【中小企業】従業員の家族のマイナンバーを収集するときに気をつけるべきこととは?

会社は、従業員からだけでなく従業員の家族からもマイナンバーを取得する必要があります。ただし、その取得範囲はマイナンバーの利用目的により制限があります。収集の際の注意点と、実際の実務についてまとめました。

会社がマイナンバー情報を取得する範囲

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会社は、従業員のマイナンバーだけではなく、マイナンバーの利用目的の範囲内で従業員の家族のマイナンバーも取得する必要があります。
マイナンバー制度がスタートすると、民間企業も多くの個人情報を取り扱わなければいけなくなります。マイナンバーの目的は、一意の番号で個人を管理することで、社会保障や税金関連の手続きを簡略化しスムーズにすることだからです。
ただし、取り扱うのは、従業員のマイナンバーだけではありません。社会保険料や納税額は、本人の所得だけで決定するものではないからです。そう、こういった手続きを滞りなく進めるためには、扶養家族の有無や人数が関係してきます。

扶養家族以外のマイナンバー取得はできない

従業員の扶養家族については、所得税や住民税の控除額や社会保険料の算出に影響があります。書類には扶養家族のことを記入する欄もありますから、該当する家族のマイナンバーを取得することは正当な利用だといえるでしょう。

一方で、扶養扱いでない家族の情報までを企業が取得していい理由はありません。

扶養家族以外は、マイナンバーの利用目的に照らして情報を取得する理由がありませんので、誤ってマイナンバーを取得しないように注意する必要があります。

マイナンバー取得の際は厳密な本人確認が必要

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会社は、税や社会保障関係の事務を行うために、本人等からマイナンバーの提供を受けることになりますが、その際に、会社は必ず本人確認をしなければなりません。いわゆる「成りすまし」を防ぐためにも厳格な本人確認が求められます。
本人確認では、2つのことを確認することになります。一つは、正しい番号であることの確認、つまり「番号確認」です。もう一つは、正しい番号の持ち主であることの確認、つまり「身元確認」です。以上の2つの確認がワンセットになって「本人確認」となります。
番号確認と身元確認のための確認書類については、番号法施行規則等により定められています。顔写真入りの「個人番号カード」であれば、個人番号カード1枚で番号確認と身元確認の両方を確認できます。紙製の「通知カード」や「マイナンバー付きの住民票」により番号確認する場合は、「運転免許証」や「パスポート」等による身元確認でワンセットの本人確認となります。
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扶養家族に対する本人確認

従業員の扶養家族についても、マイナンバーを取得する際には本人確認が必要となります。
特に、扶養家族の情報は納税や各種手当に使用されており、もしなりすましされると不正な支出となってしまうため、厳格な本人確認が求められます。

扶養控除等申告書の場合(年末調整など)

所得税の年末調整は、従業員自らの手によって書類が作成され、申請されるものです。そのため、扶養家族の個人情報は従業員自身によって提供されます。ということは、手続き上は利用目的の通知や本人確認の義務は従業員本人が負うことになります。
会社がわざわざ扶養家族の本人確認をする必要はありません。

国民年金の第3号被保険者の届出などの場合

これに対し、「国民年金第3号被保険者関係届」については、会社への提出義務者は扶養親族であることから、会社が扶養親族の本人確認をする必要があります。しかしながら、会社が扶養親族に直接本人確認するのは大変ですので、実務上は、扶養親族の代理人として従業員がマイナンバーを会社に提出する方法があります。この方法の場合、会社は「代理権確認」「代理人の身元確認」「本人の番号確認」の3つの確認が必要になります。
上述のように扶養家族の本人確認について、マイナンバーの提供が義務付けられているのが会社か従業員かによって異なります。

以下では、従業員を代理人として扶養家族のマイナンバーを取得する際の本人確認の実務について解説します。

【実務】従業員を代理人とする本人確認の方法

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代理人からマイナンバーの提供を受ける場合は、①代理権、②代理人の身元、③本人の番号の3つを確認する必要があります。

① 代理権の確認

代理人が本当に本人から代理を任されているか、もしくは法律上当然に代理人としての地位がある者(法定代理人)かを確認するための作業になります。

・法定代理人の場合は、戸籍謄本その他その資格を証明する書類
・任意代理人の場合は、委任状

のいずれかになります。なお、子どもが満20歳まで達していない場合、親は法定代理人として、子どもの法律行為を代理することができます。

② 代理人の身元の確認

代理人が代理人本人であるかを確認します。

・代理人の個人番号カード、運転免許証、旅券等の顔写真付き身分証明書
・公的医療保険の被保険者証、年金手帳、児童扶養手当証書等2つ以上

のいずれかになります。

③ 本人の番号の確認

家族の番号を確認するための作業になります。

・本人の個人番号カード又はその写し
・本人の通知カード又はその写し
・本人の個人番号が記載された住民票の写し・住民票記載事項証明書又はその写し

のいずれかになります。この場合の本人とは、配偶者等のことです。ですので、配偶者から上のいずれかをもらうようにしてください。写しで構いませんので、個人番号カードのコピーでも大丈夫です。

内閣官房公式HP

内閣官房公式HP
上記①〜③の方法での確認が困難な場合の対応方法はこちら
中堅・中小企業がマイナンバー制度において取り組むべきこと|企業マネジメント最新トレンド|中堅・中小企業をサポートする経営喝力 ビジネスIT活用index (35449)

代理人を通じてマイナンバーを取得する場合の委任状の雛形

代理権の確認に使われる委任状の雛形を配布しているサイトもありますので、参考にしてみても良いかもしれません。

マイナンバー特設ページ|書式フリーダウンロード|多田国際社会保険労務士事務所

マイナンバー特設ページ|書式フリーダウンロード|多田国際社会保険労務士事務所

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