マイナンバー制度とはどのようなものでしょうか?

マイナンバー制度がはじまりますが、マイナンバー制度とはどのようなものでしょうか。マイナンバー制度が開始されたら、生活のどのような場面で利用することになるのでしょうか。そのメリット、デメリットは何でしょうか。また、使用していく上で注意すべき点は何でしょうか。これに伴う、マイナンバー制度への企業対応は、どのようにすべきでしょうか。これらについて考えてみます。

背景と概要

◆マイナンバー制度とは
マイナンバー制度のきっかけは、2007年に発覚した年金記録問題になります。これまでは個人情報の管理を組織ごとに別々に行っていたため、年金記録にミスや漏れが起きてしまいました。
今迄、個人または、法人に関する情報が分散していましたが、さまざまな個人情報をマイナンバーと紐づけることで、一元的に個人情報が管理され情報連携されるようになります。マイナンバー制度は、わが国における行政手続きの基盤となり、国民の識別・管理を効率的に行います。
このため、個人には個人番号、法人には、法人番号が発番され配布されます。2015年10月から番号通知され、2016年1月から利用開始されます。これに伴い、各企業では、マイナンバー制度に伴う業務処理への対応が必要になります。

◆マイナンバー制度(個人番号)の配布
個人の場合は、最初に、通知カードが郵送され、その後、希望者には個人番号カードが配布されます。個人番号の発番方法は、現行の住民票カード(住基台帳)をベースにしてあらたに発番されます。

◆マイナンバー制度(個人番号の場合)の取り扱い
個人番号の場合、個人情報保護法規定に加えてさらに取り扱いが厳しくなります。例えば、個人情報保護法規定では、個人の了解があれば、公開して良いなどの文言がありましたが、マイナンバー制度の個人番号については、個人了解による公開はなくなります。この点が、個人情報保護法規定と大きく異なる点となります。

◆マイナンバー制度(法人番号)の配布
法人の場合は、国税庁によって、法人番号が発番されることになっています。法人番号は、必要に応じて自由に使ってよいことになっています。

◆マイナンバー制度の番号体系
番号体系は、12桁+1桁で、12桁が本体番号で、最後の1桁がチェックディジットになります。

◆マイナンバーの行政管理
マイナンバーについては、特定保護情報委員会が、内閣府外局の第三者機関として、特定個人情報の取扱いに関する監視・監督を行います。

マイナンバー制度の交付

マイナンバー制度の交付

生活のどのような場面で利用することになるのでしょう?

◆国民のマイナンバー利用
マイナンバー利用は、当面は、税金関係や社会保障手続きに限定されています。これにより、例えば、国民の税金の申告漏れの防止に役立つものと思われます。
将来的には、銀行口座や犯罪歴などまで関連づけようという考えもあります。また、医療機関に分散している個人の医療情報が、どこの医療機関でも見れるようになるため、医療管理向上に役立つ可能性があります。
◆国、企業のマイナンバー利用
マイナンバー制度により、国民に関する情報が一元化され、同じ番号によって個人情報が管理されるようになります。これにより、各組織間での個人情報のやりとりやデータの共有や連携がスムーズに行われるようになります。
民間企業では、給与事務、法定調書作成等の事務、にマイナンバーの記載が必須になり、マイナンバー情報の収集と管理が必要になります。
これらにもとづいて、将来的には、行政、企業の事務の簡素化が期待されます。
生活のどのような場面で利用するの?

生活のどのような場面で利用するの?

メリット、デメリットは何でしょうか?

◆メリット
国民に関する個人情報が一元化され、各組織間での個人情報のやりとりやデータの共有や連携がスムーズになり、行政サービスの向上、行政、企業の事務の簡素化が期待されます。例えば、公的年金記録が一元的に管理でき、転職などしても年金記録の登録漏れがなくなります。個人の行政情報(住民票の取得等)が、全国どこでも一元的に取得できるようになり、サービス向上が期待できます。また、税金の申告漏れの防止に役立つものと思われます。
将来的には、医療機関に分散している個人の医療情報が一元化に管理され、個人の医療情報がどこの医療機関でも見れて医療管理向上に役立つ可能性があります。

◆デメリット
国や自治体が特定の人物の情報を簡単に確認できるようになるため、行政、企業では、個人情報の内部管理を厳重に行う必要があります。
個人情報の個人管理不十分により、個人情報の紛失、情報漏洩した場合には、悪用される危険性があります。例えば、年金についていえば、個人情報漏洩により、個人情報を盗用した関係のない他人に年金が支払われる可能性があります。医療情報についても、民間機関である病院などから個人情報漏洩した場合、悪用される危険性があります。海外では、すでに、マイナンバーに関する情報漏洩事件が報告されています。
マイナンバーは、公的機関で仮にきちんと管理されていたとしても、個人の管理に問題があった場合に情報漏洩する危険性があるということに注意しておく必要があります。

どんなメリット・デメリットがあるの?

どんなメリット・デメリットがあるの?

使用していく上で注意すべき点は何でしょうか?

◆マイナンバー情報の管理
マイナンバーが情報漏洩し、悪用されないように、個人で厳重に保管し、管理する必要があります。銀行カード、個人カード、保険証などと同様に他人に漏洩しないように保管・管理しましょう。

◆マイナンバー漏洩時の対応
仮に、マイナンバーが漏洩したことがわかった場合、マイナンバー再発行に関する行政機関に申請すれば、マイナンバーは、変更してもらえます。この点は、クレッジカード情報漏洩時などと同様の対応方法になります。

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その他(マイナンバー制度への企業対応は?)

◆企業でのマイナンバーの情報収集
企業では、関係書類に付記するために、まず、個人に配布されたマイナンバーを社員から情報収集します。企業で個人に配布されたマイナンバーを社員から情報収集するときには、番号確認の時、身元確認が必須になります。

◆企業でのマイナンバーの保管・管理
収集されたマイナンバーは、個人情報が漏洩しないように厳重に保管する必要があります。企業でマイナンバーの入った資料を取り扱う人は、他の人から隔離した場所で作業するなどの配慮が必要なります。関係資料に出力されるマイナンバーは、必要に応じてマスキングなどの処理が必要になる場合があります。

◆企業でのマイナンバーの行政対応
行政への提出する源泉徴収票、支払調書などに記載する必要があります。

◆企業でのマイナンバー廃棄
社員が退職した場合は、マイナンバーの入った保管資料、コンピュータ情報はすべて廃棄することが必要になります。

◆企業でのマイナンバー業務の確立
企業は、マイナンバーを取り扱うに当たって、あらかじめ国で定められたガイドラインにしたがって、業務フロ、業務マニュアルの整備を行う必要があります。

企業への影響は?

企業への影響は?