【企業向け】支払う相手のマイナンバーを聞かなくてはいけないパターン

平成28年1月より、マイナンバー法が運用開始されました。行政期間だけでなく、民間企業もマイナンバーを取り扱う必要があり、事務担当者は支払う相手のマイナンバーを聞かなくてはいけなくなり、企業には高度なセキュリティ対策が求められています。

そもそもなぜ民間企業がマイナンバーを扱うの?

Q4-1-1 民間事業者もマイナンバー(個人番号)を取り扱うのですか?
A4-1-1 民間事業者でも、従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得し、給与所得の源泉徴収票や社会保険の被保険者資格取得届などに記載して、行政機関などに提出する必要があります。また、証券会社や保険会社が作成する支払調書、原稿料の支払調書などにもマイナンバーを記載する必要があります。(2014年6月回答)
現在のところ、マイナンバーの記載は、従業員やその扶養家族、証券会社や保険会社が作成する支払い調書、講演料や原稿料、デザイン料などの支払調書への記載とされています。自社の従業員のマイナンバーだけではなく、顧客やクライアントのマイナンバーも取り扱うことになります。

保険会社の支払調書とは?

死亡保険金や満期金が100万円を超える場合、
保険会社は税務署に「支払調書」を提出する義務があります。

支払調書に記載される事項は、
○受取人の住所、氏名
○保険金額
○支払年月日
○保険会社の所在地、名称
などとなっています。

ただし、100万円を超えていても、
保険の満期金の場合は、
税金の対象となるのはあくまで「所得」ですので、
支払った保険料を差し引いて、
年間で50万円を超えなければ申告の必要はありません。

金額が大きい場合や、複数の満期金がある場合は、
申告もれがないようにご注意ください。

また、保険会社から受け取る年金の場合は、
年間の年金の受取額が20万円を超える場合は、
税務署に支払調書が提出されます。

これも支払った保険料は差し引くことができますが、
差引の所得は「雑所得」として総合課税されます。
年間50万円の控除はありませんので、
ほとんどの場合、申告の必要が生じます。

証券会社の支払調書とは?

発行会社が株主に対して配当金を支払った時や、証券会社等が投資家より株式や投資信託等の売却注文を受けて注文が成立した時などに、誰に、いくら支払ったかを記載した書類を税務署に提出します。
この書類を「支払調書」といいます。
保険会社や証券会社の支払調書は、会社側が税務署に対して提出する書類で、保険金や年金、配当を受けた側が出す書類ではありません。支払いを受けた側は、確定申告の際に申告するものです。
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講演料や原稿料、デザイン料に対する支払調書とは?

支払調書とは何かを理解されていない方もおいでかと思います。支払調書は、言わば給与所得者が勤務先から貰う源泉徴収票のようなものです。個人で原稿料などを受け取る場合、法律によって、一定率の所得税(復興特別所得税を含む)が、あらかじめ差し引かれています。この場合も源泉徴収と言いますが、給与所得者ではない人には給与所得の源泉徴収票は出ませんから、代わりに支払調書というものを発行することが義務付けられています。

支払う側では源泉徴収を行うと共に、受け取る側に「いくら源泉徴収して納税してあります」という通知を行うことになっています。この通知書が「支払調書」です。またこの支払調書は、一部が税務署にも提出されます。

原稿料などの受け取り側にとっては、この支払調書が前年の所得からあらかじめ源泉徴収されて納税したことを示す証明書になります。支払調書は確定申告を行う場合に必要となる書類です。

逆に税務署にとっては、誰がいくら報酬を受け取ったかの資料になりますから、多額の報酬を受け取った人に関しては、税務署が確定申告書類をチェックする、場合によっては税務調査の対象とする根拠となります。

個人に対して原稿料などの報酬を支払う側は、所得税の源泉徴収と支払調書の作成・送付は法律上の義務になっています。個人が個人に対して報酬を支払う場合でも、義務には変わりありませんのでご注意ください。

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今後は、支払いを受ける人の法人番号または個人番号が必要となります。
講演料や原稿料、デザイン料などは、支払う側が源泉徴収をする場合が多いので、対個人の場合には、その個人のマイナンバーが必要となります。また法人の場合には、法人のナンバーが必要です。
ご覧いただいてお分かりのとおり、支払を受ける者、つまり支払先の番号を入手する必要があります。
法人であれば国税庁の公表サイト上に公表される予定のため、直接入手しなくても実務上問題はないのですが、個人に支払っている場合には原則としてその個人から個人番号カード等の提示を受け、かつ、身元確認を行わなければなりません。

これは、上記報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書だけに限らず、配当でも同様です。つまり、株主が個人であれば、原則としてその株主から個人番号カード等の提示を受け、かつ、身元確認を行うこととなります。

支払いをする相手のマイナンバーを聞かなくてはいけなくなる。

あなたが誰かに、マイナンバーを「教えて」とお願いする立場になることも考えられる。例えば、企業が個人に原稿料や講演料、デザイン料などの報酬や料金を支払うときには、支払調書などにもマイナンバーを記載する必要があるため、業務を依頼した人に対し、会社としてマイナンバーの提示をお願いすることになる。

これについて福田氏は、最初は戸惑うかもしれないとしながらも、今後は「報酬を振り込むために銀行口座を聞くように、マイナンバーを聞くことも当たり前になる時代になる」と話す。そのうえで、マイナンバー制度は公平な社会をつくるための制度なのだと強調した。

マイナンバーを聞く必要があるということは、支払う相手の個人情報を聞くということになります。マイナンバーを扱う実務担当者は、漏洩しないようにしっかりと行動する必要があります。

どんな罰則規定があるの?

今回の番号法では、個人番号利用事務等に従事する者が、正当な理由なく特定個人情報ファイルを提供した場合、4年以下の懲役または200万円以下の罰金または併科という重い刑罰が科されることになりました。

また、マイナンバーの漏洩などに関し、以前の個人情報保護法とは比べものにならないほどの重い罰則が科せられることになりました。

・不正な利益を図る目的で個人番号を提供または盗用した場合、3年以下の懲役または150万円以下の罰金または併科
・情報提供ネットワークシステムの事務に従事する者が、情報提供ネットワークシステムに関する秘密を漏洩または盗用した場合、3年以下の懲役または150万円以下の罰金または併科
・人を欺き、人に暴行を加え、人を脅迫し、または、財物の窃取、施設への侵入等により個人番号を取得した場合には、3年以下の懲役または150万円以下の罰金

マイナンバーでは、個人情報まではわからないから大丈夫などとたかをくくっていてはいけません!従業員やその家族、顧客やクライアントのマイナンバーを扱う実務担当者として、マイナンバー法について知識を深めておきましょう。

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