マイナンバー制度がスタートすると、「どのような人から集めなければならないか?」「対象者の家族のマイナンバーも集めなければならないか?」など、色々と疑問が出てくると思います。今回はマイナンバー収集の手続に関する記事をまとめてみました。
マイナンバーはどのような人から集めなければならないのか?
マイナンバーの収集にあたって、マイナンバーはどのような人から集めなければならないのでしょうか?まずは、従業員です。従業員に関しては、本人はもとより、扶養家族のマイナンバーも収集する必要があります。
次に、有識者等に原稿などの執筆を依頼し「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」が必要な支払いがある場合です。
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を作成する必要があるのは、次の場合です。
1.外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬、料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬、料金、広告宣伝のための賞金については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
2.馬主に支払う競馬の賞金については、その年中の1回の支払賞金額が75万円を超えるものの支払いを受けた者に係るその年中の全ての支払金額
3.プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金については、その年中の同一人に対する支払金額の合計額が5万円を超えるもの
4.弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
5.社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
について、作成が必要となります。
弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対して支払う報酬については、年で合計5万円以上になる場合、作成の必要がでてきますので、依頼先の弁護士や作家等からマイナンバーの提供を受ける必要があります。
報酬や賞金をネットで稼いでいる人も、マイナンバーを収集されるわけですね。
マイナンバーの提供を求める時期
マイナンバーには利用、提供、収集に関する制限があります。 まず、マイナンバーの利用範囲は、現在の法律では、社会保障、税、災害対策 に限定されていますので、社会保障及び税に関する手続書類の作成事務を行う
必要がある場合に限り、本人などにマイナンバーの提供を求めることが可能です。 また、法律で限定的に認められた場合を除き、マイナンバーの提供を求めること
はできません。 例えば、給与の源泉徴収事務の場合、従業員は社会保障及び税に関する
手続書類の作成事務実施者として、扶養控除等申告書に扶養親族の マイナンバー、自己のマイナンバーを記載して、社会保障及び税に関する手続 書類の作成事務実施者である事業者に提出します。 この場合、扶養親族から 従業員へ、従業員から事業者へ、事業者から税務署へ、マイナンバーが提供 されることになります。
提供を求める時期は、当該事務の発生時点が原則ですが、契約の締結時 など、当該事務の発生が予想できた時点で求めることは可能と解されます。
収集に関しても、法律で限定的に認められた場合を除き、特定個人情報 を収集できません。
例えば、他人のマイナンバーをメモすること、プリントアウトすること、コピーを取る ことは「収集」に当たります。一方、マイナンバーの提示を受けただけでは「収集」 には当たりません。
ガイドラインでは、マイナンバー記載が必要な書類作成事務が発生したときに提供を受けることを原則としているけど、例外で雇用契約を締結した際などにマイナンバーの提供を受けておくこともできるということを言っています。
収集のタイミングには注意が必要です。
マイナンバーの利用目的には、どんなものがあるのか?
マイナンバーの利用目的は、原則として「社会保障」、「税」、「災害対策」の手続きの3つに限られており、2016年(平成28年)1月1日以降に提出すべき申請書・届出書には、マイナンバーを記入する必要があります。税務上の書類で一例を挙げると、所得税確定申告書にマイナンバーが記載されるようになります。スタートは2016年(平成28年)分からで、2017年(平成29年)2月16日から3月15日の期間に提出する所得税確定申告書にはマイナンバーを記載して提出しなければなりません。
また、健康保険・厚生年金保険では、加入するときの「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」や、雇用保険では「雇用保険被保険者資格取得届」や「雇用保険被保険者資格喪失届」などにマイナンバーの記載が必要になります。
記載が必要になる時期については、
「雇用保険被保険者資格取得届」=2016年(平成28年)1月1日以降提出分から
「雇用保険被保険者資格喪失届」=2016年(平成28年)1月1日以降提出分から
「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」=2017年(平成29年)1月1日以降提出分からとなります。
また、収集したマイナンバーについては、例示した利用範囲以外の使用を法律で厳しく禁止されてます。
社員番号などにマイナンバーを利用することも禁止されているので、気をつけてください。
マイナンバーの収集の際の本人確認
番号法に規定する本人確認方法は、次ページの「番号法に基づく本人確認に必
要な確認書類等」に記載のとおり、本人から個人番号の提供を受ける場合と本人
の代理人から個人番号の提供を受ける場合に分けられます。
本人から個人番号の提供を受ける場合には、番号確認と身元(実在)確認を行 いますが、本人の代理人から個人番号の提供を受ける場合には、1代理権の確認、 2代理人の身元(実在)確認及び3本人の個人番号の確認が必要となります。
また、個人番号の提供方法に応じて確認方法も異なっているほか、番号法施行
規則及び国税庁告示には租税に関する手続(税務署に提供する場合)でのみ適用
される確認方法も定められています。
国税庁告示は、番号法施行規則に基づき、国税関係手続における個人番号利用
事務実施者が適当と認める書類等による本人確認方法を定めたものです。
番号が間違ってないことを、証明書類で確認するようです。
証明書類には、個人番号カードや通知カード、住民票の写し等があります。
確認するときは、従業員等に証明書類の提示を求め、数字を確認しましょう。
収集後も注意が必要なマイナンバー
なんとかマイナンバーを収集できたとしても、その後に控える「管理」のステップでも注意が必要だ。こちらも前回説明したが、マイナンバーの取り扱いには、利用制限や安全管理措置、提供制限などの保護措置が、企業の規模を問わず求められていることを忘れてはならない。もしも保護措置が不十分でマイナンバーの漏えいや悪用などが発生してしまった場合には、番号法で定められた罰則をはじめとして、企業は大きなダメージを被るおそれがあるのだ。
収集後のマイナンバー管理には、頭を悩ませる企業が多いのではないかと思われます。