マイナンバーは実はビジネスチャンスでもある?

対応に苦慮する声や個人情報の観点から反対する声など多くの意見が巻き起こっているマイナンバーですが、見逃されがちなものとしてビジネスの側面が挙げられます。

まずマイナンバーのおさらいをしておきましょう

マイナンバー社会保障・税番号制度 (25840)

「マイナンバー」とは何のこと?

マイナンバー(個人番号)とは、
国民一人ひとりが持つ12桁の番号のことです。

12ケタの番号で行政上の処理をすることでこれまでの面倒な手続きがなくなります。
公正・公平な社会の実現

 「マイナンバー制度」の導入で、国は「公正・公平な社会の実現」につながるとしています。マイナンバーを使えば、複数の仕事を持つ人の所得や家族全体の収入を把握しやすくなります。このため、所得の過少申告や、生活保護の不正受給などの防止につながり、本当に困っている人へのきめ細かな支援もできるとしています。

行政の効率化

 「行政の効率化」も期待され、これまで、それぞれの機関が持っていた情報をマイナンバーと結び付けて管理することで、お互いに照会しやすくなり、事務負担が軽減されます。

手続きの簡素化

 私たち、サービスを受ける側にとっても「手続きの簡素化」というメリットがあります。例えば、児童手当の手続きを行う際、これまで自分で事前に取り寄せる必要があった所得証明書が要らなくなります。さらに、将来的に年金記録とマイナンバーを結び付けて管理されれば、いわゆる「消えた年金問題」のように支払った年金記録の行方が分からなくなるといった事態を防ぐことにもつながります。

 2017年1月以降、省庁や国の関係機関のシステムで、そして同年7月には地方自治体のシステムでも連携が始まる予定で、こうしたメリットが受けられるようになります。

年金や保険料の徴収などに使われます。

このマイナンバーがビジネスチャンスになるってどういうこと?

報道によってはマイナンバーが利権の温床だとか、郵便局が恩恵を得るだとか、様々な言われ方がされていますが、ここで扱うのはそういう話ではありません。企業のマイナンバーの管理の話です。
―マイナンバー制度は民間企業にどのような機会をもたらすのでしょうか。

マイナンバー制度の利用範囲は、当初、社会保障と税、災害対策の3分野への適用に限定されているが、今後民間利用が拡大される。まず、準公的な領域である医療分野や、税との近接領域にある金融分野から利用が始まるだろう。

個人番号カードには電子証明書が格納され、この証明書を使った公的個人認証サービスは民間企業にも開放される。これまで保険証や免許証を提示して行っていた本人確認も、個人番号カードを提示すれば済み、またネット上で電子証明書を使うこともできる。ネットショッピングをはじめ、さまざまな利用シーンが考えられるし、民間企業にとってビジネスチャンスがあるだろう。公的個人認証をビジネスで活用する場合、総務大臣の認定が必要であり、早ければ3月中にも認定の基準が公表されると聞いている。

もちろん制度の拡充は必要ですが、先々の見通しを持っておくことは必要みたいですね。

たとえば外国にはすでにビジネスモデルがあります

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―――えっ!マイナンバーって、民間企業がビジネスに利用してもいいんですか?

「現段階では難しいです。実はマイナンバー制度は、情報漏えいに対し罰則規定もあるほど、利用に関して法で厳しく定められているんです。しかし今後、規制緩和で民間利用ができるようになれば、金融や広告、配送の分野で革新的なことが起こり得ます。実際、アメリカや韓国などでは、そういった事例があるんですよ」

韓国では、レンタルビデオの会員番号やネットの書き込みに、住民登録番号が使われている!?

―――なんと!アメリカや韓国にもマイナンバーがあるんですか?

「アメリカではソーシャル・セキュリティ・ナンバー(社会保障番号)、韓国では住民登録番号が、日本のマイナンバーにあたるものです。日本と違うのは、両国とも民間企業がビジネスに利用している点。例えば韓国のレンタルビデオ店では、“会員番号=住民登録番号”というケースがほとんどです。レンタルビデオ店が返却していない人をブラックリスト化しておけば、住所・氏名変更後に再入会しようとしても判別できますから非常に便利ですよね。韓国では大学の学籍番号も住民登録番号ですから、日本で問題になっている奨学金の回収も容易くできるでしょうね」

無論、個人情報を扱うわけですから責任は伴いますが、やり方次第では相当な経済効果が生まれそうですね。
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でも本当にビジネスチャンスが拡大されるの?

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結局のところ行政処理に使われるだけで民間の入る余地はないのでは、と思ってしまうところですが、政府自身がマイナンバーのビジネス利用に言及しています。
 政府はマイナンバーの使い道を広げ、使い勝手を高めることで、制度の普及・定着を強力に推し進めようとしている。6月30日に閣議決定された「日本再興戦略」改定版でも、「安全・安心を前提としたマイナンバー制度の活用」として、次の6項目を挙げている。
(1)マイナンバー利活用範囲の拡大
(2)個人番号カードの普及・利活用の促進
(3)個人番号カードによる公的資格確認
(4)マイナポータルを活用したワンストップサービスの提供
(5)個人番号カード及び法人番号を活用した官民の政府調達事務の効率化
(6)年金・税分野での利便性の高い電子行政サービスの提供・年金保険料の徴収強化・行政効率化
 このうち、民間でのビジネス活用に言及しているのが、「(2)個人番号カードの普及・利活用の促進」と「(4)マイナポータルを活用したワンストップサービスの提供」の項目である。政府には、これらの分野で民間での利活用を促し、利用者にとっての利便性を高めることで、制度の普及・定着を加速させる狙いがある。

チャンスはまだまだ先。今は準備を整えておこう

とはいえまだまだビジネス利用できるようになるのは先です。そうなったときのために、企業としては今の内にマイナンバーに通暁しておいたほうがいいでしょう。
まず、取り組むべきこととしては、「マイナンバー制度そのものへの対応に関しては制度対応と割り切り、コストとリスクを最小限に抑えることだけに注力すべき」であろう。
マイナンバー制度対応に伴い、各民間企業それぞれに制度対応の事務作業が発生する。しかも、これらの事務を行う際には、高いレベルの安全管理措置が必要となる。しかしながら、マイナンバー対応は企業の本来の業務との関連性が低く、例えば対応したからといって本業の売り上げが伸びる訳では必ずしもない。さらに安全管理措置への対応のための機器の整備なども必要になる。
その様なことを鑑みれば、例えば安全管理措置や事務処理作業の対応をシステムベンダーやアウトソーシング会社などの外部事業者に委託することも一つの手段であるといえる。
いかにマイナンバーでコストを取られないかを勉強することが、利益を生むことにもつながるでしょうね。

念のために言えばくれぐれも騙されないように……

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自分でチャンスを切り開いていくならいいですが、世の中にはマイナンバービジネスで稼げる、と称してお金を巻き上げようという人もいます。そういう人にとってもチャンスであるということでしょうが、企業としてはそういう甘い声には騙されないようにしたいですね。

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