マイナンバー制度でパートやアルバイトが減り、契約社員が増える可能性があります。
派遣会社は今後契約社員の雇用が増えることを期待
多くの派遣スタッフを抱える人材派遣会社では、マイナンバー対応の負荷を重く受け止めている。マイナンバー制度により「派遣社員を採用する企業が増える」と前向きな意見も一部見られるものの、ごく少数にすぎない。
その理由は・・・?
マイナンバー制度が始まると、企業は「税・社会保障」に関する分野で、役所に提出する書類には従業員のマイナンバーを記載することになります。企業は、雇用している人数分のマイナンバーを回収し、必要に応じ本人確認を行った上でマイナンバーを帳票に記載し、提出する義務が発生します。
ただし、これは「直接雇用」している従業員の場合です。
派遣社員を雇用すると、派遣社員は基本的に派遣会社と契約を結んで勤務していますから、勤務先の会社ではなく、派遣会社がそれらの業務を行うことになります。
マイナンバーの保管期限は7年
マイナンバーは従業員の社会保険等の手続き等に使う必要があるため、従業員から提供してもらう必要があります。そして提供してもらったマイナンバーは情報流出のリスクがあるため、厳重に保管する必要があります。
厳重な管理が求められます
マイナンバーは厳しく管理する必要があります。従業員が100人以上の会社では物理的、技術的な管理が求められます。しかしいくら管理体制を整えたとしても、時の経過と共に形だけになってしまっては意味がありません。常に緊張感のある組織体制が必要です。
派遣社員の場合は社会保険や確定申告などを派遣元が行うため、マイナンバーの提出を派遣先が行う必要がありません。
会社は派遣社員を多く雇用することで、負担を減らすことができます。
人の流動が激しい企業ではアルバイトの仕事を派遣に委託しようという流れも
コンビニなどの事業会社がアルバイトを直接雇用するのではなく、派遣社員を活用する形態に切り替えれば、マイナンバー関連の複雑な業務から解放されます。派遣社員の場合は、前に述べた「入手」→「登録」→「管理」→「破棄」というプロセスを、派遣会社が行うことになるからです。
アルバイト一人ひとりのマイナンバーを入手して、漏洩がないように管理し、辞める時は確実に破棄する。2016年1月以降、コンビニの店長にはそうした新たな業務が加わります。しかもこのプロセスは、雇用契約を結ぶたびに繰り返さなければならない。事務負担が高まるうえ、セキュリティ関連のリスクも抱え込むことになりかねない。コンビニだけではありません。国内の製造業では多くの「期間工」を雇用していますが、そうした人々のマイナンバーを管理する体制も課題になるでしょう。各工場の人事や総務といった部署に、新たな業務負担が生じることになりそうです。
こうした業務を自社内で完結できる企業は、限られると思います。継続的にこのプロセスを遂行するのは相当難しいでしょう。