「個人番号」管理が適切に行われていることを保証するためのログ管理なども考慮しておく必要があります。
マイナンバーの利用で影響を受ける業務
企業におけるマイナンバー利用については、主に「税」「社会保障」に関連する業務が影響を受けることになります。以下に影響を受ける業務を一覧でまとめます。
マイナンバー制度で社会保険の未加入事業所がわかる
社会保険の未加入事業所、いわゆるブラック企業が分かります。労働保険(労災保険、雇用保険)は法人、個人を問わず労働者を1人でも雇用した場合、必ず加入しなければなりません。社会保険(健康保険、厚生年金保険)は法人の場合、人数に関わらず必ず加入しなければなりません。個人事業は労働者が5人以上の場合は必ず加入しなければなりません。これが原則ですが未加入の企業も多くあります。マイナンバー制度により国税庁の申告データとのすりあわせが行われますので、 未加入会社があぶりだされます。
SE不足のなか地方自治体のシステム変更が大変
問題となるのがシステムエンジニア(SE)不足。アルバイトが集まらないので居酒屋を閉店したという人材不足のニュースが報道されていますが、IT業界も同様、数万人規模の人手不足となっています。システムエンジニアは新人に勤まる仕事ではなく、技術を学び経験をつまなければなりません。そこへ今度は失敗が許されない「みずほ銀行」の基幹システムの統合作業など、大型のシステム開発案件がいくつもあり、マイナンバーのシステム変更作業だけでも7万~8万人が不足するのではと言われています。
マイナンバー制度対応に向けた準備
・ 業務の見直し
・人事系をはじめとした各種システム対応
・管理体制の見直し
・従業員への周知徹底マイナンバー制度においては、企業においてさまざまな面で対応しなければなりません。経営者はもとより、人事総務部門、情報システム部門を中心として体制の構築ならび業務影響範囲の洗出し、対応スケジュールを綿密に組み立て、計画的な活動を進めていくことが必要となります。