マイナンバー制度施行により、企業は情報の安全管理と保管に最新の注意を払わなければなりません。従業員の理解を得るためにも基本を理解しておきましょう。
マイナンバー制度とは?
住民票を有する全ての者に1人1つの番号を付し、
社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、
複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを
確認するために活用されるもの
マイナンバーはいつ使うの?
マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。
マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤であり、期待される効果としては、大きく3つあげられます。1つめは、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)
2つめは、添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)
3つめは、行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。(行政の効率化)
企業に求められるマイナンバーの安全管理
マイナンバーは氏名や住所などの様々な個人情報と関連付けて利用することから「特定個人情報」に指定されており、社外へ漏えいしてしまうと大きな問題となる。実際、マイナンバー法では不正利用や情報漏えいに対して懲役や罰金による厳しい罰則が規定されている。従来の「個人情報保護法」は原則として5000人以上の個人情報を保有する事業者が対象だったが、マイナンバー法は全ての企業が対象であり、従来は個人情報保護法と無縁だった企業でも同法に基づく安全な情報管理体制を構築しなければならない。
目的外の利用や情報漏えい予防し、正しくを取り扱うためには、業務上知り得た情報をう口外しないよう担当者と契約書を交わすなど、具体的な運用ルールと情報管理ができる体制の構築が求められます。
マイナンバーの保管期間はいつまで?
マイナンバーはその他の関係法令の規定により保管することが求められています。マイナンバーに関する主な書類の保管期間についてみていきましょう。・扶養控除申告書、配偶者特別控除申告書保険料控除申告書→7年間
・住宅借入金等特別控除申告書→7年間
・源泉徴収票→7年間
・雇用保険関係書類や4年間
・労災関係の書類→3年間
・健康保険・厚生年金保険に関する書類→2年なお上記の保存期間は書類の保存期間であり、パソコンに入っているデータにはこの期間は適用されません。しかし扶養控除申告書などの税務関係書類についてはデータについてもこの期間が適用されることから、データについても7年間は保存しておきましょう。
【補足】給与所得者の扶養控除等申告書につきましては、所得税法施行規則76条の3により、当該申告書の提出期限(毎年最初に給与等の支払いを受ける日の前日まで)の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間の保存期間が設定されております。ちなみに保存期間前に廃棄しますと、所得税法違反となります。
各書類の保管期間を把握しておきましょう。
従業員が退職した時はどうするの?
退職者のマイナンバーは最長でも退職後7年以内に廃棄することが求められています。これは、扶養控除等申告書などのマイナンバーを記載した書類の法定保存期間が7年であることから来ています。
マイナンバーを削除すれば、書類は保管できる
退職者のマイナンバーが記載された書類もすべて廃棄の対象となりますが、実務的な問題から書類を保管しておきたいという企業もあるかもしれません。そういった場合も心配は無用です。廃棄しなければいけないのは、あくまでも「マイナンバーが記載されている部分」だけです。該当箇所に復元不可能なレベルまでマスキング処理をしたり切り取ったりなどすれば、書類の残りの部分の保管は認められています。