マイナンバー制度の導入を機会に、企業の情報セキュリティ対策の向上、行政機関等の届の添付書類の削減による負担の軽減、事務フローの再構築や分担の適正化、従業員採用時の本人確認の適正化なと、用い方次第でメリットはあるようです。
手続き関係に影響が
マイナンバーの導入による民間企業のメリット
民間企業等でのメリットは、今後導入業務が広がることにより、明らかになってくると思われます。現時点では、届出の負担軽減があげられます。検討中の仕組みとして次ぎの例があります。現在は、源泉徴収票等の法定調書を民間企業から税務署に提出されるのに、それぞれの住所の税務署に郵送されています。これについて地方税ポータルを設置し、民間企業からそこへネットワークをとおして送付しますと、地方税ポータル側で自動的にネットワークにより、各税務署等に配布されるようにしようというものです。これが実現すれば、民間企業の事務負担の軽減は、大きなものがあると思われます。
民間企業への影響
マイナンバー制度では、平成28年1月から、社会保障・税・災害対策の行政手続きで使用がはじまります。民間企業も、税や社会保険の手続きで、従業員などのマイナンバーを取り扱います。
マイナンバー制度 中小企業への影響は?
中小企業にあっても、従業員とその扶養親族、取引先、出資者、顧客などの情報の適正な管理が求められることになる。具体的に、企業がとるべき対策は主に以下の4点となる。①マイナンバーを適正に扱うための社内規定作り
②マイナンバーに対応したシステム開発・改修
③特定個人情報の安全管理措置の検討
④社内研修・教育の実施
マイナンバーの利用シーンでよりセキュアに作業するための機能
オンプレミスのシステムでもクラウドのシステムでも、収集・入力されたマイナンバーは専用のデータベースに登録・管理されるようになっています。では、年末調整など個人番号欄が設けられた書類を作成する作業を行う際に、マイナンバーはシステムでどのように取り扱われるのでしょうか。年末調整を例にとると、マイナンバーは社員情報と紐付けて管理されていますので、源泉徴収票など個人番号欄が設けられた書類をシステムで作成する場合、パソコン上の源泉徴収票画面にマイナンバーを表示することができます。
ただし、マイナンバーの取扱担当者や責任者だけで年末調整作業をするのならばマイナンバーが表示されていても良いわけですが、それ以外の社員も作業するのであれば、取扱担当者や責任者以外の社員の場合はマイナンバーを非表示にする必要があります。
マイナンバー制度は日本に存在する全ての企業で対応が必要
マイナンバーは、行政だけでなく中小企業を含む全ての企業において制度対応が必要となり、総務部門や経理部門だけでなく、全ての部署、全従業員に業務上何らかの手続きが発生します。マイナンバー制度の裏づけとなる法律では、税関連や社会保険などの各種書類、 源泉徴収票や保険料控除申告書等に番号(マイナンバー)を明記することが義務づけられています。
源泉徴収表などでは扶養家族(扶養親族)の番号も帳票に記載するため、 企業における従業員本人の番号だけでなく 全従業員の家族の番号についての収集と管理も必要となります。
情報システムの改修等と求められる特定個人情報ファイルの安全管理
マイナンバー制度では、新たに特定個人情報と特定個人情報ファイルという概念を導入しています。 特定個人情報とは、個人番号と個人情報を結び併せて、一つの情報取り扱い単位として用いています。例えば、従来の税の情報項目に個人番号が付加されますと、それが特定個人情報となります。また、特定個人情報を情報システムファイルに記録した場合、そのファイルを特定個人情報ファイルということにしています。この場合、媒体が同一でなくても、何らかの紐つけで機能的に一つのファイルとして利用されていれば、それらは特定個人情報ファイルとなることに注意する必要があります。
このような特定個人情報ファイルの安全管理は、特に強く求められています。作成をはじめ利用、保管、提供が制限され、特定個人情報の漏えい、滅失等の防止のための安全管理措置が求められているところです。 このようにマイナンバー制度の導入は、情報システムにも大きな影響を受けるのは避けられないところです。