マイナンバー制度導入に伴う中小企業の必要業務とは?

マイナンバー制度の導入により、「企業の業務量が増加した」とよく耳にしますが、具体的にどのような業務が増えたのでしょうか?本記事にて紹介していきます。

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日本でもマイナンバー制度が始まりましたね

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マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。
マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤であり、期待される効果としては、大きく3つあげられます。

  1つめは、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)

  2つめは、添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)

  3つめは、行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。(行政の効率化)

上記文章の
「行政手続きが簡素化」
「行政の効率化」
「作業の重複などの無駄が削減」
という箇所に御着目下さい。

しかしながら、「効率化」目的のため、企業の仕事量は増加します!

マイナンバーが使われるのは主に以下の3つに関連するときです。

・社会保障
・税金
・災害補償

マイナンバー制度(番号制度)導入により、行政では書類の確認作業の手間とコストが削減できます。
社会保障では申請をする人は申請のための書類を準備しないといけませんでした。
マイナンバー制度(番号制度)により申請者は添付書類なしで行政機関に申請ができることになるので申請のときの手間が省けます。
このマイナンバー制度(番号制度)によって社会保障にかかわる行政機関の業務間で、より正確な情報が得られるので、真に手を差し伸べる人へのきめ細やかな支援ができることになります。

・6)税務関係書類への番号記載時期は?

申告書や法定調書を提出する場合は、税務関係書類に個人番号や法人番号を記載することが求められます。また、法定調書を提出する際は、本人確認のため、マイナンバー個人番号カードの提示を求められます。郵送の場合はマイナンバー個人番号カードの写しを添付する必要があります。

・所得税
2016年1月1日に属する年度分以降の申告書から

・法人税
2016年1月1日以降に開始する事業年度にかかる申告書から

・法定調書
2016年1月1日以降の金銭の支払にかかる法定調書から

・申請書・届出書
2016年1月1日以降に提出すべき申請書等から
※ 法定調書の対象となる金銭の支払を受ける者の番号も必ず記載すること。

このように、税関係の処理に関する事は基本的にマイナンバーが関係してきますので、
当然ながら、企業におけるこれらの仕事も増加するわけです。
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それでは、どのような業務があるのでしょうか?

現時点で想定されるマイナンバーが必要となる業務については、

■従業員の給与・福利厚生
源泉徴収票の作成
厚生年金保険被保険者資格取得届の作成
健康保険被保険者資格取得届の作成
雇用保険被保険者資格取得届の作成

■社会保険関係手続き
年金事務所、健康保険組合、ハローワークへの被保険者資格取得の届出

■税務署への提出
税務署、市町村への源泉徴収票の提出、報酬等に係る支払い調書の提出

などが上げられます。

上記文章を簡潔に図で表しますと、下のようになります。
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特定個人情報の安全管理措置

全事業者が対象

個人情報保護法では5,000件以上の個人情報を管理する事業者(つまり実質的に中堅企業以上)が対象でしたが、特定個人情報に関しては中小規模事業者を含む全ての事業者が対象となります。

利用の制限

定められた行政手続きなど以外の目的での利用が禁止されています。違反すると刑事罰となります。また当該手続きの担当者以外は個人番号を見られないようにする必要があります。

安全管理義務

安全管理義務を怠り、特定個人情報を紛失したり第三者に漏洩などした場合は、代表者または管理者などが懲役または罰金(或いはその両方)に科せられます。(番号法第12条)

特定個人情報のプロセス管理と安全管理

廃棄も含めて全てのプロセスで履歴管理が必要です。
※誰が、何の目的で、どの情報に、いつ、どこからアクセスしたかなど
※特定個人情報は法定保存期間経過後に完全削除しなければならない。

企業内部で義務となる業務を簡潔に図で表しますと、下のようになります。
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誰のマイナンバーが必要?

マイナンバー制度の裏づけとなる法律では、税関連や社会保険などの各種書類、
源泉徴収票や保険料控除申告書等に番号(マイナンバー)を明記することが義務づけられています。

源泉徴収表などでは扶養家族(扶養親族)の番号も帳票に記載するため、
企業における従業員本人の番号だけでなく
全従業員の家族の番号についての収集と管理も必要となります。

この場合の全従業員とは、正社員だけでなく契約社員、パート、アルバイトなど、
自社が直接給与を支払っている従業員を指します。
給与・厚生事務の対象である全従業員に対しては自社での対応が必要となります。

ただし、派遣社員に関しては、派遣元が給与厚生業務を行うため、自社での対応は不要です。

企業の担当者は、これらの帳票を従業員に成り代わって作成したり、
税務署等へ提出するなどの業務を行います。
したがって、人事労務、給与関連の業務に携わる従業員や扶養者の個人番号を
書類に記載する義務が生じることになります。

また、証券会社や保険会社等、利金・配当金・保険金等の税務処理金融機関においては
これらの手続を行うために顧客のマイナンバーも必要となります。
税金や社会保障に関係する業界では、場合により顧客のマイナンバーの収集も必要となります。
(マイナンバー制度の目的を考えれば、自然な事ですね。)
――安全管理措置には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

具体的な安全管理措置は4つに大別されます。詳しくはガイドラインを見ていただくのが一番ですが、端的に言えば「(1)組織的=責任者・事務取扱担当者などの組織体制を明確にする」「(2)人的=事務取扱担当者を監督・教育する」「(3)物理的=情報漏洩を防止するため情報の管理区域・取扱区域を明確にする」「(4)技術的=適切なアクセス制御を行う」の4つです。

――そう聞くと、なんか難しいですね……。

要は、情報をしっかりと取り扱える人物を限定し、漏洩しないように人目につかないところで取り扱い、退出するときにも例えば金庫に入れるなどの措置をせよ、ということですね。
過去にも国内で「国民総背番号制」の議論がありましたが、勝手に自分の番号が使われ、芋づる式に個人情報がとれてしまうことに懸念があったわけです。それを払拭するのがこれらの措置であり、前回紹介したマイナポータルもそのためのシステムです。

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