マイナンバーの導入が中小企業の経営に打撃を?

マイナンバーの導入が企業への負担になると言われています。特に中小企業への打撃はどのようなものか、まとめてみました。

導入の目的は良いものの…

 (37443)
マイナンバー制度には
「行政の効率化」、「国民の利便性の向上」、「公平・公正な社会の実現」
というメリットがあります。
目的に対して実情は則しているのでしょうか。
マイナンバーとは、社会保障や税、災害対策という3分野の行政手続きを円滑に、効率的に進めることを目的に割り振られる12桁の番号のことで、2016年1月から正式に運用が開始されます。
企業での税金や福利厚生に関わる手続き、例えば源泉徴収書の発行といった「個人番号関係事務」の処理に際しては、マイナンバーを記載することになります。

ここで大事なのは、社内で取り扱う従業員のマイナンバーが、外部からの不正アクセスや内部犯行によって漏えいしないよう保護することです。
マイナンバーを含む個人情報は「特定個人情報」と位置付けられ、いっそう厳格な管理が求められます。
もちろん基本的には、前回ご紹介した通り、マイナンバー制度以前から講じてきた個人情報保護の措置の延長線上で考え、対策を進めていけばいいのですが、いくつか注意が必要なポイントもあります。

その1つは、法令で定められた一定の保存期間が過ぎた後の「廃棄」「削除」というプロセスに目を配る必要があることです。
つまり、マイナンバーのライフサイクル全体にまたがって管理していく必要があるということですね。

例えば、年末調整で提出される「扶養控除等申告書」には、従業員や家族のマイナンバーを記載することになります。
この申告書の法定保存期間は7年となっており、その期間を過ぎれば速やかにマイナンバーを削除しなければなりません。
また、削除や廃棄したこと「記録」し、それを保存する必要がある点にも注意が必要です。

通常の個人情報の保護よりも、より注意を払う必要があります。
従業員数の少ない会社では手が回るのでしょうか。

するべきことが多すぎるので、経営に負荷がかかる

社内規程の見直し…マイナンバーを適正に扱うための社内規程づくり
(基本方針、取扱規程の策定)
業務ソフト対応…マイナンバーに対応したシステムの開発や改修
(人事・給料・会計システム等への対応)
安全管理措置…特定個人情報の安全管理措置の検討
(組織体制、担当者の監督、区域管理、漏洩防止、アクセス制御など)
社内研修・勉強会の実施…社内研修・教育の実施
(特に総務・経理部門など、マイナンバーを取り扱う事務を行う従業員への周知徹底)
わかっているだけで、社内対応がこれほど必要になります。
業務に手が回らなくなってしまう会社は少なくないはずです。
企業のなかには、忙しくてマイナンバー対応まで手が回らないと訴えるところもあるかもしれない。
しかし、マイナンバー法第6条では、「(事業者は)国及び地方公共団体が個人番号及び法人番号の利用に関し実施する施策に協力するよう努めるものとする」と事業者の努力が規定されており、自らの都合で怠ることは許されない
しかし、国で必ず対応をするよう定められています。
必ずマイナンバーに適した環境を導入しなければならないのです。

厚生年金の加入逃れでさらに首をしめる?

今後、社会保障のデータと税務署のデータの内容精査が行われるようになります。すると厚生年金の未加入事業所が全て表に出てくる。現在、源泉徴収をしている企業は250万社あると言われますが、厚生年金に加入している企業は170万社にすぎない。80万社が加入を逃れているのでは、と疑われています
厚労省は、この加入逃れを黙認しないと言っています。つまり、未加入の企業と労働者にいきなり厚生年金の支払い義務が生じるんです。
そうなると、中小・零細企業では払えないところが出てくる。支払いを逃れるためには従業員のクビを切り、フリーランスとして雇用するしかなくなります。
日本中で、とんでもない数のリストラが起きる可能性が生じるわけです。
企業規模によっては、厚生年金に加入せずに雇用している場合もあります。
現状では、雇用者も労働者もそれで成り立っているところが、今後は通用しなくなります。
厚生年金が払えずに人が雇えず、倒産というビジョンも見えるのです。
自社の現状を再度確認し、マイナンバーに対応できる状況を整えてください。

あなたにオススメのコンテンツ



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする