マイナンバー制度の利用について、諸外国事例の紹介や、国内での活用の可能性について考えてみましょう。

マイナンバー制度の利用について、マイナンバー制度の公的活用、マイナンバー民間活用として、諸外国事例でのマイナンバー民間活用事例、国内でのマイナンバー民間活用可能性(金融、生保、証券等)、国内でのマイナンバー民間活用可能性(その他)についてのべてみたいと思います。最後に、個人的な見解も含めて、マイナンバー制度の制度設計に必要なものについての考察について述べてみたいと思います。

マイナンバーの公的活用

 マイナンバー制度の公的活用について考えてみましょう。

◆マイナンバー制度で配布される予定の個人カードは、顔写真、マイナンバー、基本4情報(氏名、住所、生年月日、性別)が記載される予定です。この個人番号カード自体での利用価値は、公的身分証明書として様々な本人確認をする場合であり、これは、今の運転免許証などと殆ど変わらないといえます。

◆人生のライフサイクルの中では、住民票を取得する、戸籍謄本を取り寄せる、印鑑証明をとりにゆく、引っ越ししたら住民票を届けて、必要な手続きをすませ、結婚したら結婚届けを出し、子供ができると出生届けを出す。そして、ゆくゆくは、社会保険の受給手続きなどがあります。これらのサービス、マイナンバーを使用してワンストップサービスでできるようになる可能性があります。

◆マイナンバーでの、国民の年金情報が管理されていれば、年金記録の漏れのない正確な把握に役立ちます。

◆国民の銀行口座などをマイナンバーと紐づけできれば、個々人の正確な収入や資産の把握が可能となり、より正確な税金の徴収が可能になります。また、世帯の状況や個人の資産や収支状況が正確に把握できれば、年金の不正受給や、生活保護費の不正受給の排除、社会保障の適正化につながります。

◆電子政府によるマイポータルの開始が予定されています。(2017年1月)

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マイナンバーの公的利用

マイナンバーの民間活用【諸外国事例での民間活用】

 マイナンバー制度は、当初は民間での利用は認められないとされていますが、今後検討されて行く可能性があります。諸外国事例でのマイナンバー民間活用事例として、以下の事例があります。

◆諸外国の例でみますと、口座開設時の本人確認、融資審査の受審査時、保険加入時、アウルバイトを含む就労時、教育や医療サービスを受けるときの本人確認等、様々な分野で利用されているようです。

◆マイナンバー制度の民間利用が進んでいるスウェーデンでは、病院に入院したときなどの健康保険の保険金の申請なども、医師への診断書の請求から、保険会社への請求までオンラインで手続きが行えるとのことです。

◆同じくスウェーデンの例として、マイナンバー制度を利用した民間企業が、子供が生まれた親におむつの広告を送ることが出来るという例があります。

◆韓国では、国民IDを利用して、自宅のプリンターで交付可能な証明書は、6種類(住民票など)もあります。ほとんどの行政手続きがワンストップ化されているようです。また、エストニアでは、国民IDを使って電子投票までできます。

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諸外国事例

マイナンバーの民間活用【国内民間活用(金融、生保、証券等)】

 国内でのマイナンバー民間活用可能性(金融、生保、証券等)として、以下の例が考えられます。

◆行政サービスで国民が保有しているカード類は多岐にわたります。運転免許証、健康保険証、印鑑登録カード、施設利用カード、パスポートなどです。それに加えて、民間が発行するキャッシュカード、クレジットカード等も国民に欠かせないものになっています。これらの個人版番号カードが一元化されれば国民にとって利便性大となります。つまり、政府が国民に発行するカードは一枚にすることです。少なくとも、免許証、マイナンバーカード、健康保険証等、国民の持つカードは一枚にしてほしいところです。

◆災害等時の生命保険契約者の行政情報として、生存情報、現況確認情報の把握や、公的個人認証として使用できる可能性があります。年金や健康保険、民間の火災保険の情報等の情報がマイナンバーによって電子政府内でリンクされていれば、被災した方々への保険金の支払い、証明書の再発行や義援金の振込、医療の提供等の様々な支援が円滑におこなわれるようになります。

◆各種法定書類(支払調書、生損保控除、証券取引報告、ローン残高)等の最新住所への送付、または、マイポータル上での電子的送付に使用できる可能性があります。

◆オンラインによる口座開設、クレジットカード使用時、犯罪収益移転防止法にもとづく本人確認手続き(公的個人認証)」に使用できる可能性があります。

◆NISA口座開設時などに、証券会社への書類提出時、住民票の添付が不要になる可能性があります。

◆金融機関破綻時の預金保険制度の名寄せに使用できる可能性があります。この時は、マイナンバーにより個人口座の名寄せを行うことになります。

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金融、生保、証券の民間利用

マイナンバーの民間活用【国内民間活用可能性(その他)】

 国内でのマイナンバー民間活用可能性(その他)として、以下の例が考えられます。

◆確定申告における医療控除データの送付があります。

◆公共料金のマイポータル上での支払があります。

◆引っ越しワンストップサービスの可能性があります。行政や水道、ガス、電気の手続きもワンストップサービスでできる可能性があります。

◆緊急性を要するリコール情報などのマイポータル上での確認があります。

◆一定の本人確認を要するネットショッピングがあります。クレジットカード使用時の公的個人認証として使用します。

◆各種顧客専用サービスの顧客情報管理において、必要な場合に、公的個人認証に使用する可能性があります。

◆医療・介護などの医療サービスに関して、過去に疾病、治療の記録・処方箋の共有による医療サービスの高度化の可能性が期待できます。

◆マイナンバーに金融機関情報をリンクさせれば、行政との税や社会保険の給付などがマイポータルなどから簡単に申請できるようになります。

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医療サービス、その他での民間利用

マイナンバー制度の制度設計に必要なものについての考察

 マイナンバー制度の制度設計に必要なものについて、個人的な見解も含めて考察してみたいと思います。

◆個人が特定されない形でのデータ活用をシステム的に可能性にすること、本人認証をきちんとしたうえでの自分の情報にはどこからでもアクセスできるようにすることです。

◆住基ネットの失敗の経験を踏まえてその反省を生かす必要があります。それには、「すべての行政サービスを含む包括性」、「行政サービスの電子化による利便性」、「民間・法人への拡張性」、「クラウドにより国、道政府、基礎自治体の一体性」が必要になります。

◆基礎自治体との連携の徹底、民間のライフライン事業者、金融機関、郵便局などとの連携を行って「包括性」、「利便性」をできる限り高め、高い利便性と費用対効果を実現すべきだと思います。

◆医療・保険・年金・公共サービスの利用状況などのデータを適切に管理し、蓄積、分析することにより、継続的に行政サービスを革新し、効果的な事業ができるようになります。

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