デメリットではなく、メリットを生かすマイナンバー対策は?

中小企業にはデメリットが多いと言われるマイナンバー制度ですが、しっかりと対応すればビジネスチャンスに繋がります。

デメリットを感じている企業の方が多いものの……

2016年1月に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)が施行される。これに伴い、「マイナンバー制度」ならびに「法人番号制度」がスタートするが、さまざまな分野への影響が考えられている。
東京商工リサーチでは全国の企業を対象に「マイナンバー法のスタートに関するアンケート」を実施した。これによると、6割の企業が「マイナンバーにメリットがない」と答える一方、2割の企業はビジネスチャンスと捉えて期待感を持っていることもわかった。しかし、5割の企業が「情報漏洩」を懸念し、最大のデメリットと考えていることが浮き彫りになった。
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企業規模でも若干の違いが
 マイナンバーのデメリットについては、全体では「情報漏洩リスク」が2,634社(構成比53.3%)で過半数を占め最多だった。次いで「業務の煩雑化」が750社(同15.2%)、「業務量の増加」が596社(同12.1%)、「コスト増加」が409社(同8.3%)の順で、業務への負担を指摘する回答が1,346社(同27.2%)で3割を占めた。
「情報漏洩リスク」との回答は、大企業は387社(同52.4%)、中小企業等では2,247社(同53.5%)で、そのほかの回答についても構成比率に大きな差はみられなかった。
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少数派ですが、メリットを感じている企業もあるのです。

具体的なメリットは?

マイナンバーの3つのメリット

1. 行政手続きが便利になる

今まで年金の手続きや福祉に関する手続きをする際は、事前に様々な書類を取得しなければいけませんでした。しかし、マイナンバー制度が導入されることによって、書類の添付が不要となるため、面倒な手続きが簡単になります。

2. 役所など各機関での作業が効率化される

マイナンバーを用いることで、各公的機関で情報が共有されるため、今までそれぞれで生じていた作業が省かれ、スムーズな手続きが可能となります。

3. 適正かつ公平な社会になる

マイナンバー制度によって共有された情報をもとに、国民一人一人の所得の把握が可能となり、個人への課税がさらに適正かつ公平となります。また年金の不正受給を防止することにもつながるといわれています。

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企業は、マイナンバーの取り扱いについて社員や取引先からの取得方法や、管理・廃棄などのルールなど、その運用の具体的な取り決めを行うことが求められています。企業としてマイナンバーへの対応の準備を進めていくことが急務であります。
一方でこんな見方もあります。
厳罰規定が設けられたことにもうかがえるように、企業にとって、マイナンバーを管理することの負担は大きなものとなるでしょう。しかし、デメリット以上に、企業に対するメリットも期待できます。
マイナンバー制度では、個人ひとりひとりに番号が付されるだけでなく、法人に対しても番号が付されます。付された法人番号は利用範囲の規定がなく、幅広い分野で活用することができます。
現状では、新規の営業先を探すために、登記所や信用調査会社の情報を入手するなどの手間やコストがかかっています。しかし、今年10月以降に設立登記される法人については「法人番号指定年月日」による絞り込み検索が可能になるので、効率的に新規設立法人を見つけることができるようになります。
「マイポータル」の法人版が稼働すれば、資格許認可や行政処分/勧告、表彰実績や補助金交付実績などの情報がオープンデータとして集約されます。
企業が新規取引先にこうした自社情報を求めたとき、新規取引先が自社情報をダウンロードし要求先に送付するだけで、要求元の裏付け調査の手間が省けます。
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積極的に生かしていくことが重要です。

実際はかなり進んでいる?!

2015年11月時点におけるマイナンバーの収集に向けた事務の対応状況

2015年11月11~18日の調査時点、企業のマイナンバー収集事務の対応状況を見ると、「対応中で、収集に向けた各種整備を進めている」が59.2%で最も多く、「対応はほぼ完了しており、後はマイナンバーを収集するだけ」が39.6%と約4割を占めた。「まだ対応していない」のはわずか1.2%にとどまっており、各社とも2016年1月の本格運用開始に向けて準備を進めていると見られる。

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事業者は、マイナンバーを取り扱う事務の範囲および特定個人情報などの範囲を明確にした上で、マイナンバーを取り扱う事務に従事する担当者(事務取扱担当者)を明確にしておく必要があり、事務取扱担当者の特定状況では、「特定している」が92.8%と、ほとんどの企業で対応していた。

さらに、具体的な人数の回答があった173社における人数と分布を見ると、1社当たりの事務取扱担当者は規模計で平均8人、中位数は4人であった。

規模別の傾向を見ると、当然ながら、規模が大きくなるほど担当者の人数が多くなることがわかる。最頻値は1000人以上で「5~6人」21.1%、同300~999人が「3~4人」39.3%、同300人未満は「1~2人」55.0%となっている。

もうすでに対応を完了している企業もかなりの数に上ります。

ビジネスチャンスにつなげる!

中堅企業はマイナンバー制度にどの様に取り組むべきと考えられるだろうか。
まず、取り組むべきこととしては、「マイナンバー制度そのものへの対応に関しては制度対応と割り切り、コストとリスクを最小限に抑えることだけに注力すべき」であろう。
避けられない事だから、割り切りも必要です。
マイナンバーは新しい法律ですから、情報が「価値」になります。情報とは、「企業はどのようなマイナンバー対応を求められるのか」などの基本事項から、他社の取り組み状況の確認、あるいは「マイナンバーでなにかビジネスができないか」という応用的なアイデアまでを含む広範なもの。そしてマイナンバーは「義務」なので、企業としては正確な情報をいち早く入手する必要があるということ。つまり企業側の求める確かな情報を迅速に集められれば、それがお金になるわけです。
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2015年から厚生労働省によって「安全衛生優良企業公表制度」(優良企業認定)がスタートしました。有給休暇の消化率など、一定の条件を満たした企業を「優良企業」と認定し、公表するというもの。マイナンバーの導入により社会保険の加入が促進され、企業のホワイト化がより求められるようになっている現在、「ならば思い切って本物のホワイト企業を目指そう」という企業も出てくることが予想されるといいます。
ホワイト企業として売り込んでいく方法もあります。
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「すでに役所でのマイナンバーカードの交付や、各企業のマイナンバーの問い合わせ業務、研修など、IT業界以外でも様々な業務が生まれています。でもそれは、あくまでマイナンバー制度を遂行するにあたって発生したもの。マイナンバーそのものを使って、民間企業が新ビジネスを始めることができれば、業界の常識を変えるような画期的なビジネスが生まれる可能性があります」
マイナンバー制度はビジネスチャンスになる? | ライフハッカー[日本版] (22790)
マイナンバー制度は、原則として施行後の3年間は民間企業での利用は認められていません。しかし、民間企業での利用が可能になるような検討が行われることになっています。
利用できるようになると、マイナンバー制度は、今まで縦割りでしか得られなかった情報が、横断的に得られるようになることで、医療、福祉、金融、流通・サービス、その他いろいろな業界で新しいサービスを開発できるビジネスチャンス拡大の可能性を秘めています。
将来を見越して、準備しておくことも重要と言えるのです。

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