法人番号を活用すると、企業にはメリットがあります。

すでに今月から通知が始まっているマイナンバーですが、巷の評判はどうも芳しくない様子ですね。でも、決まってしまったものにぐちぐち文句を言っていても始まりません。いっそ、企業にどれだけのメリットがあるか調べてみませんか?

まずは、政府のサイトで法人番号ついて確認しましょう。

Q1 法人番号はどのような団体に指定されるのでしょうか。

(答)

法人番号は、1国の機関、2地方公共団体、3会社法その他の法令の規定により設立の登記をした法人(設立登記法人)のほか、4設立登記法人以外の法人(設立登記のない法人)又は人格のない社団等であって、法人税・消費税の申告納税義務又は給与等に係る所得税の源泉徴収義務を有することとなる団体に指定されます。

4について、より具体的に申し上げますと、税法上、給与等の支払をする事務所の開設等の届出書、内国普通法人等の設立の届出書、外国普通法人となった旨の届出書、収益事業開始の届出書又は消費税課税事業者届出書を提出することとされている団体に対して、法人番号が指定されます。

なお、法人番号を指定されない法人又は人格のない社団等であっても、個別法令で設立された国内に本店を有する法人や国税に関する法律に基づき税務署長等に申告書・届出書等の書類を提出する団体など一定の要件に該当するものは、国税庁長官に届け出ることによって法人番号の指定を受けることができます。

また、法人番号は1法人に対し1番号のみ指定されますので、法人の支店や事業所等、個人事業者及び民法上の組合等には法人番号は指定されません。

支店には番号指定がないのですね。
ちなみに、家族経営のお店や、スタッフに社会保険料や所得税等を差し引いて支払っていない場合もマイナンバー対策は必要ないそうです。
国民や企業などに番号を割り振るマイナンバー制度で、国税庁は8日、10月22日から企業や国の機関、地方自治体など約440万団体に法人番号を通知する書面の発送を始めると発表した。

 法人番号は、個人番号(マイナンバー)とは異なり、各団体に通知後、公表を望まない「法人格のない団体」を除いて公表される。平成28年1月以降に利用が始まり、法人税の確定申告などで番号記入が義務化される。

 設立登記のある法人には、法務省が割り振っている12桁の番号を基に、国税庁が13桁の番号を付ける。登記のない法人や法人格のない団体などには、給与の支払い情報などを基に、国税庁が独自に付番する。

 発送予定日は国の機関と自治体、東京都心の千代田、中央、港3区の法人が10月22日。エリアごとに11月25日まで順次発送する。

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早く対応すべき事業主とは?

アルバイト・パートなどスタッフ等にお給料を支払っている事業主の方で、お給料から毎月の社会保険料、所得税を源泉徴収している場合には、スタッフ本人とご家族全員の個人番号を預かることになります。
事業主様は預かった個人番号は、社会保険と所得税の源泉徴収以外には利用することができません。
また、個人番号を記載した書類は、施錠した棚などに保管し、スタッフが辞めるなど、利用する必要がなくなった場合は、シュレッダーなどで破棄しなければ、罰則が適用されつ場合があります。

スタッフが個人番号を記載した書類を紛失、漏えいした場合、事業主は管理責任を問われることになります。
したがって、個人番号を取り扱う担当者を限定し、担当者には取り扱いと保管、破棄についての知識は備えておく必要があります。
小規模の会社あるいは個人の店舗では、実務的には、極力、事業主様自身で扱うことが好ましいと思われます。

あくまで上記の対応がちゃんと出来てから、法人番号を活用していかなければなりません。
地盤作りが大切というわけですね!
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法人番号利用には事業所番号の付与が必要?

本社に割り振られる法人番号を、会社側で事業所単位に識別番号を割り当て、事務の効率化につなげるアイデアも出されている。諸外国の例でも、法人番号と分野内で統一的に用いられる分野別の事業番号を組み合わせて統一的な「企業コード」を作り、企業間取引に活用され業務の効率化・高度化が実現している。今後わが国でも積極的な活用が期待される分野である。この点については、電子政府タスクフォースで発表された「企業コードの整備・活用に関する基本構想(案)」(手塚悟氏提言)が参考になる。
 しかしこれだけでは十分ではない。せっかくのインフラをより有効に活用すべきで、そのためには、以下のような課題を解決するための法改正が必要となる。

筆者は経済産業省の法人番号活用の研究会に参加しているが、その場では以下のようなことが議論されている。
 個人番号の場合、行政機関の間で情報を共有・連携する基盤が整備されるが、法人番号にはそのような基盤がないので、行政機関において企業情報を共有する基盤の整備や、民間事業者において企業情報を共有する基盤の整備などを構築し、関係者のより有効な活用を目指すべきである。
 もう一つ、法人への付番と併せて個人事業主への付番の必要性も議論されている。企業は、法人、個人を明確に区別せず取引をしているので、個人事業主についても番号で管理することが利便性を高めることになる。その場合、プライバシーの問題を考えると、マイナンバーは使えないので、新たな付番をする必要が出てくる。
 このような論点が、法律施行後3年後見直しの中で検討されていくのであろう。

確かに事業所別(支店別)に法人番号が与えられないなら、上記のような法改正が必要でしょう。
より効率良い活用には、まだ修正が必要ということです。
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気になる企業メリットとは?

<官・民関係での効率化>

例えば、企業が役所へ補助金申請をするとき、これまでは各役所ごとに企業情報を提出しなければならなかったのですが、導入後は、一度申請した時に提出すれば、一つの法人番号で、ほかの役所も情報を共有するため、二度目以降は必要がなくなるといった、手続き上の合理化が図れます。

役所間で法人番号情報を交換(連携)することによるメリットです。

このように企業が役所と関係する上で、手続き上の二度手間などがなくなります。

法人番号を利用し取引企業の管理を一元化

<民・民関係での効率化>

企業では、これまで社内の各セクションごとに、取引先企業を情報管理していた場合があったかと思いますが、法人番号が一元化されることで効率化が図れます。

民間企業は、組織が大きくなればなるほど、各部署で管理する取引先情報も膨大となり、また、部署毎に異なるコードを用いて取引先情報を管理しているケースが多いと思います。

ある企業で、取引先である「株式会社A」の情報を各部署で管理しているケースを仮定した場合。

各部署で異なる目的で株式会社Aの情報を保有しており、それぞれ別コードを用いて情報管理を行っています。

総務部では旧名称、経理部では部署名付き、営業部は旧住所でデータ管理をしています。「株式会社A」の情報を集約する必要が生じた場合、名称や所在地だけで名寄せをするので、手間がかかってしまいます。

法人番号導入で各部署が管理している取引先情報に「株式会社A」の法人番号を追加することで、情報集約の効率化を図ることが可能となります。

法人番号を各部署共通の管理コードとして加えることで、

1、国税庁から提供される最新の名称・所在地情報を活用して、各部署の保有する取引先情報の名称・所在地情報の更新を行うことが容易になる

2、A社が顧客である場合、取引情報の集約化により、A社のニーズに即したきめ細やかな営業活動等を実施することが可能になる

3、A社が調達先である場合、取引情報の集約化により、各部署からA社に対する調達を一本化することでコスト削減が期待できる

などのメリットが考えられます。

顧客の取引情報の集約化は、確かに大きなコスト削減につながりそうですね。
また、顧客のニーズにピンポイントで対応できるというのも効率化につながります。
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消費税インボイスへの活用でメリットが?

もうひとつ法人番号の活用が見込まれる分野として、軽減税率の導入に伴うインボイス制度への活用が考えられる。軽減税率問題は、「必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する」(平成26年度税制改正大綱)こととされ、年末に向けての検討課題となったが、導入に際しては、税額の別記が義務づけられたインボイスが必須となる。加えて、インボイスの信ぴょう性を確認するための番号も不可欠となり、法人の発行するインボイスには、法人番号を使うことになるであろう。
 いずれにしても、法人番号は、納税者側からのイニシアティブでその活用範囲が大きく広がるので、納税者としては知恵の出しどころである。
インボイスとは、物品を送るときに税関への申告、検査などで必要となる書類です。
なんといっても生活必需品の税率が8%に据え置かれるわけですから、そのぶん支出が抑えられます。低所得者層には特に直接的なメリットになる可能性大。

また、先にも触れたとおり、会計時のマイナンバーカードの提示や、還付金を受け取るための手続きも不要ですので、還付金案に比べて消費者の手間は格段に省けます。

こんなところまで波及しているとは驚きです。
企業も納税者ですから、アイデア次第でメリットが生まれる可能性が大きいですね。
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まとめ

こうして見ていくと、マイナンバーは評判ほど悪いものではないという感じがします。
要は、いかに前向きに国が決めた制度に臨んでいくかが重要であり、積極的に制度を利用していこうとする企業主が自社に多くのメリットを生むということになるでしょう。
プライバシーの侵害などの不安要素は確かにありますが、それでも「できるだけの対応をする!」ということが、企業主の義務だと思われます。
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via bdy.jp