e-Taxを使った確定申告時にマイナンバーが必要になります。マイナンバー制度によって手続きは簡素化されるのでしょうか。調べてみました。
e-Taxで確定申告ができる!
e-Tax(イータックス)を使えば、インターネット上で確定申告できます。
1.自宅で申告書データを作成し、電子証明書を利用して送信するこの方法では、電子証明書を取得し、ICカードリーダー等を用いてすべて自前で環境をそろえるやり方です。
準備はすべて自前で行いますが、電子申告を行うことによる税制上の優遇措置(電子証明書等特別控除)が平成24年度をもって廃止されてしまったので、現状ではコストのわりにメリットの薄い方法です。2.自宅で申告書データを作成し、紙に印刷して郵送する
この方法は、自宅のPCなどでWebブラウザからe-Taxシステムにアクセスします。画面の手順に従って申告書データを作成し、完成した申告書を印刷・郵送するやり方です。e-TaxソフトまたはWebブラウザからe-Taxシステムにアクセスして申告書データを作成します。完成した申告書をデータではなく紙で提出する点がポイントです。
3.税務署の窓口で申告書データを作成送信する
この方法は、税務署の確定申告作成コーナーに備置されているPCで申告書データを作成し、その場で申告書を送信するやり方です。
②と同様にe-TaxソフトまたはWebブラウザからe-Taxシステムにアクセスして申告書を作成しますが、税務署で操作する点が②と異なります。
確定申告は個人の所得に基づいて、所得税を正確に計算するためのものです。税務署はこの申告内容が正しいものなのかを確かめるために、企業からの情報や年金機関などからの情報を集めて照らし合わせます。しかしこの業務は非常に煩雑なので、同姓同名の人の情報を取り違えるなどのミスが発生したり、税の負担を軽くするための不正を見逃してしまう危険もあります。
そこでマイナンバーの出番です。
マイナンバーを使うとe-Taxの確定申告が簡単シンプルになる?
確定申告書のほか、申告内容に応じて、給与所得や公的年金等の源泉徴収票(原本)、医療費の領収書等の必要書類を準備します。
マイナンバーという共通の番号を使うことで、各公共機関同士の税務関係書類のやりとりがスマートになるため、確定申告もスマート化するのです。
たとえば、住宅ローン控除等の申告手続きでは?
冒頭でも触れましたが、確定申告には所得税を納める「所得税の申告納税」とは別に、納めすぎた所得税を還付してもらうための「還付申告」もあります。この「還付申告」の代表的なものに「住宅ローン控除」があります(内容については後述します)。この「住宅ローン控除」を受けるために、確定申告が必要になります。
「住宅ローン控除」を受けるための手続きは、会社を通じた簡易な手続きである「年末調整」ではできないため、自分で税務署に手続き(確定申告)しないといけないのです。
自分で税務署に行くという面倒が増えてしまいます。
マイナンバーによって、この手間が少しでも省けるのでしょうか。
住宅ローンの控除を受けるために必要な書類は以下になります。1確定申告書
2住宅借入金等特別控除額の計算明細書
3建物・土地の登記事項証明書
4建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
5耐震基準適合証明書又は住宅性能評価書の写し
6認定通知書の写し
7源泉徴収票
8住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」
9住民票の写し
これらのうち、マイナンバー制度が始まれば、住民票の写しが必要なくなります。
また、同姓同名の人物と混同してしまい、税額を取り違えるなどという人為的なミスがなくなります。
住民票を受け取りに行く手間とおかねが節約できます。
また、同姓同名の人物との取り間違えも発生しなくなるそうです。
たとえば「住宅ローン控除」「居住用財産の譲渡所得の特別控除」「既存住宅の耐震改修工事をした場合の所得税額の特別控除」「贈与税の配偶者控除」といった税務手続きをするとき、従来は住民票の写しが必要でした。これがマイナンバーによって税務署で氏名や住所等の確認ができるようになると、住民票の写しを添付する必要がなくなるのです。また、児童扶養手当の支給や高額療養費の決定等においても、所得の証明書の添付を省略することが可能となります。
確定申告時のマイナンバー取り扱い注意!
これまでの確定申告でも源泉徴収票は重要な書類でしたが、マイナンバー導入後もその重要性は健在です。というのも給与の支払いを受ける人のほかにその配偶者と扶養親族のマイナンバーも記載されるからです。不用意に扱って失くしてしまえば、家族全員のマイナンバーが外部に流出することになります。万が一にでもそのようなことが起きないよう大切に保管しましょう。
源泉徴収票については事業者の人はもっと神経質になる必要があります。
なぜなら源泉徴収票を作成するためには、担当者は従業員からマイナンバーの提供を受けなくてはいけません。この時にマイナンバーを外部に漏らしてしまったり、どこかに紛失してしまったりすれば、会社としての責任を問われることになります。よってマイナンバー導入後はセキュリティ面の強化が一層求められるでしょう。
確定申告にマイナンバーが必要になるのはいつから??
税務上の書類では、所得税確定申告書に記載しなければなりません。つまり、2016年(平成28年)分は、2017年(平成29年)2月16日から3月15日までに、マイナンバーを記載したうえで、所得税確定申告書を提出することになります。(還付申告は、2017年1月1日から提出可能)また、たとえ個人事業主であっても、売上1,000万円を超えた課税事業者の場合は消費税を支払わなければなりません(参照:「売上1,000万円を超えたら注意すべき、個人事業主の消費税処理のポイント」)。その場合は「消費税及び地方消費税の確定申告」に、従業員がいて給与や報酬・料金、退職金などの支払がある場合は「法定調書」に、それぞれマイナンバーを記入しなければなりません。いずれも、2016年(平成28年)分からが対象です(消費税の確定申告期間は、2017年(平成29年)1月1日~3月31日)。
ほかにも、2016年(平成28年)1月1日以降に提出すべき申請書・届出書には、マイナンバーを記入する必要があります。詳しくは、国税庁のホームページをご参照ください。
《国税庁》税務関係書類への番号記載時期
万全の準備をしておきましょう。