生まれた時から日本に住んでいる日本人なのに、戸籍が無いはずがない!それは思い込みです。
戸籍が無い?
法務省が把握する無戸籍者の数は626人にのぼる。だがそれはごく一部で、全国で1万人もいると推定される。彼らは出生届が出されず戸籍がないために、パスポートを取得できず、年金の請求も不可能だ。また契約行為を行えず、公的な資格を取得できないなど、多大な不便を強いられる。
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マイナンバーの発行は、住民票がある市町村が基本となって行っています。つまり、市町村に戸籍が無い場合には、マイナンバーが発行されない状態なのです。
戸籍が無い理由とは
・法律上は婚姻中の母親から誕生しているものの、既に婚姻実態がなく、実はその子は法律上の夫の子どもではなく、別の男性の子どもで あることが明らかであり、法律上の夫が自らを父親として届け出ることを許さず、他方で、民法第772条1項により「嫡出推定ー妻が婚姻中に懐胎した子は、 夫の子と推定する。」ことから、役所側が「夫を父とする届出以外は受理しない」場合・既に婚姻を解消した女性が母親であっても、民法第772条2項「嫡出推定ー婚姻の解消・取り消しから300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」ことから、同様の問題が生ずる場合。
無戸籍となる最も多い理由は、民法の規定により、本来の父親では無い人が父親となってしまうことを避けるため、あえて「無戸籍」を選択せざるを得ないからです。
DVと深い関係
背景にあるのは、母親が受けたDV・ドメスティックバイオレンス。
前の夫を恐れて、新たなパートナーとの間に生まれた子どもの出生届を出せず、無戸籍になってしまうのです。
民法の規定があっても、しっかりと市町村の役所で説明したら理解が得られるのでは?と考えがちですが、そうではありません。DV被害から逃げてきた女性であれば、前の夫との離婚が成立していない状態であることが多いです。その離婚手続きをする過程で、新しい住所や家族の存在が知られてしまうことを恐れているのです。婚姻が継続した状態で子どもが生まれると、その夫の子どもとなります。これを本来の父親に変更する手続きを、前夫抜きで行うことはほぼ不可能です。
マイナンバーは、無戸籍者を想定していない
DV被害者など住民票を移せない人に対しては、住んでいる場所で通知カードを受け取れる特例ができたけど、国側では住民票がない人や戸籍がない人の社会的救済は念頭にないようだね。
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戸籍を取得する方法
簡単ではないものの、戸籍を作成する方法はあります。戸籍が無いことによって、理不尽に扱われてしまう場面も多い為、国では戸籍を取得を進めています。ですが、なんらかの理由によって無戸籍で生活している為、その理由が解消されない限り、戸籍を取得しようという動きは生まれにくい状況があります。
via www.moj.go.jp
会社はどうすれば良いのか?
Q2‐10 従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか。
(答)
法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。
なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。
会社が従業員に対して、戸籍の取得を強制することはできません。あくまで、本人の意思に任せるべき問題です。無戸籍者への対応は、行政と相談のうえ、慎重に進めていきましょう。