マイナンバー制度で中小企業はどれだけの影響を受けるのか
マイナンバー制度の認知度ってどのくらい?
実はマイナンバー制度において企業が果たすべき義務については、まだ十分に認知・理解されていない。
マイナンバー制度の「内容を理解しており、自社で対応すべき事項も全て把握している」という回答は小規模企業で8.5%、中小企業でも12.5%にとどまっている。つまり8~9割の企業はマイナンバー制度において自社が取り組むべきことは何かを理解していないことになる。
名前は知っているけど、実際は何をするのかということがまだまだ浸透していないようです。
マイナンバー制度のスケジュールを確認
マイナンバー制度は今年2015年10月からスタートと勘違いされている方がいるかもしれませんが、上記のスケジュールの様に、来年2016年1月から順次スタートします。また、再来年2017年には自宅に居ながらにして様々な個人情報を入手できるポータルサイトがオープン予定らしいので、更に便利な世の中になりますね。
どんな大きさの企業もやらなければいけない
Q:従業員が数十人程度の小さな企業も対象になるのか?A:マイナンバー制度は企業規模を問わず、従業員に給与を支払っている全ての企業が対象となる。この点は日本版SOX法(内部統制報告制度)、個人情報保護法、省エネ法といった一定以上の条件を満たず企業のみが対象となる従来の法制度とは大きく異なる。
Q:マイナンバー制度に対応しなかった場合の罰則はあるの?
A:マイナンバーは個人の所得にも関連する重要な情報であり、適切に管理されなければならない。そのため不適正な理由や目的による情報の収集や漏えいなどには、個人情報保護法よりも重い罰則規定が設けられている。例えば、故意の漏えいに対しては最高で4年の懲役が科せられる。
目の前の仕事で大変な中、対応しなければいけないのは大変だと思います。
中小企業がやらなければいけない業務
大きく分けて、税務分野(税務署等に提出する各種調書・届出類)と社会保障分野(健康保険、雇用保険、年金等)の2分野の書類にマイナンバーの記載が必要となります。
ほとんどの書類がH28年1月以降、マイナンバーを記載する新書式での提出に切り替わっていきますので、新旧いずれの書類で準備するのか、自社の決算期や状況に応じて早めに税理士、社労士などの専門家に相談することをお勧めします。
法人にも番号が付けられます
Q 今回、個人番号だけでなく「法人番号」も導入されることになっていますが、これはどのように割り当てられるのでしょうか。A 法人番号は13ケタで、国税庁長官が番号を指定し、各法人に通知することになっています。法務省が保有する「会社法人等番号」を基礎として付番することになっていますが、その対象は(1)国の機関、地方公共団体、設立登記のある法人(2)税務署に開業届け出等を行った法人または人格のない社団等(3)付番を求める届け出をした法人または人格のない社団等です。
個人情報の保護
民間企業は主に個人番号関係事務実施者の立場として、個人番号を取り扱います。具体的には社員ごとに所得税の源泉徴収、住民税の特別徴収、社会保険料(医療保険、介護保険、年金保険)の支払い業務などがその対象になります。このため、扶養控除の関係から社員だけでなく家族の個人番号も教えてもらい、それらを従来の「人事・給与システム」に記載・管理できる形にバージョンアップする必要があります。
その為に、会社も新たなシステムの導入なども考慮しなければいけなくなるのかもしれません。
マイナンバー制度のメリットとは
メリットは大きく3つに分けられます。下記御覧ください。・1)行政の効率化
行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などにかかっていた時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されます。・2)国民の利便性の向上
添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。 また、行政機関が持っている自分の情報を確認できたり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ることができます。・3)公平・公正な社会の実現
所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、本当に困っている方にきめ細かな支援ができます。また不正行為を行っている方を防止できたりします。
忙しい会社にとっては、業務が増えるのは大変なことです。
それだけの効果が期待できるのか、これからの行政の対応次第ですが、この制度を作ってよかったと思われる世の中になることを期待します。
これは、会社にとっては通常業務の他に、業務を多く抱えなければならなくなってしまいます。