【中小企業向け】知っておきたいマイナンバー利用の具体例

いよいよ本格的に始まったマイナンバー制度。この記事では、中小企業向けにマイナンバーを実際にどんなときに利用するのか、何に気をつければいいのかをまとめています。

1.マイナンバーは企業はどんなときに使うの?

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✅ 民間事業者はマイナンバー法で定められた事務のうち、
税と社会保険の手続でマイナンバーを使います
✅ 手続としては、従業員やその家族のマイナンバーの取得と
書類への記載、関係機関への提出が必要です
✅ 個人事業主であっても、従業員(パート・アルバイトを
含む)を雇用していれば、マイナンバーの取得・保管が
必要になります
✅ 税の手続では謝金の源泉徴収票などの調書の提出のため、
従業員以外の外部の方のマイナンバーも取り扱う場合が
あります
マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の手続のために、国や地方公共団体、勤務先、金融機関、年金・医療保険者などに提供するものです。こうした法律で定められた目的以外にむやみに他人にマイナンバーを提供することはできません。
他人のマイナンバーを不正に入手したり、他人のマイナンバーを取り扱っている人が、マイナンバーや個人の秘密が記録された個人情報ファイルを他人に不当に提供したりすると、処罰の対象になります。
ルールを知る前に、まずは基本の「企業は何にマイナンバーを使うのか」をおさらいします。
企業は取得したマイナンバーを自由に使うことができるわけではありません。法律で定められた社会保障・税・災害対策分野の行政の手続きでしか使うことができませんので、注意してください。
それでは、それぞれの具体的な例を見ていきましょう。

2.マイナンバーを雇用保険関係で使う場合

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(1)マイナンバーの記載が必要な届出は次のとおりです。
① 事業主が個人番号関係事務実施者として提出するもの(事業主において本人確認を行うもの)
a 雇用保険被保険者資格取得届 b 雇用保険被保険者資格喪失届
② 事業主が従業員の代理人(※)として提出するもの(ハローワークにおいて本人確認を行うもの)
c 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
d 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
e 介護休業給付金支給申請書
(※)事業主が提出することについて労使間で協定
提出する機会が比較的多い、高年齢雇用継続給付や育児休業給付の2回目以降の申請書や離職票などには、マイナンバーを記載する必要はありません。
また、ハローワークから返戻される書類(雇用保険被保険者証など)には、マイナンバーは一切記載されないことになっています。
いよいよ平成28年1月から、雇用保険の届け出にマイナンバーの記載が必要になってきます。従来の届け出用紙に代わって、マイナンバーの記載欄が追加された新しい様式のものは、すでに各ハローワークで配布が始まっています。何らかの理由により個人番号を記載できない場合や、古い様式を利用する場合は、
別途「個人番号登録・変更届出書」での提出が必要になりますので、気をつけましょう。

3.マイナンバーを厚生年金・健康保険関係で使う場合

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以下の様式に「個人番号」を追加予定
平成29年1月1日提出分~
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
・健康保険被扶養者(異動)届 等
平成28年1月1日提出分~
以下の様式に「法人番号」を追加予定
・新規適用届等(※)
※ 厚生年金保険・健康保険の新規適用届と事業所関係変更届については、厚生年金保険制度等の改革の一環とし
て、平成27年6月から新たに「会社法人等番号」の記載をしていただくこととしています。この「会社法人等番号」の記載
欄は、平成28年1月からはマイナンバー制度により国税庁長官が指定する「法人番号」の記載欄となります。
この他、既存の従業員・被扶養者分の個人番号について、2016年1月以降の時期に、健康保険組合・ハローワークに報告が求められます。また国民健康保険組合については、2016年1月1日より、各種届出書等にマイナンバーを記載することとなります。
上記の様に、一部の手続きについては平成29年スタートとなっています。このトピックに関連して話題になっているのが厚生年金未加入企業の摘発です。法人ならば、本来なら社会保険(厚生年金・健康保険)には必ず入っていないければならないのですが、日本には未加入の会社が少なからずあるそうです(もちろん違法です)。マイナンバーの導入によって税と社会保障を突き合わせるシステムが作られれば、未加入の会社がすぐに分かってしまいます。

4.マイナンバーを税関係で使う場合

Man Lifting The Word TAX (24092)
平成28年1月以降に支払う給与や報酬について、源泉徴収票や支払調書にマイナンバーを記載することになります。様式も変更し、マイナンバーの記載欄が追加されます。平成28年1月以降支払う給与や報酬が対象となるので、今年の年末調整は関係ないと思っているのなら間違いです。マイナンバーは、今年の年末調整までに必要になるのです。
国税通則法をはじめとする国税に関する法令の規定により、
申告書、申請書、届出書、調書等に提出する本人の個人番号又は法人番号を記載します。
また、地方税関係の申告書や支払報告書等についても、地方税に関する法令の規定により、
同様に提出する本人の個人番号又は法人番号を記載します。
国税に関する法令で規定する調書や地方税に関する法令で規定する支払報告書については、
支払者の個人番号又は法人番号のほかに、
主に支払を受ける者の個人番号又は法人番号を記載することになります。
また、給与所得の源泉徴収票や給与支払報告書であれば、
①支払者の個人番号又は法人番号、②支払を受ける者の個人番号に加えて、
③控除対象配偶者及び扶養親族の個人番号なども記載することとなります。
一方で、平成 28 年1月以降も、給与などの支払を受ける側に交付する源泉徴収票などへの個人番号の記載は行わないこととされました。交付の際や、郵送事故などによる情報流出のリスクへの配慮だそうです。税務署に提出する源泉徴収票には、もちろん個人番号の記載が必要になりますので、少し紛らわしいですね。従業員の方に、あらかじめ説明しておいた方がよいかもしれません。

いかがでしたか?

企業側の目線に立って、マイナンバーの利用に関しての情報をお伝えしました。しっかり理解してマイナンバーを利用していきたいですね。