企業担当者が懸念するマイナンバー制度の問題点は?

いよいよマイナンバー制度が開始直前となりましたが、すでに誤配送や詐欺、不祥事など問題が続出しています。実際にマイナンバーを取り扱うことになる企業担当者は制度のどういうところを懸念しているのでしょうか。

マイナンバー提供を社員が拒否したら?従業員には提供義務無し!

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 まず社内では「意思を持って提供しない」従業員への対応がある。実は、マイナンバー法には個人番号を提供する義務がない。ただし、役所などに提出する義務はある。そうなると、なんらかの信条で番号提供をしない従業員も考えられるが、特に大企業や上場企業では社会的責任も意識して可能な限りきちんと集めたい。「外国籍の従業員から問い合わせがあった場合、相手が納得する説明がその国の言語でできるか」を心配する声もあった。
Q4-2-5 税や社会保障の関係書類へのマイナンバー(個人番号)の記載にあたり、事業者は従業員等からマイナンバーを取得する必要がありますが、その際、従業員等がマイナンバーの提供を拒んだ場合、どうすればいいですか?
A4-2-5 社会保障や税の決められた書類にマイナンバーを記載することは、法令で定められた義務であることを周知し、提供を求めてください。それでも提供を受けられないときは、書類の提出先の機関の指示に従ってください。
Q2‐10 従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか。

(答)

法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。

それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。

経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。

なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。

企業は従業員のマイナンバーを管理しなければいけない一方で、従業員は拒否することができます。従業員に説明したにもかかわらず拒否された場合は従業員と企業のやりとりについて経過を記録したものを提出しなければいけません。担当者からすれば負担倍増ですね。

日雇い労働者がきちんと提供してくれるのか?未だ提示されない政府ガイドライン!

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 マイナンバー制度では、社員から番号を収集する際、本人確認と利用目的の明示が義務付けられている。それはパート、アルバイト、契約社員、期間工など非正規雇用の従業員でも同様だ。そのため、小売業、サービス業のように非正規雇用が多い業種は事務負担が大きく、管理も煩雑になる。
企業は非正規雇用社員のマイナンバーも管理しなければいけません。
Q1:勤務先にマイナンバーを通知する必要はあるの? 

提出・通知する必要があります。これは働く期間や時間に関係なく、1日の短期バイトでも同じです。会社は、働いている人のマイナンバーを必要書類に記載する義務があります。これは法令で決まっていることなので、アルバイト・パートさんからマイナンバーを聞かざるを得ないのです。

短期のアルバイトで雇用保険に加入しないほど短時間で雇うアルバイトについても支払い報告書等にマイナンバーを記載することになりますので、1回目の給与支払いまでに扶養控除申告書を提出してもらうときなどに合わせてマイナンバーを本人から提供してもらうことになるでしょう。
 マイナンバー制度に精通する影島広泰弁護士によれば、外部からの収集が最も難しいのは、建設業界の担当者だという。労働者を雇用しないで自分1人で営む「一人親方」もいれば、各現場の作業を担う「日雇い労働者」もいる。頻繁に作業現場が変わる日雇い労働者が、毎回個人番号を提示し、身元確認をさせてくれるのか。一日限りで働く外部労働者に対するガイドラインは、本稿執筆の12月18日段階でまだ示されていない。
非正規でもマイナンバーの管理は必須!しかし日雇い労働者に毎回マイナンバー提出を要求するとなればかなりの手間です。政府からのガイドライン提示が待たれます。

行政の急なルール変更

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企業現場をさらに悩ますのは、当初の通達によって進めてきた対応が直前になって変更されることだ。

 たとえば大半の企業で、従業員に12月の給与明細書に同封される源泉徴収票には、当初は個人番号の記載義務があったが、10月2日に所得税法施行規則が再改正されて、その記載義務がなくなった。事務作業に追われる現場にとっては朗報だが、「簡素化する方向転換は歓迎するが、元々無理があるルールについては方向転換を早く決定すべき」(大手製造業の部長)という現場の苛立ちもある。「企業の対応疲れ」も気になる点だ。

平成 27 年 10 月2日に所得税法施行規則等の改正が行われ、行政手 続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以 下「番号法」といいます。)施行後の平成 28 年1月以降も、給与などの 支払を受ける方に交付する源泉徴収票などへの個人番号の記載は行わな いこととされました(個人番号が記載不要となる税務関係書類は、以下 のものです。)。
なお、税務署に提出する源泉徴収票などには個人番号の記載が必要で すので御注意ください。
問1 なぜ従業員に交付する源泉徴収票に個人番号を記 載しないこととされたのですか。
答1 本人交付が義務付けられている源泉徴収票などに 個人番号を記載することにより、その交付の際に個人 情報の漏えい又は滅失等の防止のための措置を講ず る必要が生じ、従来よりもコストを要することになる ことや、郵便事故等による情報流出のリスクが高まる といった声に配慮して行われたものです。
問2 改正によって、従業員に周知すべき事項はありますか。
答2 従業員に交付する源泉徴収票に個人番号が記載されないため、番 号法施行後においても、従来と取扱いは変わらないことを御説明く ださい。
急にルールが変更されるのは本当に困りますね。なるべく早い段階でルールの変更を通達して欲しいところです。

企業よりもむしろ行政のセキュリティが危ない?

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 国は企業に対して厳格な取り扱いを指導しており、なかには「情報漏洩のリスクを考え、インターネットにつながないマイナンバー専用パソコンを購入した」企業もあるが、企業現場からは逆に「行政のセキュリティー対策が心配」と指摘する声も目立った。

 面澤氏が取材したなかには「可能性は小さいと思うが」と前置きしたうえで、「もし今後、マイナンバー関連の汚職や情報漏洩事件が続いて、国民の間にマイナンバーへのネガティブイメージが定着すると、運用面でどんどん規制が強まり、まるで使えない制度になってしまう恐れがないわけではない」と懸念する専門家もいた。

大阪府堺市の職員が、個人情報を無断で持ち出してレンタルサーバへ保存し、外部へ流出した問題で、あらたに約68万人分の有権者データが流出していたことがわかった。
大阪府堺市の元職員が、在職中に約68万人分の有権者データを無断で持ち出し、外部に流出した問題で、そのうち2人分の情報が動画投稿サイトから長期間にわたり閲覧可能な状態だったことがわかった。

同市によると、データを持ち出した元職員が、自身が作成した選挙システムを宣伝するために動画を作成、動画には有権者の個人情報を使用、動画サイトで公開していたという。

投稿した2014年4月20日から削除した2015年12月24日まで閲覧可能な状態で、不在者投票の対象者である2人分の個人情報が映っていた。1人は氏名と住所、もう1人は氏名や住所、障害名、資格者証の区分などが含まれるという。

最近でも堺市で情報漏洩事件がありました。

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