支払調書にマイナンバーを記入する欄ができました。どんな時に支払調書は必要なのでしょうか。拒否されたらどうしたら良いの?<支払う側・支払いを受ける側必見です>
支払調書にマイナンバーが必要になります
取引先が企業であれば企業のマイナンバー<法人番号>を、個人の場合は<個人番号>を記入することになります。
ご覧いただいてお分かりのとおり、支払を受ける者、つまり支払先の番号を入手する必要があります。
法人であれば国税庁の公表サイト上に公表される予定のため、直接入手しなくても実務上問題はないのですが、個人に支払っている場合には原則としてその個人から個人番号カード等の提示を受け、かつ、身元確認を行わなければなりません。これは、上記報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書だけに限らず、配当でも同様です。つまり、株主が個人であれば、原則としてその株主から個人番号カード等の提示を受け、かつ、身元確認を行うこととなります。
いつから必要?
2016年度分の支払調書からマイナンバーが必要になります。
2015年までの収入に関する支払調書はマイナンバー不要です。
支払調書が必要な例
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書とは、所得税の規定によって税務署へ提出しなければならない書類です。報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書を税務署へ提出しなければならない人は、所得税法第174条第10号などで規定されている報酬や契約金の支払いを行なう人となります。
印税や原稿料を支払った場合、著者に発行する税務書類を源泉徴収票と勘違いされている方が結構多いですが、印税や原稿料など、給与所得でない支払いに対して発行する書類は支払調書、一般的には「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」で、源泉徴収票ではありません。支払調書にはこれ以外にも「不動産の使用料等の支払調書」を始め各種ありますが、以下で言う「支払調書」は「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を前提として記載しています。
◆支払調書が不要な例は?
作家への原稿料、弁護士・税理士等への報酬、画家への画料、講演料等については、それぞれ支払内容において設けられた条件があり、同一の者への年間の支払金額が5万円以下の場合等、業種によって定められた一定金額に満たない場合には提出不要となります。
<フリーランス向け>マイナンバーを求められた場合
上記の支払調書が必要な場合に該当する方は、取引先の企業にマイナンバーと本人確認になるものを提出する必要があります。マイナンバーカードを提出してください。
また、マイナンバーを提出する際は、取引先が「どのような目的でマイナンバーを使用するのか」「どのように管理しているのか」を確認するようにしましょう。
マイナンバーを取得する側にはマイナンバーの利用目的を提示する義務があります。
漏えいや不正使用を防ぐために、提出方法と一緒にちゃんと確認する必要があります。
◆支払調書とは?
源泉徴収票とはどう違うのでしょうか。
支払い調書はあくまで源泉徴収しましたよ、という証明書です。
クライアントには発行義務も無いため、源泉徴収票とは少しだけ違います。
マイナンバーの提出を拒否された・拒否した場合
Q2‐10 従業員や講演料等の支払先等から個人番号の提供を受けられない場合、どのように対応すればいいですか。(答)
法定調書作成などに際し、個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務であることを伝え、提供を求めてください。
それでもなお、提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
経過等の記録がなければ、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できません。特定個人情報保護の観点からも、経過等の記録をお願いします。
なお、法定調書などの記載対象となっている方全てが個人番号をお持ちとは限らず、そのような場合は個人番号を記載することはできませんので、個人番号の記載がないことをもって、税務署が書類を受理しないということはありません。
また拒否した側も拒否の理由を明記した書類を用意された場合、間違いがないか確認したうえでサインするようにしましょう。