アメリカのマイナンバー<SSN>で実際に起こっている問題を元に、今後起こるであろうマイナンバーのリスクを考慮しましょう。
アメリカで深刻な問題とは
アメリカの場合はSocial Security Number(社会保障番号、略してSSN)と呼ばれている。
情報流出や悪用のリスクもあることを示しているのは「なりすまし」事件が大きな問題となっているアメリカだ。多くの個人情報がひも付いた「SSN」と呼ばれる番号が悪用される事案が深刻化している。
SSNによる「なりすまし」問題
実際、今年の5月下旬、アメリカで最大1万3千人分、3900万ドル(約47億円)の税金還付金詐欺が発覚し、「なりすまし」は大きな社会問題となっています。このデメリットの大きな元凶としてあげられているのが、社会保障番号が「本人認証」の手段として用いられていることにあるといわれています。
この年に限らず、同様の事件は過去から後を絶ちません。このような犯罪の他にも、本人になりすまして銀行口座を開設したり、クレジットカードを作成したりするという犯罪が横行しています。これらのなりすましによる犯罪は、被害にあってからもしばらくの間は本人が気付かないということがあります。そのため、気付いた時には莫大な金額の借金を抱えていたというケースもあります。
SSNのヤミ売買、垂れ流し、犯罪者の手に渡るなどが横行しており、
国外へ派遣された軍人が、任務を終えて故郷へ帰ると、何者かにSSNを使われて信用口座を開設され多額の焦げ付きがあった。
そればかりか、信用情報機関のブラックリストに登録されてしまって新規にクレジットカードも作れない状況に。
医療関係でも詐欺が多い。病院で成り済まして治療を受けることもある。もちろん請求は被害者へ。さらに恐ろしいのは、被害者の治療歴が変わってしまうこと。たとえばアレルギーや血液型が記載されてしまったら本当に危険。
問題の原因は?
アメリカでは子どもの頃から社会保障番号を利用しています。病院にかかるとき、サマーキャンプのとき、様々な場面で社会保障番号を使いますが、このとき、他の証明書を見せることはほとんどありません。ただ口頭で社会保障番号を伝えることのみで本人認証として成立してしまうのです。これは大人になっても変わりません。銀行口座の開設や、クレジットカードの発行などで、社会保障番号を口頭で伝えるのみで本人認証できてしまうのです。
日本では「なりすまし」の心配はない?
このような海外での悪用事例も踏まえ、日本はマイナンバー制度のしくみ作りに取り組んでいます。たとえば、民間企業が個人の識別にマイナンバーを使用することができないなど、アメリカや韓国よりもマイナンバーの適用範囲をぐっと絞っています。
番号法では、マイナンバーを取得するとき、「なりすまし」防止のため、必ず本人確認をすることを事業者に義務づけています。
マイナンバーを取得するときは、本人確認義務が原則としてかかります(法16条)。なぜなら、マイナンバーを悪用されると、別人になりすまして、所得をごまかしたり、給付を受けたりする人が出てくる恐れも考えられるからです。マイナンバーさえわかれば、本人確認なんていらないじゃないかと思う向きもあるかもしれませんが、なりすまし防止のために、本人確認を行うことが重要です。
では、本人確認とは何でしょうか。マイナンバー法では、実在確認と番号確認を行うことが求められます。
実在確認とは、その人がその人自身であることを確認することです(別人がなりすましていないかどうかのチェック)。
番号確認とは、その人が申告しているマイナンバーが正しかどうかを確認することです(マイナンバーが間違っていないかどうかのチェック)。
日本では今後マイナンバーを提出する際は本人確認が義務付けられています。
しかしなりすましの可能性がないとは言えませんので、むやみやたらにマイナンバーを人に伝えないようにしましょう。