年末調整における、扶養家族・配偶者のマイナンバー

マイナンバー制度導入により、年末調整にて扶養家族・配偶者のマイナンバーの提出が義務付けられました。本記事では、その概要および目的を紹介します。

 (30138)

年末調整ではマイナンバーが必要となります

 (37066)

マイナンバーの国民1人1人への通知が平成27年10月5日からスタートします。このマイナンバーの利用開始は平成28年1月からとされています。平成28年1月以降支払う給与や報酬については、源泉徴収票や支払調書にはマイナンバーを記載しなければなりません。

そのため、今年の年末調整時(平成28年分扶養控除等申告書の提出時)に、従業員とその扶養家族のマイナンバーを集めるという作業が必要になるのです。

「『年末調整』って、何?」という方々のために

 (37063)

年末調整とは?
年末調整とは、事業所等(勤務先など)が会社員や公務員などの給与所得者に対して、1~12月の1年間に支払った給与や源泉所得税につき、12月の最終支払い日にその過不足を調整する仕組みのことです。
本来、所得税の納税は原則として確定申告によって行うものです。しかし、会社員や公務員の場合、給与から天引きすることで源泉徴収しています。これを年末調整することで納税が終了するため、確定申告をする必要がなくなるわけです。

なぜ毎月給与から天引きしているのに、年末に調整する必要があるのでしょうか。それは、源泉徴収されている所得税額の合計と本来納税する所得税額が必ずしも同じ額にならないからです。

給与から天引きによって源泉調整されている所得税額には、生命保険料控除などが反映されていません。保険に新たに加入した・解約したなどや病院で医療費を支払ったりしたようなことも反映されません(勤務先ではこうした個別事情まで把握することがでいないため)。

つまり、源泉徴収は概算による所得税額のため、年末調整することで正しい所得税額を算出して、これを精算するわけです。

つまり、「年末調整」と「確定申告」の違いは……
年末調整が毎月の給与天引きで源泉徴収され、税金を差し引かれて給与を受けているのに対して、確定申告は報酬を受け取った後の精算になります。

簡単なイメージで言うと、年末調整は給与天引きしながら先払いして、その額が少なければ不足分を徴収、多ければ還付(年末調整でお金が戻ってくるあれです)されます。確定申告の場合は、予定納税でもしていない限りは納税は後払いになりますから、お金の管理が重要になります。

手元にあるだけ使ってしまうと、後で税金を支払うお金がないということになりかねません。

非常にざっくり言えば、
年末調整の場合は
“税金を先払いしておいて還付を受ける”
確定申告の場合は
“所得を得た後、税金を後払いする”
という事ですね。

ここからが本題です  年末調整では「扶養家族・配偶者のマイナンバー」も必要に その目的は……?

 (37071)

今回は2016年(平成28年)1月からのマイナンバー制度利用開始の影響で、盲点になっている場合もあることの一つをお話したいと思います。

それは以下です。

配偶者控除や扶養控除、配偶者手当、扶養手当の対象である配偶者や子供の収入について、これまで以上に注意を払うということ

マイナンバー取得時、社員の扶養家族の本人確認は、
扶養家族のマイナンバーの提供が「誰に」義務づけられているのかによって
対応が異なります。

例えば、税の年末調整では、「従業員」が、事業主に対して
その扶養家族のマイナンバーの提供を行うこと」とされているため、
従業員が「個人番号関係事務実施者」として、その扶養家族の
本人確認を行う必要があります。この場合、事業主が、扶養家族の
本人確認を行う必要はありません。

一方、国民年金の第3号被保険者(20歳以上60歳未満の配偶者※年収が130万円未満)の
届出では、「従業員の配偶者本人」が事業主に対して届出を行う
必要がありますので、事業主が当該配偶者の本人確認を行う必要があります。

通常は、従業員が配偶者に代わって事業主に届出をすることが想定されますが、
その場合は、従業員が配偶者の代理人としてマイナンバーを提供することに
なりますので、事業主は「代理人からマイナンバーの提供を受ける場合の本人確認」を
行う必要があります。

なお、配偶者からマイナンバーの提供を受けて本人確認を行う事務を、
「事業者が従業員に委託」する方法も考えられます。

配偶者控除・扶養控除対象者である配偶者や子供のマイナンバーについても、勤務先などに知らせることになっており、その番号に紐付けされた収入はほぼ確実に捕捉されることで、勤務先にも発覚してしまうと考えられます。

万が一、その収入が「年間給与収入103万円以下」でなかったとしたら、大問題にもなりかねません。配偶者控除や扶養控除はもちろん取り消されて、納税不足分を請求されます。

注)配偶者特別控除の対象になる場合はあります。

また、配偶者手当や扶養手当を受けられており、それも対象外となれば、その返還も求められることになるでしょう。これは、意図的に隠ぺいしようとした場合に限らず、ただの無頓着な場合でもそうなってしまうのです。

マイナンバー制度利用開始に伴って、よく副業などの自分の収入や税については語られることは多いですが、今回のお話は盲点になっている可能性があります。これまで以上に、配偶者や子供の収入について、注意を払うようにしてください! 特に、子供には理解を促して重要であることを認識してもらいましょう。

従業員の家族のマイナンバー取得

 年末調整の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や健康保険の被扶養者の手続きのように、従業員本人だけでなく、その家族のマイナンバー取得が求められることもある。

 このような場合は、従業員を「個人番号関係事務実施者」とみなすことができる。つまり、従業員が家族の本人確認を行って、事業主へマイナンバーを提出する義務を負う。そのため事業主としてはその書類を受け取って手続きを進めればよく、その内容について責任を負うことはない。

 一般的にはこのような実務で問題ないが、国民年金の第3号被保険者(従業員の配偶者)の届け出のように、事業主が配偶者の本人確認を行う制度では別の方法をとる必要がある。実務的には、従業員が代理人として配偶者のマイナンバーを事業主に提供する、あるいは事業主が従業員に配偶者のマイナンバー取得を委託するという方法を取ることになるだろう。

扶養親族の給料がばれる?

マイナンバー導入後考えられるのは、扶養親族の給料がより正確に把握されることです。
今でも、上記の市区町村への提出で、扶養親族の給料が扶養範囲を超えていることを指摘されることがあります。
その指摘がマイナンバー導入によって、より早くより正確になる可能性が高いです。

本人は年末調整のときに扶養親族のマイナンバーも提出します。このマイナンバーと、扶養親族の勤め先が提出したマイナンバーの照合が簡単にできるようになります。

扶養親族側(子、配偶者)も要注意です。
親の扶養に入っていて内緒でバイトをしている場合、会社から親が指摘され結果として親に収入があることがばれてしまいます。

つまり、
“配偶者・扶養家族のナイショの収入を「ナイショに出来なくなる」”
という事ですね。

国がマイナンバー制度を導入した本当の目的は、

“国内のお金の流れを全て把握し、管理する事”

ですから、こういった事が不可能になるのも自然な事です。

 (37135)

あなたにオススメのコンテンツ



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする