特定個人情報漏洩による信用失墜でどのくらい損失する?ベネッセの株価を参考にしてみよう!

企業は保有するマイナンバーを外部に漏洩させないよう対策することが義務付けられています。特定個人情報が漏洩すれば刑事罰の対象となるだけでなく、企業の信用失墜による損失も心配です。果たして特定個人情報漏洩によってどれくらいの損失額になるのでしょうか。大規模な個人情報漏洩事件を引き起こしたベネッセの事例を参考に株価から考察してみましょう。

特定個人情報漏洩には厳しい罰則が科されます!

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マイナンバーでは、制度・システムの両面からさまざまな安全管理対策を講じます。加えて、マイナンバーの取扱いに関する監視監督は、第三者委員会である特定個人情報保護委員会が行います。故意にマイナンバー付きの個人情報ファイルを提供した場合などには厳しい罰則も適用されます。(2015年9月回答)
故意に流出するなど悪質な場合でなければ刑事罰が課されることはありませんが、マイナンバーの情報漏洩で気をつけなければいけないのは刑事罰だけではありません。

刑事罰だけではない!信用失墜による民事責任や損失も!

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多くの企業にとって本当に怖いのは刑事罰よりも民事責任が問われることによる信用失墜ではないでしょうか。
刑事責任は問われなくても、民事責任は問われる可能性があります。また、漏洩を起こせば「個人情報保護委員会」からの報告徴求、立入検査、勧告・命令の対象とされるでしょう。もっと怖いのは、報道などによるレピュテーション・リスク(企業への否定的な評価・評判が広まること)です。

どのくらいの損失額?ベネッセ個人情報流出事件を参考にしてみよう!

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ベネッセ個人情報流出事件とは?

ベネッセ個人情報流出事件(ベネッセこじんじょうほうりゅうしゅつじけん)とは、2014年7月9日に発覚したベネッセコーポレーション(ベネッセ)の大規模個人情報流出事件。
この事件は、流出した顧客情報が最大で2070万件に及ぶ大規模なもの。流出した情報は、進研ゼミなどといったサービスの顧客の情報であり、子供や保護者の氏名、住所、電話番号、性別、生年月日など。ベネッセ側は、社内調査により、データベースの顧客情報が外部に持ち出されたことから流出したと説明[1]。これはベネッセの顧客に、ベネッセのみに登録した個人情報を使った、別の通信教育を行う会社からのダイレクトメールが届くようになり、ベネッセから個人情報が漏洩しているのではないかという問い合わせの急増により発覚した[2]。

どのくらいの損失額になる?最低でも38億!?

慰謝料を払うことになれば、流出した企業にとっては、大きな痛手になるのではないだろうか。

「現時点でも少なくとも760 万件あるということなので、仮に1件あたり1万円だとしても、ベネッセが負担する金額は760億円という莫大な金額になります。

ただし、これまでに発生した企業の個人情報流出のケースでは、お詫び状と500円程度の商品券などが配布されることで対応することが多かったようです。

その場合でも、仮に1件あたり500円とすれば、38億円+郵送費という巨額の支出が必要になりますね」

38億円だとしても、業績を揺るがしかねない巨額の負担になってしまいそうだ。

最終的に260億の特別損失を計上した模様!

ベネッセコーポレーションの顧客情報漏えいにより、顧客へのお詫びとお詫び文書の発送費用、問合せ対応費用、個人情報漏えいに対する調査・情報セキュリティ対策などの費用260億円を計上した。なお、この費用は新たな事実の判明や追加対応の発生などにより今後変動する可能性があるという。

もっと酷いのは株価!1400億以上もの損失!?

ベネッセホールディングス<9783>が一時ストップ安と急落。株価は大量の売り物を浴び、一時値幅制限いっぱいとなる1日終値比700円(18.9%)安の3010円まで売られた。1日の取引終了後に15年3月期業績を発表、連結純損益は107億500万円の赤字(前の期は199億3000万円の黒字)となったことを明らかにした。同社の最終赤字は上場来初のことで、従来予想(10億~90億円の赤字)に比べても、損失幅は膨らんだ。顧客情報の大規模漏洩問題で、おわび費用による特損を計上したほか、通信教育会員が大幅に減少した。会社側では16年3月期の最終損益は38億円の黒字を見込んでいるが、市場予想(190億円前後の黒字)を大きく下回ったことも嫌気されたようだ。
ちなみにベネッセさんは非常にいい指標を持っていて、みなさんにどのくらいのインパクトだったかがすぐわかるんですよ。個人情報を漏洩してしまって、どのくらいのインパクトがベネッセさんにかかったのか。
その指標はなんなのかというと、2014年7月9日に顧客情報の流出が発表されたんですけど、その日の株価の終値が4360円なんですね。ベネッセさんの企業価値は、1株あたり4360円分あったわけですよ。発行済株式総数、ベネッセさんが市場に流通させてた株数は、約1億245万株あったんですね。
今年の5月13日、株価が2930円を記録します。さぁ、みなさん。個人情報漏洩によって、株式市場から消えたお金って、いくらだと思いますか? これが信用の価値なんです。いくらお金が消えたのかと言うと、1465億円です。つまり、ベネッセさんは1465億円分、信用を損失したんです。これ、よく株主が黙ってるなと思うんですよ。
ちなみに2016年2月には3380円になっていました。それでも情報漏洩前に比べると約1000円下落しています。ここから信用を取り戻すのはとても大変ですね。個人情報漏洩によって発生する被害額は計り知れずマイナンバーにおいても同様の被害が予測できるでしょう。中小企業にとっても他人事ではありませんので、今のうちから安全管理措置をきっちり施しておくことが重要です。

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