今年1月から導入されたマイナンバー。その管理方法とは、どういったものなのかを調べてみました。
マイナンバーとは
マイナンバーとは、国家が国民ひとりひとりに番号を割り当て、個人の所得や年金、納税などの情報を1つの番号にひも付けて管理する目的でつくられる「共通番号制度」のこと。国民につける個人識別番号を「マイナンバー」と名づけたため、マイナンバー制度と呼ばれるようになった。マイナンバー制度を理解するためには、「マイナンバーの番号」「マイナンバーカード」「マイナンバーポータル」の3つを、それぞれ分けて考えることがポイントだと福田氏は説明する。マイナンバーの話題は多岐に及ぶが、これらの3つの中のどれについて話をしているのかを意識することで、理解しやすくなるのだという。
《マイナンバーの番号とは?》
「マイナンバーの番号」とは、文字通り、ひとりひとりに割り当てられる個人番号のこと。日本に住民票を有していれば、中長期在留者や特別永住者などの外国人も含めて発行される。完全にランダムな12桁の番号で、家族であっても似た番号になるわけではない。生まれてから死ぬまで1つの番号を使い続けることになり、結婚したり、「マイナンバーカード」を紛失したりした場合でも、新しい番号が発行されるわけではない。2015年10月5日から通知が始まる。
通知の際には、番号などが書かれた紙製の「通知カード」が住民票を持つ全員に簡易書留で送付される。マイナンバーが印字されているので、この通知カードが「マイナンバーカード」と勘違いされることがあるが、これはあくまで通知のために使われるもので、次に説明する「マイナンバーカード」とは別物。身分証明証としては利用できない。
共通番号制度は佐藤栄作内閣による1970年の国民総背番号制の提案以来、たびたび構想されてきたが、2013年5月に法案が成立。対象を国民だけでなく日本に住民がある人に広げ、2016年1月から制度がスタートすることになる。
マイナンバーカード
今までは、レンタルビデオ店やケータイショップで本人を証明するために、運転免許証やパスポートなどが必要でした。マイナンバーカード(個人番号カード)があれば、日本に住民票のある誰もが本人を証明することができるようになります。
何かしらの手続きをするのに、あれもこれもと持っていかなくていいようになるのですね。
マイナンバーカードの作り方
マイナンバーカード通知が簡易郵便で届いた人これから届く人さまざまだと思いますか、封筒の中には返信用封筒とマイナンバー通知カードとマイナンバーカードの発行申請を兼ねているハガキが入っています。マイナンバーカードの申請方法は郵送以外にもネットで申請もできます。スマホからも申請ができるので簡単ですよ。
マイナポータル
行政機関がマイナンバー(個人番号)の付いた自分の情報をいつ、どことやりとりしたのか確認できるほか、行政機関が保有する自分に関する情報や行政機関から自分に対しての必要なお知らせ情報等を自宅のパソコン等から確認できるものとして整備します。例えば、各種社会保険料の支払金額や確定申告等を行う際に参考となる情報の入手等が行えるようになる予定です。 また、引越しなどの際の官民横断的な手続のワンストップ化や納税などの決済をキャッシュレスで電子的に行うサービスも検討しています。 なお、なりすましの防止等、情報セキュリティに十分に配慮する必要があることから、マイナポータルを利用する際は、個人番号カードに格納された電子情報とパスワードを組み合わせて確認する公的個人認証を採用し、本人確認を行うための情報としてマイナンバーを用いない仕組みを考えています。
マイナンバーのメリット・デメリット
マイナンバーが導入されると、全国のあらゆる公的組織でまったく同じ番号によって個人情報が管理されることになります。すると、各組織間で個人情報をやりとりする際には、データの共有や連携がスムーズに行われるようになるはずです。役所での手続きは時間がかかるというイメージがあるかもしれませんが、マイナンバーによって大幅な時間短縮が期待できるというわけです。
手間と時間がかからなければ、そのぶん人的なミスが発生するリスクも軽減できます。万一ミスが起きてしまったとしても、手続きが少なければ間違いを発見しやすいですし、マイナンバーで一括管理されていますから訂正も簡単です。
従来に比べて手間が省けるということは、それだけコストや人員を削減できるということでもあります。すると、そのぶんのリソースを別の部分に回すことができますので、公的機関のサービスが今までよりも充実したものになる可能性があるでしょう。
マイナンバーでは社会保障、税、災害対策の分野での効率的な情報管理を目的としています。したがって、マイナンバーには、個人のさまざまな情報が詰まっているといえます。最初のデメリットはその情報が流出してしまう可能性です。
このマイナンバーが人に知られてしまった場合、どういうことが起こるのでしょうか?マイナンバーに詰まった情報が他人に知られてしまうのでしょうか?
マイナンバー制度では、制度とシステムの両面から特定個人情報(マイナンバーを含む個人情報)流出の予防のため、次のような措置が取られています。
【制度面における保護措置】
1.本人確認措置
2.番号法の規定以外での、特定個人情報の収集・保管の禁止
3.番号法の規定以外での、特定個人情報ファイルの作成の禁止
4.第三者委員会(特定個人情報保護委員会)による監視・監督
5.特定個人情報流出に対する罰則の強化
6.マイナポータルによる情報提供等記録の確認【システム面における保護措置】
1.個人情報の分散管理
2.個人番号を直接用いずに、符号を用いた情報連係
3.アクセス制御による閲覧者の制限・管理
4.通信の暗号化特に今回のマイナンバー制度では、特定個人情報を特定の機関に集約する「一元管理」方法が採用されず、それぞれの機関がそれぞれの個人情報を管理し必要なときに情報の連係を行う「分散管理」方法が採用されたことで、万が一、いずれかの機関で特定個人情報等が漏洩した場合でも、その被害が限定される可能性が高くなり、デメリットの低減化が図られていると考えられています。
アメリカのマイナンバーともいえる「社会保障番号」テレビや映画などでその単語を耳にしたことも多いと思います。アメリカでは社会保障番号が多くのIDなどと関連付けられ、社会保障番号自体が身分証明書としても用いられていますが、そのために「なりすまし」の被害も少なくありません。これが第2のデメリットです。
実際、今年の5月下旬、アメリカで最大1万3千人分、3900万ドル(約47億円)の税金還付金詐欺が発覚し、「なりすまし」は大きな社会問題となっています。このデメリットの大きな元凶としてあげられているのが、社会保障番号が「本人認証」の手段として用いられていることにあるといわれています。
日本のマイナンバー制度においては、社会保障番号のデメリットの反省を活かし、マイナンバーを口頭で伝えるだけでの本人認証は行わない予定です。本人認証が必要な場合には、個人番号カードや運転免許証等の顔写真付きの身分証明書によって本人確認を行うことが法律に厳格に規定され、行政の関係各機関に義務付けられています。
一般企業等の民間事業者においても、番号法の規定以外でのマイナンバーの収集・保管が禁止されているため、マイナンバーのみが本人認証として用いられることはありません。
このため、日本のマイナンバー制度では、なりすまし被害のデメリットが発生する可能性は低いと考えられています。
マイナンバー管理方法
「マイナンバー制度」では、さまざまな個人情報がマイナンバーと結び付けられて管理されることから、サイバー攻撃などを受けた際に多くの個人情報が流出するのではないかという懸念があります。
こうした不安をなくすため、「制度による守り」と「システムによる守り」で、何重もの仕組みが取り入れられています。「システムの守り」では、情報管理について、「一元管理」ではなく「分散管理」が義務づけられています。
「一元管理」が1か所でさまざまな情報を集中的に管理し、一度の操作で多くの情報を引き出せるのに対し、「分散管理」は、各機関が別々に情報を管理していて、たとえマイナンバーが漏れても“芋づる式”にすべて盗み取られる可能性を低くしています。
そして、ある機関がほかの機関に情報を照会をする際は、マイナンバーそのものは使わずに、ネットワークを介し、暗号で情報をやり取りするので、たとえ漏れたとしても、個人情報にはたどり着けないとしています。また、自分の情報がどう使われているかを自分で確認する仕組みも作られています。これは、2017年1月から始まる「マイナポータル」というサイトで、自分の情報が、どの機関の間で、いつ、どのようにやり取りをしたのかを確認できる仕組みです。一人一人がみずから監視できるようになっています。
一方、「制度による守り」では、各機関や企業は、取り扱いにあたって、厳格な安全管理のルールが求められていて、故意の漏えいや悪用をした場合には厳罰に処せられます。
また、監視するための専門組織として「個人情報保護委員会」も設けられ、法律違反などに対して勧告や命令を出すことができます。さらに、万が一、自分のマイナンバーが漏れて悪用のおそれが生じた場合には、マイナンバーを変更することもできます。
まとめ
マイナンバーを知らずに手元に渡された人にとっては、そもそも記されている番号がどういう意味なのかもわからないでしょう。常にインターネットや新聞で確認する必要があります。一生ついてくる番号ですので、大切に管理したいですね。