大企業であろうと、中小企業であろうとマイナンバー制度をおざなりにする事は許されません。しかし、従業員が100人以下の場合であれば緩和措置があるので、上手に利用していけば混乱は避けられるでしょう。
中小企業の経営者が最低限知っておくべき事と実施すべき事
少人数で何とかやり繰りをしなければなりませんから、必要最低限の事は知識として獲得し、マイナンバーを運用していく必要があります。
マイナンバー制度については、制度概要や企業への影響がどのようなものかといった記事はたくさん見かけるようになりましたが、「中小企業でマイナンバー制度に対してどういう対応をしたら良いのかわからない?」と不安になる方もいらっしゃるのでないでしょうか。
そもそも、似たような法令である個人情報保護法では小規模事業者(※)を「個人情報取扱事業者」の適用対象外としています。(※) 事業の用に供する個人情報データベース等を構成する個人情報によって識別される特定の個人の数の合計が過去6か月以内のいずれの日においても5000件を超えない事業者(個人情報保護法2条3項5号・同法施行令2条)。
しかし、番号法(マイナンバー制度)ではこのような小規模事業者を除外する規定がありませんので、上場しているような大企業だけでなく、中小企業はもちろん、1人会社であっても個人の番号利用における適切な管理や税務・社会保険等に係わる新たな事務について、形式上、対応していかなければなりません。
マイナンバー制度は、パートやアルバイトを含む従業員を雇用するすべての民間事業者が対象となっており、また、違法な取扱いを行った場合には、厳しい罰則が設けられています。
国はマイナンバーの適正な取扱いを確保するために、最低限守るべき事項や具体例を記述したガイドラインを公表しており、ガイドラインにしたがって業務を行うことが、推奨されます。
中小企業におけるマイナンバーの緩和措置等について
正確に言うと、パートタイマーやアルバイト等を含み100人以下であり、尚且つマイナンバーの委託業務を事業としている企業・銀行や消費者金融業者等の金融分野、あるいは取り扱うマイナンバーに関する個人情報が5千を超過する業者を除く企業であれば、緩和措置対象となります。
原則として基本方針や取扱規定等の策定を行なうことになっていますが、中小企業の特例として既存の業務マニュアルや業務フロー図にマイナンバーに関する事項を盛り込むことで対応可能としています。
電子媒体等を持ち出す場合、事務所内の移動であったとしても十分に注意することが原則となりますが、中小企業の場合は電子媒体や書類を移送するための安全な方策を講じればよいとしています。個人番号を削除した場合においても破棄した記録を保存することとなっていますが、例外規定として破棄したことを確認すれば事足りるとしています。
多くの従業員がいる企業でのマイナンバーの具体的な対策
クラウドの利点は、コストが大幅に削減出来るというメリットがあります。
但し、企業のオフィス側に置くPCには、OSやウイルス対策ソフトのバージョンを常に最新にしておく必要があります。
事業者は、個人番号関係事務の全部または一部を外部に委託することができます。委託を受けた事業者は、委託元の事業者の許諾を受けた場合に限り、再委託することができます。国のガイドラインは、マイナンバーの管理に業務委託を活用できることを前提に置いて、そのための条件を詳細に記述しています。上述の通り、事業者は個人番号関係事務のすべてを外部に委託することもできます。マイナンバーを収集し本人確認を行う事務も、外部に委託できます。
その際には、「委託先は委託元の許諾を得た場合に限り再委託を行うことができる」ことにご注意ください。これを別の視点から見ると、「委託元は再委託先に関しても監督責任をもつ」ことを意味します。
10人以下等の従業員で企業を運営している場合の、具体的なマイナンバー対策
紙ベースの対応方法で十分間に合います。
従業員数の比較的少ない中小企業の場合には、マイナンバーを紙のみで管理するのが無難で良いと思います。例えば、下記の様に、従業員にマイナンバーを記載してもらい、通知カードのコピーと一緒に封筒に入れて保管しておくというシンプルな方法もあります。
保管する場所は、鍵のかかるロッカーなど事務取扱担当者と責任者しか取り出すことのできない場所として下さい。