賛否両論☆マイナンバー医療分野への導入は!?

社会保障分野でのマイナンバー導入により、行政機関と利用者双方の利便性が上がります。今後利用拡大が想定される医療分野においては、マイナンバーはどのように利用されるのでしょうか?

社会保障分野の効率化

マイナンバー制度の開始により、社会保障分野では、関連行政機関と利用者双方の利便性・効率が上がるといわれています。
マイナンバーは社会保障・税・災害対策分野の中でも、法律や地方公共団体の条例で定められた行政手続にしか使えません。

※社会保障・地方税・災害対策に関する事務やこれらに類する事務で、地方公共団体が条例で定める事務にマイナンバーを利用することができます。

【マイナンバー(個人番号)を利用する行政手続の例】

 社会保障分野

 ・福祉 福祉分野の給付、生活保護 など

 ・労働 雇用保険の資格取得や確認

 ・給付、ハローワークの事務 など

 ・医療 医療保険の給付の請求 など

社会保障分野においてできるようになること

① 所得証明書等の添付省略
→国民年金保険料の免除、児童扶養手当の支給、高額療養費の決定等

② 住民票の添付省略
→未支給年金の請求、児童扶養手当の支給申請、雇用保険における未支給の失業等給付の申請等

③ 異なる制度間における給付調整の確実性の向上
→傷病手当金の支給申請者に関する障害厚生年金等の給付状況の確認等

社会保障・税番号制度 - 内閣府 (41487)

今後利用拡大が予想される分野

社会保障・税・災害対策の分野限定でスタートしたマイナンバー制度ですが、今後は多方面にて利用拡大が予定されています。

現在あげられている利用拡大分野に、

・銀行口座との紐付け

・医療分野での利用

・犯罪歴の記録

。自動車の登録事務

などがあります。

今後は「医療」「金融」の分野にも利用範囲が広がります。

医療分野では段階的に活用が進められ、まずは予防接種の履歴やメタボ検診の情報管理との連携が予定されています。

また、当初は任意ですが、銀行の口座番号とマイナンバーとの連携も控えています。

銀行口座との紐付け

マイナンバーは、銀行口座と紐付けされることも検討されています。これにより、税金の納付漏れや脱税を防ぎ、公正な社会の実現が目指されています。また、公的な支援金や還付金などの振り込みもスムーズになるでしょう。

情報が流出・漏洩したときのリスクから現在は慎重な見方も多いですが、マイナンバー本来の目的に通じるものですので前向きに検討されています。

医療等分野におけるマイナンバー活用のメリット

●医療情報の共有化
個人を中心として医療機関相互の情報共有が進み、患者本人の選択のもとに適切で継続的な医療が提供されるようになる

●医療関連業務の効率化
医療機関内、地域医療連携、社会保険業務、行政機関との手続等の医療関連用務が効率化され、より便利で費用対効果の高い医療システムの実現に結びつく

●医療情報の分析活用
症例・症状別に整理されたデータの蓄積と分析により、継続的に医療の質を高め、技術の向上を図ることができる

マイナンバー制度と住基ネットの違いは?住民票コードとの関係は? | TRENDERS NET (41583)

医療分野への導入はまだ課題が多い

医療制度にマイナンバーを導入する提案は、個人情報保護の観点から日本医師会が反対しています。

厚生労働省では、マイナンバーとは別の「医療等番号制度」の導入も検討しています。

日本医師会

公益社団法人日本医師会(にほんいしかい、英称:Japan Medical Association、英略称:JMA)は、日本の医師を会員とする公益法人。

医師会の全国団体である。

世界医師会に認められた日本で唯一の医師個人資格で加入する団体で、任意加入団体である。

本部は東京都文京区本駒込2-28-16に位置する日本医師会館。略称日医(にちい)。

本会・日本歯科医師会・日本薬剤師会を合わせて「三師会」と称する。

医療分野へのマイナンバー導入のメリット

マイナンバーで患者が得るメリットは?

マイナンバーによって患者にもたされるメリットにはどのようなことがあるのでしょうか?

まず考えられるのは、ある特定の病気を患っている人が発作などを起こして倒れ、病院に担ぎ込まれたというような状況です。

医師がマイナンバーからその人の電子カルテを照会し、病歴や診断結果を見てなぜ発作が起きたのかをすぐに確認できたら……その情報のおかげで命が助かるかもしれません。

医療機関が得るメリットは?

個人の医療データを集計して分析できるようになれば、医療機関にとっても大きなメリットとなるでしょう。

例えば、経年的なデータを蓄積していけば、医療や製薬技術開発のスピードを上げることができたり、診療情報を二次活用することで、効果的な治療法を広め、新しい治療法を発見したりすることができるかもしれません。

これらの効果が、医療ビジネスを国際的なレベルに引き上げる一助になると期待する向きもあるようです。

えびす診療所:トップページ (41666)

医療分野へのマイナンバー導入のデメリット

また、安倍政権はマイナンバーと連動させ、医者や薬剤師、介護従事者が個人の医療情報を共有できるようにするとしています。

これはマイナンバーを通じて医療計画をたてやすくするほか、無駄な投薬や検査を減らして医療費の削減にもつなげるというものです。

しかし、医療・健康情報は、個人情報の中でも最も他人に知られたくない秘匿性の高いもので、医療関係者にもカルテなど重大な守秘義務を課しているものです。

なのに、いまだに利用内容も保護措置も決まっていないもとで、医療にまでマイナンバー制度をなし崩し的に拡大することは大問題です。

マイナンバーとは異なる「医療等ID」

「医療等ID」は2018年度始動 マイナンバーと連携

政府は2015年5月29日、医療等(医療・健康・介護)分野の情報に個人番号を付与する、いわゆる「医療等ID」に関する方針を決定した。

「医療連携や研究に利用可能な番号」として2018年度から段階的に運用を始め、2020年の本格運用を目指す。

運用に当たっては、2016年1月に始動させるマイナンバー(社会保障・税番号制度)のインフラを活用する。

医療等分野への番号制度導入を正式発表するとともに、マイナンバーと連携させた形での運用を明確にした形だ。

マイナンバーとは別の「医療等ID」を創設し、社会保障制度の適正運営や地域医療連携・介護連携に活用していくべきである―。

このような提言を日本医師会の「医療分野等ID導入に関する検討委員会」が、このほどまとめました。

委員会は「医療等IDは、マイナンバーと異なり唯一無二性、悉皆性を持たせず、利用目的別に個人に複数付与する」との考えを明確にしています。