中小企業の中には社会保険料を納めていない会社もありますが、それがマイナンバー導入にあたり丸裸になってしまいます。社会保険料未納だとどのようなリスクがあるのでしょうか?具体例を見ていきましょう。
マイナンバー制度で社会保険料の徴収を強化するという印象が・・・。
そこで・・・。
国も以前よりもはるかに社会保険の保険料徴収を強化していると印象を持っています。会社への社会保険の調査の強化
個人への国民年金の徴収の強化などで特に強い印象を持っています。
背景には社会保険の財源不足があるとされています。
現在では
法人であるのに社会保険に未加入となっている
雇用している労働者を違法に未加入としている者がいる
といった状態も発覚せずにそのまま未加入となっていることも少なくはないと思います。
社会保障未加入の中小企業は要注意!
日本経済新聞の平成26年7月4日掲載の記事によると、政府は社会保険への加入を促進しており、昨年の7月には、社会保険に加入していない中小零細企業など約80万社(事業所)を平成27年度から特定し加入させる方針を発表しています。また日本年金機構は国税庁の保有する所得税の情報から社会保険の未加入事業を洗い出すようにし、より正確に未加入事業者を洗い出すようになります。
マイナンバー制度もこれら社会保険の未加入、未納問題への対策の一環です。
この制度によって、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなり、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止することで、社会保障をこれまで以上にきめ細やかに、かつ的確に行うことができるのです。
なぜ社会保障に対して厳しくなったのか?
65歳以上の高齢人口と20~64歳人口(現役世代)の比率をみてみると、昭和25(1950)年には1人の高齢人口に対して10.0人の現役世代がいたのに対して、平成22(2010)年には高齢者1人に対して現役世代2.6人になっている。今後、高齢化率は上昇を続け、現役世代の割合は低下し、72(2060)年には、1人の高齢人口に対して1.2人の現役世代という比率になる。仮に20~69歳を支え手とし、70歳以上を高齢人口として計算してみても、70歳以上の高齢人口1人に対して20~69歳人口1.4人という比率となる(図1-1-6)。
どうして社会保障の未納がわかるの?
マイナンバーが導入されると、役人が法人番号と個人番号を端末に打ち込みさえすれば、数字がパンと出てくる。「法人なのに、従業員に給与を払っているのに、社会保険料を払っていないところはどこか?」など、見つけるのはごく容易だ。協会けんぽや年金機構のバックには会計検査院がいるのだから、もはや言い逃れは難しいだろう。
マイナンバーで社会保険料の未納が発覚すると・・・?
具体例を見ていきましょう。
例えば、常時5人以上の従業員を雇用する個人経営の美容院は、社会保険加入の義務はない。しかし経営主体が個人から法人に変わると加入義務が発生する。健康保険・厚生年金に移行すると、保険料は従業員との折半になり、事業者側の負担が増えることになる。マイナンバー制度がスタートし、社会保険未加入の法人に年金機構の行政指導が入ると、負担を覚悟で加入するか、個人経営に転換するしかない。保険料負担の増加分をカバーするだけの余力がなければ、倒産や廃業の道を選ぶケースも出てくるというわけだ。
現在社会保険料未納の場合、どう対応すればいい?
法人でありながら社会保険未加入の企業は、どのように対応すべきでしょうか。
従業員の社会保険料を半額支払わなくてはいけないのは企業としてかなりの負担になりますので、社長さんの「できれば加入は免れたい」というお気持ちはよくわかります。ですが、まずは社会保険加入のメリットを正しく知ることが大切です。企業が負担する社会保険料は、法定福利費として計上し損金算入が認められていますので、税負担が軽くなることにつながります。