マイナンバー制度施行でサラリーマンの副業やアルバイトが簡単に税務署にわかってしまう可能性があります。マイナンバー導入により、企業の社会保険の滞納がすぐ発覚ししまう可能性があります。また、マイナンバー導入による贈与税、相続税への影響等について考えてみたいと思います。
マイナンバー制度施行でサラリーマンの副業やアルバイトが簡単に税務署にわかる?
マイナンバーでサラリーマンの影響がありそうなのは、会社員であると同時に、副業やアルバイトを行っている場合です。サラリーマンの場合、扶養家族全員を含むマイナンバーを勤務先に提出しまければなりません。副収入がある場合は、確定申告も行う必要があります。住民税の支払いに際し、給与に副収入を合算した額がもとになるので、会社に副業していることがわかってしまいます。確定申告を行わなければ、税務署から所得税の追徴の来る可能性があります。マイナンバーはアルバイト先にも提出しなければならなくなるので、税務署は簡単に調べることができるようになるものと思われます。
もちろん、副業やアルバイトをきちんと確定申告して場合は、今まで通りですが、副業やアルバイトの収入について、確定申告していない場合は今までと異なり、その状況が税務署に簡単にわかってしまうことになります。
確定申告については、平成28年度分の申告から申告書にマイナンバーを記載することが義務づけられています。
◆マイナンバー導入と副業やアルバイトへの様々な問題発生可能性は?
副業での勤務記録もマイナンバーに記録されるので、人に言えないような勤務先など、勤務先に問題がある場合には注意が必要です。あらかじめよく考えて勤務につく必要がある場合も出てくる可能性があります。
いろいろな理由で、副業する人が減れば、経済効果の連鎖により、様々な領域の仕事に(例えば、タクシーの運転手など)影響が出る可能性があります。
「ネットオークション」や「せどり」で年間20万円の収入を継続的に得ている場合、確定申告をしないと追徴課税される可能性がでてきます。
マイナンバー導入により、企業の社会保険の滞納がすぐ発覚してしまう?
かつて、スーパー等が、バブルやリーマンショック後に売り上げ不振となり、本来店舗が半分負担するべき、パート従業員などの社会保険(厚生年金や健康保険)の支払い滞納などはかなりの数にのぼるものと思われます。(雇用保険や労災保険などの労働保険には加入)最終的には、違法と承知で脱退することも少なくありません。しかし、こうした「裏工作」は、マイナンバーの導入より、会計検査員の実地調査により、露呈する公算がおおきくなるものと思われます。
マイナンバー導入と贈与税、相続税への影響はどのようなことが考えられるでしょうか?
マイナバーは、戸籍にも導入される予定で、戸籍もマイナンバーに紐つけば、相続のときに大変な、出生から死亡までの連続戸籍取得や除籍謄本の取得などの事務手続きが大幅に軽減されます。
預金口座にマイナンバーが適用されるようになった場合には、預金者情報や相続人情報が一元管理できるようになる可能性があります。アイナンバーが預金口座などの財産に紐付けられることで、税務署は、網羅的に故人の財産情報が容易に把握することが可能になります。
◆マイナンバー導入と贈与税への影響
贈与する際に贈与税を逃れるために、日本各地の遠方の金融機関に複数の口座を開き、各金融機関に、110万円未満を送金するという手口がありました。マイナンバー導入後は、マイナンバーで簡単に名寄せできるので、そのような仕組みが構築された場合には、このような贈与税の脱税に相当すると思われる行為はできなくなります。
◆マイナンバーと贈与税、相続税全般への影響
マイナンバー導入により、相続税や贈与税の税務調査が容易になります。例えば、「誰かに扶養されているのに、預金残高が多い人」、「誰かに扶養されているのに、株・投資信託の配当が多い方」、「誰かに扶養されているのに、保険の満期や個人年金の受け取りの多い方」
などは、注意が必要になるものと思われます。
マイナンバー導入により、相続税や贈与税の税務調査一括チェックの仕組みが構築されると相続税や贈与税の不正申告も簡単に発覚してします可能性があります。
マイナンバー導入と将来の相続税等への影響可能性はどのようなことが考えられるでしょうか?
今後は、金融機関における口座開設や、生命保険、戸籍や不動産登記簿が順次つながって行く可能性があります。税務当局が、全国の金融機関に照会すれば、被相続人およびその相続人等の関連者名義の口座が即座に判明することになりますので相続税や贈与税の申告漏れはなくなってゆくものと思われます。