個人の税務状況、社会保障手続きについて、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公正な社会を実現する基盤となる制度ですが、具体的にどのように使われ、どのようなリスクがあるのか示したいと思います。
マイナンバーとは何か?
マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。
マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤であり、期待される効果としては、大きく3つあげられます。1つめは、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)
2つめは、添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)
3つめは、行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。(行政の効率化)
ですが、対行政個人の場合の利便性であり、それを扱わなければならない私企業において、どのような負担になるか、見ていきたいと思います。
懸念されていたこと
【千葉】来年1月運用のマイナンバー制度 事務負担増、管理に不安6割
2015年11月5日
来年一月から運用が始まるマイナンバー制度について、県内の企業が従業員のマイナンバーを管理する準備の負担を感じていることが、千葉経済センターのアンケートで明らかになった。 (中山岳)
企業は一月以降、従業員の健康保険や厚生年金などの加入手続き、給与の源泉徴収票を作る時などにマイナンバーが必要になる。国は、企業に全従業員からマイナンバーを確認し、管理することを求めている。
アンケートは九月~十月初旬に実施。県内に本社がある二百十九社を含む計二百五十五社から有効回答を得た。制度への不安を聞いたところ「事務負担増加」62%と「個人情報漏洩(ろうえい)」61%が、いずれも六割を超えた。「全従業員のマイナンバー収集」34%、「コスト増加」29%と続いた。
制度の準備状況は、「対応中」47%、「準備に向けて情報収集中」39%、「何も対応していない」12%だった。何も対応していないと答えた企業の内訳は、中小企業84%(二十七社)、大企業16%(五社)で、準備が手付かずの中小企業が目立つ。
企業は、これまで従業員の情報を管理していた帳簿などに新たにマイナンバーを載せるためのシステム改修や、マイナンバーの管理を外部に委託するなどして費用がかかる。こうしたコストをどの程度見込んでいるかは、「十万円未満」5%、「十万~五十万円」32%、「五十万~百万円未満」21%で、百万円未満が六割近くを占める。一方、「五百万円以上」1%、「不明」18%だった。
アンケートを千葉経済センターから受託した、ちばぎん総合研究所調査部の下出直樹・主任研究員は「企業からマイナンバー制度で業務効率が良くなる期待は、今の段階では聞かない」と話している。
個人番号の取得・管理・廃棄
8. マイナンバーが必要な書類の把握
マイナンバーが必要な書類は以下の通りです。・社会保険関係
■ 健康保険・厚生年金被保険者資格取得届
■ 健康保険被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届
■ 雇用保険被保険者資格取得届
■ 雇用保険被保険者離職票など・税金関係
■ 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
■ 不動産の使用料などの支払調書
■ 配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書など
企業のリスクは情報管理上の情報漏えい
過去に情報漏えいでどれだけの被害があったか
まとめのまとめ
中小企業としてできることと言えば、USBメモリー、CD-Rひとつとっても導入には慎重にならざるを得なく、OA化を推進している企業にとって、その社内でのコンプライアンスについて、相当の取り決めが必要で、それへの協議が終わったあとでも、利便な電子機器を操る若い世代への教育を恒久的に行わざるを得ず、それを考えるにあたっての経営者への負担というものは計り知れないものと思われます。