退職した従業員のマイナンバーの取り扱い

マイナンバー制度が運用されましたが、一度マイナンバーを集めたけれど、退職してしまった職員のマイナンバーってどう扱えばいいんでしょうか。

そもそもなぜ従業員からマイナンバーを集めるのか

マイナンバーが運用開始しましたが、いまいちどうしていいかわからないという中小企業の経営者や従業員の方も多いのではないでしょうか。そもそも企業がマイナンバーを集める理由というのはなんでしょうか。
マイナンバー制度がスタートすると、民間企業も多くの個人情報を取り扱わなければいけなくなります。マイナンバーの目的は、一意の番号で個人を管理することで、社会保障や税金関連の手続きを簡略化しスムーズにすることだからです。

ただし、取り扱うのは、従業員のマイナンバーだけではありません。社会保険料や納税額は、本人の所得だけで決定するものではないからです。そう、こういった手続きを滞りなく進めるためには、扶養家族の有無や人数が関係してきます。

税や社会保障の手続きのため、というのはわかりました。そして、従業員だけではなく、その扶養家族の分も必要です。

マイナンバーが記載される書類

 (43462)

マイナンバーはどういった書類に記載がされるのでしょうか。マイナンバーを人に知らせてはいけないとよく言われますが、会社にマイナンバーを提出した場合、どんな範囲でマイナンバーが扱われるのでしょうか。
2)個人番号と法人番号を記載する書類

個人番号と法人番号を記載すべき書類を、月ごとに以下の表にまとめました。

経営ハッカー マイナンバー(個人番号/法人番号)を記載...

経営ハッカー マイナンバー(個人番号/法人番号)を記載する書類まとめ

日常業務以外にも、個人番号と法人番号を記入しなければならない書類があります。以下でその中でも、特に忘れやすいものを列挙しました。

1. 総務業務
従業員を雇用した場合
雇用保険被保険者資格取得届→個人番号を記入
従業員が社会保険に加入した場合
社会保険被保険者取得届→個人番号を記入
従業員が退職した場合
雇用保険被保険者資格喪失届→個人番号を記入
給与所得、退職所得の源泉徴収票→個人番号・法人番号を記入
2. 法人と個人の取引に関わるもの
配当を支払う場合
配当等の支払調書→個人番号もしくは法人番号
不動産賃料を支払う場合
不動産の使用料の支払調書→個人番号もしくは法人番号

マイナンバーが記載されるのは、税や社会保障のための書類に限定されているということですね。

退職した従業員のマイナンバーの扱いについて

従業員が退職した場合、そのマイナンバーはいつまで保存されているのでしょうか。漏洩のリスクなどを考えると、あまり長い期間置いておくのは怖いのですが。。。

法令では給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期限は7年

No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期限

[平成27年4月1日現在法令等]

(概要)

 給与所得者の扶養控除等申告書等の提出を受けた源泉徴収義務者は、その申告書等を7年間保存しなければなりません。

(保存期間)

 その申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存する必要があります。

(注)税務署長から提出を求められた場合には、提出する必要があります。

(源泉徴収義務者が保存する申告書)

(1) 給与所得者の扶養控除等申告書
(2) 従たる給与についての扶養控除等申告書
(3) 給与所得者の配偶者特別控除申告書
(4) 給与所得者の保険料控除申告書
(5) 退職所得の受給に関する申告書
(6) 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
(7) 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
(所規76の3、77、77の3、措規18の23)

扶養控除等申告書等にはマイナンバーを記載する必要があるが

マイナンバー制度においては、特定個人情報(従業員の個人番号)について、行政機関等に個人番号を記載した書面を提出するために必要な場合以外は保管してはならないことになっています。つまり、社会保険や雇用保険の手続きを今後する必要のない退職してしまった社員の個人番号は、すぐに削除することになります。

ただし、特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)には、下記の記載がされています。

それらの事務を処理する必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間を経過した場合には、個人番号をできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければならない。なお、その個人番号部分を復元できない程度にマスキング又は削除した上で保管を継続することは可能である。

つまり、所得税法などの他の法令で定める保存期間は、マイナンバー制度の影響を受けるものではありません、そのため、税務や労務の書類に個人番号を記す場合は、税務・労務の法令の書類保存期間中はマイナンバーを削除する必要はないわけです。

基本的には、資料の保存期間は税法>労働法令 となっているので税法の資料保存期間=個人番号の保存期間と考えても差し支えないでしょう。
7年と考えると結構長い間保存することになりますね。ただ、これは変わる可能性もあるので、注意が必要です。

そのかわりセキュリティ対策は重要

最大2070万件の顧客情報が流出したとされるベネッセ個人情報流出事件では、委託先が不正な利益を得る目的で個人情報を第三者へ提供したり盗用した場合においても、個人情報保護法ではその行為を罰する罰則は存在しなかったことから、警視庁では不正競争防止法違反(営業秘密の開示・複製)という罰則での逮捕・起訴となりました。

その反省から、今回の番号法では、個人番号利用事務等に従事する者が、正当な理由なく特定個人情報ファイルを提供した場合、4年以下の懲役または200万円以下の罰金または併科という重い刑罰が科されることになりました。

退職した会社からマイナンバー流出なんてことになったら大変です。安全管理措置、セキュリティ対策はしっかりと講じましょう。

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